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小惑星「テロス」が日本に衝突する事が発表され、世界は大混乱に陥った。そんなパニックを余所に、小春(こはる)は淡々と1人、太宰府で自動車の教習を受け続けている。小さな夢を叶える為に。
年末、或る教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。教官で元刑事のイサガワと共に、地球最後の謎解きを始めるが・・・。
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第68回(2022年)江戸川乱歩賞を小説「此の世の果ての殺人」で受賞した荒木あかねさん。同賞の受賞は史上最年少の「23歳」、そして選考委員の満場一致で決定したのだそうだ。
「小惑星が日本に衝突し、日本のみならず地球が壊滅状態になる可能性が明らかとなった世界。」というのは、SFで良く見受けられる設定。「地球が壊滅状態になると、人類其の物が全滅してしまうというのに、日本から海外に脱出したり、世を儚んで自殺する人が続出。人が殆ど消えた日本では、警察組織は崩壊し、犯罪行為が蔓延る無法地帯。」だというのに、大宰府で自動車の教習を受け続けている小春というのも可成り変わっているが、彼女を教えるイサガワが元刑事というのも変わった設定だ。
“異常な世界”で続出する殺人事件。間も無く人類が滅亡するというのに、殺人犯を負う小春達。「続出する殺人事件は、同一人物の犯行なのか?」、「真犯人は誰なのか?」、「犯行動機は?」等、変わった設定は別にして、ミステリーとして悪くは無い。
「何故、話に齟齬を来しているのだろうか?」と気になる些細な点が在った。」のだけれど、後できちんと“答え”が説明されている等、伏線回収はGood。でも、読み終えた時に感じる“後味の悪さ”は、人によって好き嫌いが分かれるかも知れない。
総合評価は、星3.5個とする。