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「地価下落、観光地に打撃=宿泊整備も訪日客激減‐奈良」(7月1日、時事通信)
2021年の路線価は、新型コロナウイルスの影響が色濃く反映された。全国平均は6年振りに下落し、インバウンド(訪日外国人旅行者)需要の消失等で、観光地や繁華街は打撃を受けた。専門家は「昨年は日本経済が先行き不透明感に覆われ、地価が躓いた。」と指摘する。
都道府県庁所在地の最高路線価の下落率上位3地点は、奈良市東向中町の大宮通り(12.5%)、神戸市中央区三宮町の三宮センター街(9.7%)、大阪市北区角田町の御堂筋(8.5%)と関西圏が占める。何れもインバウンド等で、7年以上に亘り上昇が続いていた地域だ。
奈良県を訪れる外国人観光客は、2012年は約28.5万人だったが、2019年には12倍の約349.5万人迄増えた。一方で、ホテルや旅館の客室数、宿泊者数は、長年に亘り全国下位。日帰り観光が定着し、飲食や物販の消費は伸び悩んでいた。
こうした状況を打開する為、県は大型ホテルの誘致等に取り組んで来た。県内の客室数は2019年迄の4年間で1,000室程増え、昨年は外資系高級ホテル等の開業が相次いだ。昨年の路線価では上昇率が21.2%で全国4位となり、「遅れて遣って来た地価上昇。」(不動産関係者)との声も上がっていた。
ところが、コロナで観光客は激減。地元の不動産鑑定士は「インバウンド向けのドラッグ・ストアや土産物屋は客が零になり、飲食店も自粛で商売上がったり。地価に影響が出ている。」と話す。
日本不動産研究所の吉野薫不動産エコノミストは「インバウンド需要を中心に盛り上がって来た地域は、強めのマイナスに転じた。」と分析。唯、昨年後半以降は下げ止まり感が在ると言い、「経済が或る程度復調し、対面型サーヴィスの需要が回復すると判れば、地価も底入れから上昇に向かうだろう。」と話した。
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日本が新型コロナウイルス感染症の大流行に見舞われてから2年目。近隣では客足が減った事で閉店する店舗が、最近になって再び増えて来ている様に感じる。
「路線価の全国平均は、6年振りに下落した。」という今回のニュースを見ても、「そうだろうなあ。」という思い。都道府県庁所在地の最高路線価の下落率上位3地点、何れもインバウンド需要消失の影響をもろに受けていそうな場所で、「当該地で商売をしている人達は、本当に大変だなあ。」と同情してしまう。不測の事態とは言え、泣くに泣けない状況に違い無い。
新型コロナウイルス感染症が一日も早く終息し、多くの人がすっきりした思いで生活出来る事を、心から望む。