「週刊現代」に連載中のコラムに「今週の『へえ~、そうなんだ』」というのが在る。9月3日&10日号は「マレー語には『バナナを食べる所要時間』を表す単位がある」というタイトルで、“其の国でしか使われない奇妙な単位”を取り上げている。
「東京ドーム〇個分」というのは、我々日本人にとって慣れ親しんだ表現だが、「ゴールデン・タイムで毎日の様にジャイアンツ戦を中心にした野球中継がされていた『V9時代』、ジャイアンツの本拠地だった後楽園球場を“多くの人がイメージし易い存在”として、『後楽園球場〇個分』という表現が使われる様になったのが始まり。」という説が在ると。此れを引き継ぐ形で、「東京ドーム〇個分」という独自の単位が存在している訳だ。
日本では抑、物を数える際に、様々な単位を使って来た歴史が在る。「箪笥を『棹』」、「位牌を『柱』」といった風に数えたりするのもそうだが、ユニークな単位の1つが「鯨の髭」。江戸時代に鯨の髭で作られた「鯨尺」という物差しが在り、長さは「約37.9cm」で、主に裁縫等で用いられていた。
海外にも、其の国でしか使われない奇妙な単位が存在する。東南アジアに位置する熱帯の国・マレーシア。栽培バナナの起源地の1つともされている此の国では、バナナは日本以上に生活に密着した果物。マレーシアの公用語・マレー語には「ピサンザプラ」という単位が在るそうだが、此れは「バナナを食べる時の所要時間」を表している。「バナナを食べる時間なんて、人やバナナの大きさによって異なるだろう。」と思われ様が、「大体2分位。」という“ざっくり感”が、如何にもマレーシアという感じがする。
職場で「ピサンザプラも掛からない仕事だから、先に早く終わらせてしまおう。」という様に、一寸した短い時間を表す際に使ったり、家で冷凍食品をレンジで温める際、「ピサンザプラ2回分」といった感じで、目安の様に使ったりするそうだ。
***********************************************
・カッツエンシュプルング(ドイツ語):「猫の一跳び」を意味する単位。日本の「向こう三軒両隣」に近い。
・クローシャ(サンスクリット語):牛の鳴き声が聞こえる距離。古代インドで誕生したが、実寸は不明。
・グルファ(アラビア語):片方の手の平に乗せられるだけの水の量。感覚的に少ない事を示す。
・ポロンクセマ(フィンランド語):馴鹿が休憩無しで、疲れずに移動出来る距離。凡そ7.5kmだと言う。
・ムゲセゲレ(ドイツ語):「蠅のペニスの長さ(約0.22mm)」を意味し、とても小さい事を示す。
************************************************