先日、「ワールドビジネスサテライト」で「“ノスタルジック”が生む新市場」という特集を報じていた。近年、食品業界を中心に「嘗ての人気商品や定番商品」を復刻&販売するのが盛んになっているが、此れは消費者の間に「当時を思い出して、癒やされたい。」、「郷愁に浸りたい。」という思いが強くなっている事を受けての企業側の戦略が在るのだとか。此の「ノスタルジック・マーケティング」、東日本大震災以降はより消費者の心を捉えているそうで、其れは「活力に溢れていた頃の日本を思い出し、復興に向けて気持ちを高めたい。」という人が多いからではないかと分析。
で、此の特集で取り上げられていた復刻商品の中に、1977年に発売されて大ヒットした菓子「ビックリマン」が在った。御負けとして付いていた「ビックリマン・シール」に、子供達が飛び付いたのだ。自分は所謂“ビックリマン世代”より上だったし、此の菓子を買った事も無いが、ビックリマンよりも少し前に大ブームになった菓子「はりはり仮面」*1の御負けシールは蒐集していたので、ビックリマン・シールを夢中になって集めていた子供達の気持ちは理解出来る。
復刻版の商品名は「ビックリマン伝説」。御負けシールの裏面にはQRコードが印刷され、其れを読み込む事でソーシャル・ゲームに参加出来る等、昔のビックリマン・シールより進化した面も在るとか。又、「『ビックリマン』で育った“嘗ての子供達”が“親”となった今、彼等が『ビックリマン伝説』を購入する事で、其の子供達をも新たな消費者として呼び込みたい。」というメーカーの思惑も。
当時は30円で販売されていた「ビックリマン」だが、今回の「ビックリマン伝説」は消費税込で84円とか。「35年という月日が経ったにせよ、2.8倍の売値というのは高過ぎやしないか?」と思い、色々検索した所、次の記事に出会した。
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「ビックリマンチョコが84円で復刻に対して『高い。』の声 何故84円するのか少し真面目な話」(1月19日、ガジェット通信)
スーパーゼウス、シャーマンカーン、ヘッドロココ等人気キャラクター・シールが売りのビックリマンチョコが復刻するのだ。独特の二頭身キャラは其の儘に「ビックリマン伝説」として84円で2月21日に復刻する。しかし当時は30円で販売されていた物が、其の儘の復刻で84円と倍以上の値段になり皆が「高い。」と不満の声を上げている。
時代の流れと物価の高騰により、84円にしたのだろうか?実は此処には、80円以上にせざるを得ない理由が在ったのだ。今回はそんな理由に付いて、少しだけ真面目に書いて行きたい。
ビックリマンチョコは2005年に首都圏限定で復刻しており、其の時の値段も84円。しかし同年に景品表示法が改定され、ビックリマンの様な中身が見えず、何の様なシールが出るか判らない物は「懸賞品」扱いになる。又、懸賞品の場合は価格の2%以下にしなければ行けないとの決まりも設けられた。そうなれば自然とシールのコストを下げるか、ビックリマンチョコ其の物の値段を上げるしか選択肢がなくなってくるのだ。中身が丸見えのビックリマンチョコを販売し「懸賞品」扱いから逃れるという手も在ったのだが、当時の感動は得られないだろう。
しかし、当時30円で販売されていた物を84円で売られると、此の景品表示法の事を知らない人は、只の値上げと思ってしまう。そりゃ消費者からしたら何の説明も無いので、納得のいかない只の値上げに思えても仕方無いだろう。「30円で元が取れていた物を、84円で売られてもねえ。」という気分も判らなくは無い。ビックリマンが「景品表示法」の被害(?)に在ったのは此の件だけで無く、別件でも指摘を受けていたのだ。其れは中身の判らない商品に対してキラキラシール(所謂ヘッド)が出難いという指摘だ。「ヘッドシールの質を下げて、他のシールと出る確率を同じにしろ。」と命令が下り、ビックリマン後期はグダグダ状態に。
「無理して御菓子と一緒にしなくても良いじゃん。」って思う人も居るかもしれないが、御菓子と一緒じゃないとスーパーに置いて貰えない弊害も出て来る。結局、値上げは苦肉の策だったのだ。
何故リアルなビックリマンチョコ許り規制されて、ソーシャル・ゲームのガチャは規制されないのか。彼方を真っ先に規制すべきでしょ。
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2.8倍の値上げの背景に「景品表示法」が在ったとは、全く想像外だった。
*1 「はりはり仮面」が販売されていたのは、1975年辺りだったか。其の値段は40円だったが、当時の大卒男性の初任給(平均)は「91,272円」という記録が在る。昨年の大卒男子の初任給(平均)は「205,000円」という事なので、当時の約2.25倍に当該。単純に此の倍率を、当時の「はりはり仮面」の売値40円に掛け合わせると、今は90円で売られていてもおかしくない事に。「当時の売値設定が、少々高めだったのかなあ?」という気がする。
ビックリマンシリーズについては、『キャラクター大全集』なる小冊子が『小学3年生』の付録としてついてきて、それを見ればどういうキャラがどういう属性を持っているのかを知ることができたので、シールを集めようという気にはなりませんでした。
上述の人形の小道具は、箱に番号と品物の対応表が記載されており、箱に空けられた小さな穴から番号が印字してある紙を覗き込んで、何番の品物が入っているかを確認できるというものでしたが、ちょうど穴からぎりぎり見えるか見えないかになるように入れられていました。ニクいことに数字を丸で囲んであるため数字の端が見えにくく、あてずっぽうで買うのとほぼ同じでした。復刻版ビックリマンチョコも「のぞき穴方式」をとれば、景品表示法の対象から逃れつつ中身のわからないわくわく感を抱かせることができるのではないかと思います。しかし、ビニールの袋に小さな透明な部分を作るのは、ボール紙製の箱に穴を開けっ放しにするよりもコストがかかり、84円を超えてしまうのかも
「厚紙に絵の描かれたパーツを組み合わせて、商店街や動物園を作る。」という記述で思い出したのは、子供の頃に買って貰っていた学習雑誌「小学○年生」。付録に良く付いていたのが、「厚紙で何かを組み立てる」という物。当時「此れは凄い!」と思ったのが、厚紙で組み立てるレコード・プレイヤー。金属で出来た針以外は全て厚紙で構成されていたと思いますが、出来上がったレコード・プレイヤーに、矢張り付録で付いていたソノシートを載せ、レバーを手で回すとちゃんと音が出て、非常に感激したのを覚えています。
どんな世界にも、「プロ」というのは居るもの。子供の頃、売られていた食玩を、箱を開けずに振るだけで「此れは○○だから、外れ。」とか、「此れは恐らくXXなので、当たりだ!」なんぞと結構な確率で当てる強者のガキんちょが居たりしました。
価格は2.8倍になっているのですから、菓子の量を1.5倍~2倍程度にすることは出来るはず。
ただ値上げしただけでは、法改正を大義名分にこれ幸いとばかりにボッタクっているようにしか思えません。
仰る様に、消費者第一で考えれば、メーカー側には採るべき方策は、もっと在るでしょうね。
近年、非常に腹立たしいのは、「容量を減らした上で、価格自体も上げている商品が多い。」という事。「物価上昇分を商品価格に転嫁するのは、消費者に対して申し訳ない。」みたいな尤もらしい理由付けで容量を減らし、そして時間をそう置かない内に価格自体も上げる。こんなのは詐欺としか思えない。
目先の収益は改善されたとしても、消費者を裏切った付けは、結果的に消費者離れという形で跳ね返って来ると思います。
今後とも、何卒宜しく御願い致します。