「殺人ピエロの孤島同窓会」を読破。この作品、ミステリー・ファンの間では結構話題になっている。と言うのも、作者の水田美意子さん、否、水田美意子ちゃんと書いた方が相応しい様にも思うのだが、彼女が第4回「このミステリーがすごい!大賞」(略称: このミス大賞)の特別奨励賞を受賞したこの作品を応募した時は12歳の中学1年生だったからだ。
若者の活字離れがずっと指摘されて来ていたが、近年、10代で文学賞を受賞する者がチラホラ出て来ている。「AERA(4月10日号)」の特集記事「10代で作家になりたい」には彼女以外に、第42回文藝賞を「平成マシンガンズで受賞した三並夏さん(15歳)や、第1回野生時代青春文学大賞を「りはめより100倍恐ろしい」で受賞した木堂椎氏(17歳)が紹介されている。2年前に「蹴りたい背中」で芥川賞をで受賞した綿矢りささんが、芥川賞受賞者史上最年少記録の19歳という事で騒がれたが、今や17歳に15歳、そして12歳という低年齢での”作家”とは、恐るべき才能と唸ってしまう。
「現実的な目的は、『御金が貰えるかも。』と思ったからです。携帯ゲーム機が欲しかったので。」というのが、水田さんが”このミス大賞”に応募した動機なのだとか。これだけだと今時の子供という感じなのだが、作品内容はとても12歳の子が書いたものとは思えない出来。
「孤島で高校のクラスの面々が、一人又一人と殺されて行く。殺人ピエロが人を殺しまくる、現代の『そして誰もいなくなった』。」と紹介されているこの作品だが、若者達が次々と惨殺されて行く描写は「バトル・ロワイアル」を思い起こさせる。でも、ユニークな筆致も在ってか、残酷さが前面に出ない不思議な作風。「第3セクター」や「発光ダイオード」といった、自分が中1の時に存在していたとしても先ず頭の片隅に浮かばなかったで在ろう小難しい用語もチラホラ見られ、今の子は本当に情報化社会の中で生きているのだなあと再認識したりも。
後書きでも書かれている様に、鮮やかなどんでん返しがある訳でも無く、文章や構成に稚拙さ*1を感じない訳でも無い。大人が書いた作品だったならば、ハッキリ言って”それなりの作品”という評価に落ち着く所だろう。唯、これを12歳の子が書いたという事実を前にすると、「こりゃあ凄い!」と素直に思う。
彼女の将来性を期待し、敢えて大人の作家に対する厳しい評価を下すならば、星1.5個という所か。
*1 浪越徳治郎氏の名前が登場する等、「本当に12歳かい?」と突っ込みを入れたくなる箇所も。
若者の活字離れがずっと指摘されて来ていたが、近年、10代で文学賞を受賞する者がチラホラ出て来ている。「AERA(4月10日号)」の特集記事「10代で作家になりたい」には彼女以外に、第42回文藝賞を「平成マシンガンズで受賞した三並夏さん(15歳)や、第1回野生時代青春文学大賞を「りはめより100倍恐ろしい」で受賞した木堂椎氏(17歳)が紹介されている。2年前に「蹴りたい背中」で芥川賞をで受賞した綿矢りささんが、芥川賞受賞者史上最年少記録の19歳という事で騒がれたが、今や17歳に15歳、そして12歳という低年齢での”作家”とは、恐るべき才能と唸ってしまう。
「現実的な目的は、『御金が貰えるかも。』と思ったからです。携帯ゲーム機が欲しかったので。」というのが、水田さんが”このミス大賞”に応募した動機なのだとか。これだけだと今時の子供という感じなのだが、作品内容はとても12歳の子が書いたものとは思えない出来。
「孤島で高校のクラスの面々が、一人又一人と殺されて行く。殺人ピエロが人を殺しまくる、現代の『そして誰もいなくなった』。」と紹介されているこの作品だが、若者達が次々と惨殺されて行く描写は「バトル・ロワイアル」を思い起こさせる。でも、ユニークな筆致も在ってか、残酷さが前面に出ない不思議な作風。「第3セクター」や「発光ダイオード」といった、自分が中1の時に存在していたとしても先ず頭の片隅に浮かばなかったで在ろう小難しい用語もチラホラ見られ、今の子は本当に情報化社会の中で生きているのだなあと再認識したりも。
後書きでも書かれている様に、鮮やかなどんでん返しがある訳でも無く、文章や構成に稚拙さ*1を感じない訳でも無い。大人が書いた作品だったならば、ハッキリ言って”それなりの作品”という評価に落ち着く所だろう。唯、これを12歳の子が書いたという事実を前にすると、「こりゃあ凄い!」と素直に思う。
彼女の将来性を期待し、敢えて大人の作家に対する厳しい評価を下すならば、星1.5個という所か。

*1 浪越徳治郎氏の名前が登場する等、「本当に12歳かい?」と突っ込みを入れたくなる箇所も。

以前、恩師に「想像力のない子、本を読まない子は自分の考えをなるべく的確に相手に表現する力がつかない。」と聞きました。本を読まないから、語彙が少ない。自分で色々想像して考える事がないから、短絡的・・・なのだとか。なるほど・・・。確かに、ちびこの絵本なんかを見ると、殆ど「情報はこれだけ。後は自分で想像(創造)してお話作ってね!」という感じの絵だけ・・という本が多いです。先生は「大人になって、頭が固くなってきてから言葉や想像力を養おうとしてもだめなのよ。」ともおっしゃっていました。
この12歳の少女、その辺りをきっちりおさえてあるような気がします。今後の活躍、期待したいですね。
という部分に反応して、トッラクバック打たせていただきました。
小難しい用語の中身を12歳の子供はどれくらい理解しているのでしょう?発光ダイオードって光る部品ぐらいの認識だとは思いますが、どんなものなのか知っているつもりになってないでしょうか?『なぜ』発光ダイオードが光るのか『理解』しているとしたら大変素晴らしい事ですが、まぁ無理でしょうね。水田美意子ちゃんがどうのというわけではありませんが、分からないことが30秒で答えが出るといのも問題だよねという記事です。
まぁ主に、
①12歳が書いたにしては内容は良い
②作者の年齢を抜きに考えると、内容は陳腐(特に会話部分)
てなカンジで別れています。
俺は後者なので、評価は低いですが、「将来に期待する」っていう点で一緒ッス
またの訪問、お待ちしておりま~す!
冉々様は水田さんと同世代でしたか。自分自身が12歳の頃を振り返ればとてもこんな長い文章を書けなかったし、素直に凄いと思うのですが、受賞した作家という事であくまで年齢を別にして作品本位で判断すると「うーん・・・。」という気がしてしまいました。昨今は性別や年齢による宣伝効果を狙った様な受賞がまま目立ちますが、本好きな自分としてはやはり作品本位で判断して欲しいなという気持ちが強く在ります。ですから冉々様が書かれている様に、他の選択も在ったのではないかなあと自分も感じました。
今後とも何卒宜しく御願い致します。