ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ワールド・トレード・センター」

2006年10月18日 | 映画関連
書きたい事が色々在り、記事にするのが遅れてしまったのだが、公開2日目に観て来た「ワールド・トレード・センター」に付いて書いてみたい。

この作品は先月観て来た「ユナイテッド93」同様に、5年前に起こったアメリカ同時多発テロを題材にしている。「ユナイテッド93」は犯人達の視点から描かれた部分が多かったが、この作品は完全に被害者の側から描かれたものと言える。

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2001年9月11日、普段と同様に持ち場を巡回する港湾警察官達に緊急招集の連絡が入る。世界貿易センタービルの北棟に旅客機が突っ込み、その救助に向かえとの事だった。ジョン・マクローリン巡査部長(ニコラス・ケイジ)を班長とした救助チームが結成され、直ちに現場に赴いたのだが、余りの惨状に絶句してしまう彼等。班長のマクリーロンは、自分と共にビルに潜入し救助に当たる人間を募るが、落命の危険性を強く感じられる現場を前にして、志願者は新人警察官のウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)を始めとする4人だけだった。

騒然としたビルに潜入し、救助活動に当たる為の準備を整える彼等。そしていざ救助に向かおうとした直後に、ビルは大音響と共に崩れ去り、マクローリン達を瓦礫の下へと飲み込んで行ってしまう・・・。
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倒壊した世界貿易センタービルの中から、奇跡的に救出された2人の港湾警察官の実話を映画化したものだという。実は映画館に足を運ぶ迄、この作品に対して知っている情報はこれ位しかなかった。故に、この作品の監督があのオリヴァー・ストーン氏で在ると、入り口に掲げられたポスターを見る迄全く知らなかった有様。

確かダウンタウン松本人志だったと思うが、「ニコラス・ケイジ氏の事をずっと真剣にニコラス刑事だと思っていた。」という話をしていた。自分はこの話を全く笑えなかった。と言うのも、自分も同じ様に一時期思っていたからだ。否、それ以上に恥ずかしい事なのだが、映画好きを公言していながら、実はニコラス・ケイジ氏の顔をこれ迄知らなかったのだ。故に主役のマクローリンの顔を見た時には、「このスキャットマン・ジョンみたいなおっちゃん誰だ?」と冗談抜きに思ってしまった。

又、ヒメノ役のマイケル・ペーニャ氏の顔も結構なインパクトが在った。「カルロス・ポンセ選手とボクサーの渡辺二郎氏(左側)、そして「飛びます!飛びます!」の坂上二郎氏を足して3で割った様な個性的な顔だなあ。」と。

ストーリーとしては、実話ならではの緊迫感は在った。一寸した事で”運命”が変わってしまった遣り切れなさ&複雑さも感じたし、生還者の証言を基にしたからこそ「ああ、現場ではそんな事も在ったのだ。」と知った点(瓦礫の下に挟まれ、もう助からないと拳銃で自殺してしまった同僚。彼が使用した拳銃が、火災によって発生した高熱により、自然の内に暴発して行くシーン等。)も在り、それはそれで見入ってしまった訳だが、全体を通して言えば単にあの事件を再現した”だけ”のドラマという気が強くした。巨匠オリヴァー・ストーンをしてならば、もっと違ったアプローチの仕方が在ったのではなかろうか。

総合評価は星2.5個

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13 コメント

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ニコラス・ケイジはパチンコファンらしい (マヌケ)
2006-10-18 22:50:08
石器時代に戻されたアフガニスタンやイラクを被害者の側から描いた映画を作っても誰も見向きもしないでしょうね。 オリバー・ストーンのプラトゥーンはベトナム戦争を初めて被害者の側からも捕らえた映画だと評されましたが、ハリウッドスターに善なる役柄と悪なる役柄を据えてすさまじい蛮行をなした者への制裁によってアメリカにも正義はあるという結論に帰着していました。主人公はちゃんと最後まで生き残り予想通りの展開に終わりました。 テロへの制裁としての空爆により何の罪もない人々がイラクだけでも5万人も亡くなりました。 その一人一人に家族があり友だちがあり、恋人があり、大事な子供があったわけで、アメリカ人のようにこぎれいな家に住まい物質文明にあふれ返った環境でなくとも貧しい中で懸命に生きた命でした。 だれもアメリカを戒めないままおそらくは何とか早くブッシュが退陣することをただ待つしかないと世界中が思っているのではないでしょうか。 知覧には爆弾を抱えてアメリカの艦船に突入した神風特攻隊の青年たちの遺書があります。 ワールドトレードセンターに突入した犯人たちの遺書にも亡国の思いによって世界から見捨てられたパレスチナの人々の思いを無念の思いを晴らさんとするものがありました。 戦争行為もテロ行為も人の命を奪うこと、罪もない人々の未来を奪うことに変りありません。 少なくとも世界のリーダーたる先進国の指導者が報復行為を最優先させるようなことは間違いであると気付いて欲しいものです。  
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違ったアプローチがあったのではないかという気持ちも分かる仕上りであったと思います (たろ)
2006-10-19 00:44:11
こんばんは。

弊ブログへのトラックバック、ありがとうございました。

こちらからもコメントとトラックバックのお返しを失礼致します。



この作品は、事件の大きさから映画化への題材の難しさもあり、好みが大きく分かれておりますね。



また遊びに来させて頂きます。

ではまた。



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>マヌケ様 (giants-55)
2006-10-19 00:59:58
書き込み有難うございました。



ニコラス・ケイジ氏はパチンコ・ファンなんですか。それは又マニアックな情報ですねえ(笑)。



あのテロ事件が加害者達にとって戦争という位置付けで在ったとしたら、神風特攻隊や人間魚雷となった英霊達に自分が深い哀しみを覚える様に、加害者達の肉親及び同民族も同じ哀しみを抱えているという事になりますね。



「報復行為を最優先させる様な事は間違い。」というのは、一国のリーダーのみならず、あらゆる人間にとっても言える事だと考えます。唯、死刑制度に関しては一寸違った思いを持っておりますが。
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ニコラス・ケイジの泣き顔はよくできている (マヌケ)
2006-10-19 09:15:56
イーストウッド監督の硫黄島を取り上げた2作品に期待をよせています。 日米両者の視点で描くためにあえて2作品という構成にしたそうです。 原作が出ていますが読まないでおこうと思っています。 ニコラス・ケイジというとトラボルタと競演したジョン・ウーの「フェイスオフ」という映画がありました。 ジョン・ウーらしくチョウ・ユンファのように2丁拳銃で撃ち合うシーンや銃撃戦のさなかにBGMとしてオーバーザレインボウを使うなんておもしろいシーンがありました。 ストーリーはもろに劇画ちっくでオーソドックスな西部劇的B級映画でしたが楽しめました。

あと、マリア・ベロという女優さんは最近多くの作品でよく見かけますが年齢はいくつくらいなのでしょうか、セクシーです。
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Unknown (trichoptera)
2006-10-19 13:21:05
こんにちは



オリバー監督もN.Y.出身なので、思いは人以上だったと想像できるんですが、いろいろ考えすぎて、結局、事実以上の何かを映画に入れることができなかったのかな?と思ったりします。

TBありがとうございました。
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TBありがとうございました。 (小米花)
2006-10-19 15:46:50
ストーン監督でワールド・トレド・センターといえば、それだけで興味のある映画でした。

ただ、描き方が直球ではなかったので、空振りした感じも確かにありましたね。

それでも、事実を映画にしたことは称えたいと思います。

タイトルに工夫があったらよかったのでしょうか~。

TBさせて頂きました。
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>マヌケ様 (giants-55)
2006-10-19 20:27:30
書き込み有難うございました。



泣き顔といいますか、泣き笑い顔が良く似合うハリウッド・スターというと、御笑いのどーよのテル氏(http://964.jp/Z46c)の影響も在ってロバート・デニーロ氏の顔がふっと浮かんでしまいす。



クリント・イーストウッド監督の映画というと「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」ですね。自分もこの作品は観たいと思っているのですが、何故わざわざ2作品に分けたのか不思議でなりませんでした。商業的に一粒で二度美味しいという効果を狙ったものなのかとも思っていたのですが、なるほど日米各々の視点で描いたという違いが在ったんですね。



マリア・ベロさんの御名前は存じ上げなかったのですが、プロフィール(http://964.jp/Z46d)を拝見すると29歳の女優さんなんですね。生憎、御顔を拝見しても存じ上げない方なのですが、この写真では全盛時のソフィア・ローレンさんを柔らかくした様な感じに見えます。個人的にはあの肉感的な唇が好きでした。
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Unknown (たまさん)
2006-10-20 01:25:26
はじめまして。TB受けとりました。ありがとうございます。



スキャットマン・ジョンといえば、あのヒゲですね(笑)確かに、二人の顔のインパクトの強い映画ではあります。



オリバー・ストーンはここで引き下がらないはず。

次回作に期待しています。



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TBありがとうございました。 (ミハイル暁)
2006-10-20 01:54:39
こちらからもTBさせて頂きますね。



仰る通り『あの事件を再現した”だけ”のドラマ』と、私も感じました。

実話を描くだけで満足したような雰囲気で、この点事実が分からないこそ真実に肉薄しようとした『ユナイテッド93』との差が歴然としているような気がします。加えて、オリヴァー・ストーンらしい、アメリカに対してのメッセージが、まったく盛り込まれていないのは、如何にも片手落ちのような気がしました。



ではまた。
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映画だから (マヌケ)
2006-10-20 09:14:25
確かに、政治的メッセージは盛り込まなかったのでしょうね。 俳優二人の顔のインパクトがいちばん強かったというところ同じくです。 頭の毛がある頃のニコラス・ケイジとその後の彼と、顔の演技が昔から喜怒哀楽のメリハリある俳優ですよね。 特に悩んだ顔や困り顔、泣き顔がイヌっぽいと思うのですが。 いろんなアプローチの仕方がある中でも家族愛とか勇気とか使命感とかいちばんあたりさわりのないところにテーマをすえたんですね。 旧ユーゴ分裂後のボスニア紛争を舞台にしたエネミーラインというのがありましたが、これなんか、セルビア側の戦争犯罪を槍玉にあげてそれに立ち向かうカウボーイの活躍という娯楽映画でした。 ロックあり、はでな空中戦あり、主人公はブロンドハンサムガイのオーエン・ウィルソン。アプローチの仕方、テーマの設定にもいろいろあり。
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