ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

安直に押してはいけない“捨印”

2015年03月23日 | 其の他

*********************************

「本当は恐ろしい?『捨印』の意味」(3月22日、ガジェット通信

 

突然ですが、「捨印」って御存知ですか?何かを契約する際に作成する書類等で見た事、実際に押した事が在る方も多いと思います。

 

此の「捨印」、実は物凄く重要な意味が在る事を御存知ですか?

 

恥ずかし乍ら僕は、「捨印」って名前から勝手に、「特に意味は無いけど、取り敢えず押す物。」位のイメージを持っていました。

 

然し、実際に「捨印」が意味するのは、「契約書等の書類を提出した後に、相手が訂正する事を承認する意思表明する物。」なのです。

 

詰まり、「提出した書類は、提出者に確認する事無く、訂正して良いよ。」という事。

 

本来の目的としては、「軽微誤記や明らかな誤字脱字は、効率も悪くなるので、相手に断る事無く訂正して良いと、承認を与える事。」なのですが、一番怖いのは訂正の範囲が規定されていない事。

 

穿った見方ですが、若しかしたら自分の知らない所で、相手の都合の良い様に書き換えられている可能性も在るのです。

 

此の事実を知ってからというもの、僕は「捨印」を容易に押さなくなりました。(相手からすると、面倒臭い人になっているかも知れませんが。)

 

今の時期、新生活を控え、賃貸住宅を契約したりする人も多いので、実際に目にする機会が在る方も居ると思いますが、「捨印」は慎重に。

*********************************

 

大学時代、弁護士としても活躍していた教授から、実務的な話を色々教えて戴いたが、其の中には「安直に“捨印”を押してはいけない。」というのも在った。なので、今回の元記事の内容に付いて目新しさは無いのだけれど、「記事にしているという事は、意外と知らない人が多いのかも。」と思い、紹介させて貰う事にした。

 

又、「押して良い捨印」と「押してはいけない捨印」に関し、5年前に参考になる記事が挙げられていたので、併せて紹介させて貰う。

 

*********************************

「契約書の訂正 ~押して良い捨て印、押してはいけない捨て印~」(PRESIDENT【2010年5月3日号】)

 

社会生活を送る上で、様々な申込書や契約書に印鑑を押す機会は少なくない。其の際、「どうしてこんな場所に、印鑑を押さなければならないのか?」と思った経験はないだろうか。例えば、「捨て印」と呼ばれる物。当事者氏名に添えて押した印鑑を、其の書面の隅等にも押印する場合を指す企業法務等に詳しい、リーバマン法律事務所(現在は「カクイ法律事務所」)石井邦尚弁護士は、「捨て印」の意味に付いてこう説明する。

 

捨て印とは、其の書面に関して、或る程度訂正して構わないという権限を与える趣旨で押す印鑑の事。尤も、其の趣旨を知らずに捨て印を押す人も居るだろうが、若し争いが裁判所に持ち込まれれば、内の取引慣習等を前提に、矢張り『書面の訂正を容認する意思が表示されている。』と解釈される可能性が高いだろう。

 

詰まり、捨て印は、書面の内容に誤りが在って書き直す時に、訂正印として流用する事が出来るので在る。

 

削る個所には二重線を引き、追加する文字は付記する。其の際、欄外に押された捨て印のに「一字削除」、「二字追加」等と訂正状況を記す事により、捨て印を押した本人が訂正に同意した体裁を取るので在る。

 

少々の書き間違いが見付かったからといって、其の都度、契約の相手方に連絡を取り、訂正の確認を取る必要が在るとすれば繁雑だ。其の手間が省ける点で、捨て印は便利な慣習と言えよう。

 

然し、捨て印を押したに、相手が好き勝手に契約内容を改変出来るとすれば、堪った物では無い。訂正権限を譲り渡したと推定される印鑑を押す事は、丸でまるで白紙の契約書を差し入れるのと同じ位、危険な行為ではないだろうか。

 

「とは言え、捨て印で、どんな訂正でも可能となる訳では無い。一般的には、捨て印が押されているからといって、契約内容の重要な部分に付いて迄、変更する権限を与えているとは解釈されないであろう。裏を返せば、漢字等の明らかな書き間違いは、捨て印を以て修正出来る。」。(石井弁護士)

 

ここで言う「契約内容の重要な部分」とは、「契約によって発生した、当事者の権利義務と直接結び付く個所。」と考えられる。

 

捨て印で修正出来ない「重要部分」の代表例には、売買契約等で買い手が支払うべき金額の数字が挙げられる。

 

契約書の売買金額を変更する場合は、改めて当事者が話し合う機会を設け、旧金額を消した二重線の「上」に重ねて、買い手の印鑑(訂正印)を押す。改竄を、極力防ぐ為の工夫だ。

 

其の一方、単なる誤記(氏名の漢字を、戸籍記載通り、旧字体に変える等。)や、企業内規に基づく表記統一(例えば、住所の略式表記「1-3-5」を、「1丁目3番5号」と変える等。)の為の修正は、捨て印を使って充分に可能で在る。

 

金額という「契約内容の重要部分」に付いて、例えばが1つ多い等、客観的に明らかな誤記の場合、捨て印で修正出来るかどうかは微妙だ。

 

「最終的にはケースバイケース事案の背景を勘案した上で、裁判所は判断を行う。因って事前見切りが難しいグレー・ゾーンが、どうしても残る。」。(

 

契約書に捨て印が押して在ろうと無かろうと、契約の成否には影響しない。若し、後々のトラブルを避けるべく、細心の注意を払うなら、「捨て印を押さない。」、「コピーで構わないので、契約書を御互いに一部ずつ持つ。」事を契約の条件に据えるのも有効処置だろう。

 

「日本の印鑑文化を支えているのは、捨て印の便利さかもしれない。弁護士で在る私自身、訴訟委任状に依頼人の捨て印を押して貰う事により、例えば、相手方の名前に誤記が在った場合等にも簡単に対応出来て、重宝しているので。」。(同)

*********************************


コメント    この記事についてブログを書く
« 「岡田啓介回顧録」 | トップ | 動物との共存 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。