ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「虹を待つ彼女」

2018年08月21日 | 書籍関連

*********************************

2020年、人工知能と恋愛が出来る人気アプリ携わる有能な研究者の工藤賢(くどう けん)は、優秀さに予想出来てしまう自らの限界に虚しさ覚えていた。そんな、死者を人工知能化するプロジェクトに参加する。試作品のモデルに選ばれたのは、カルト的な人気を持つ美貌のゲーム・クリエイターの水科晴(みずしな はる)。彼女は6年前、自作した“ゾンビを撃ち殺す”オンライン・ゲームドローン連携させて渋谷を混乱に陥れ、最後には自らを標的にして、自殺を遂げていた。

 

晴に付いて調べる内、彼女の人格共鳴し、次第に惹かれて行く工藤。軈て彼女に“雨”と呼ばれる恋人がた事を突き止めるが、何者からか「調査を止めなければ殺す。」という脅迫を受ける。晴の遺した未発表のゲームの中に、彼女へと迫るヒントを見付け、人工知能は完成に近付いて行くが・・・。

*********************************

 

第36回(2016年)横溝正史ミステリ大賞を受賞した小説虹を待つ彼女」。著者逸木裕氏は今年38歳という事で、自分(giants-55)なんぞとは異なり、子供の頃から“普通に”家庭用ゲーム機携帯電話パソコン等といったツールに触れて来た世代。だから、人工知能だとかスマートウォッチだとかいう物を、さらっと文章に取り上げられるのは、自分からすると羨ましく感じる。技術系の人間は別にして、自分達の世代だとそういう物を取り上げるのは、どうも“勇気”が要る物だから。

 

ファミコン”に熱くなった世代では在るので、ゲームに関する記述、特に“裏技を利用した設定”には、思わずニヤッとしてしまった。

 

面白い作品で在る事は否定しないけれど、引っ掛かりを覚える点も目立つ。「“雨”が誰なのか?」というのが此の小説の重要なポイントの1つな訳だが、其れを解き明かす手掛かりが“晴の或る”。此の癖の設定が非常に無理無理だし、又、此の癖から“雨”を導き出す設定も非常に無理無理に感じる。

 

「全てに於て計算尽くで、自分の利益のならば、平然と人を騙せる人生を歩んで来た。」という工藤の人物設定も感情移入する事が出来ず、そんな人間が最後に“ああいう状況”になるというのも、安直な変化だなあ。という気が。

 

総合評価は、星3つとする。


コメント    この記事についてブログを書く
« 色んな意味で“金足農業高校”... | トップ | 予想通り&予想外 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。