読みたい本が次々と現れるので、購入したものの読まない儘で放置されている本が在ったりする。今回読了した「雪煙チェイス」も、そんな1冊。大好きな作家・東野圭吾氏の作品にも拘らず、購入してから3年近くも“眠らせて”いた。彼には「スキー場シリーズ」というのが在るのだけれど、第1弾「白銀ジャック」(総合評価:星3つ)、第2弾「疾風ロンド」(総合評価:星1つ)と、此のシリーズに対する自分の評価が芳しくない事も、第4弾で在る「雪煙チェイス」を読む気にさせなかった理由の1つ。(実は、第3弾「恋のゴンドラ」も購入した儘“眠って”いたりする。)
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殺人の容疑を掛けられた大学生の脇坂竜実(わきさか たつみ)。彼のアリバイを証明できる唯一の人物‐正体不明の美人スノーボーダーを捜しに、竜実は日本屈指のスキー場に向かった。其れを追うのは「本庁より先に捕らえろ。」と命じられた所轄の刑事・小杉敦彦(こすぎ あつひこ)。村の人々も巻き込み、広大なゲレンデを舞台に、予測不能のチェイスが始まる!
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実際にスノーボードをされているからこそ、東野氏は「スキー場シリーズ」を書き始めたのだろう。各作品の描写からも、スノーボードへの深い愛情が伝わって来る。でも、全く興味の無い自分からすると、ストーリーが一番重要。
で、其のストーリーが、余り魅力的では無い。“捻り”は設けられているのだけれど、「あっ!」と驚かされる程の捻りでは無く、非常に物足り無さを感じる。「主人公が信頼していた人物が、実は“一番の悪”だった。」みたいな大どんでん返しを期待していたのだけれど、そういうのも全く無かったし。
「幾ら親友とはいえ、殺人容疑が掛けられた人物を、そんなに簡単に信じて、一緒に行動するだろうか?」等、不自然さを感じさせる設定が見受けられたのも、作品の中にのめり込めなかった理由の1つだ。「人物設定やストーリーに奥深さが在る。」というのが東野作品の魅力なのだけれど、残念な事に「雪煙チェイス」でも、そういうのが感じられなかった。
総合評価は、星2つとする。