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ミステリー系の新人賞受賞を受賞し、デビューしてから3年になる作家・待居涼司。デビュー作から数えて5作目となる「凍て鶴」は、これ迄の現代を舞台にした犯罪物から離れ、昭和のレトロチックな家族の愛憎劇をサスペンス風味の作品。彼にとっては新境地とも言えるこの作品は高い評価を受け、ミステリー系新進作家の意欲作に贈られる日本クライム賞受賞が決まる。
人気作家の仲間入りを果たした彼に、「『凍て鶴』を映画化したい。」とのオファーが幾つか舞い込み、その中から「『ホラー系の奇才』と称される人気脚本家・小野川充を監督・脚本・主演で映像化。」という考えの報映が選ばれる事に。
「凍て鶴」に並々ならぬ興味を示す小野川。彼の頭の中には、4年前に起こったネット心中事件が強く刻み込まれていた。伝説的な自殺系サイト「落花の会」を運営し、最後は多摩沢公園の池で自殺した木ノ瀬蓮美を、作品のヒロイン・美鶴と重ね合わせていたのだ。そして彼は「『凍て鶴』が木ノ瀬蓮美の影響を間違い無く受けている。」と奇抜持論を展開し始める。「それは全く無い。」と戸惑いを見せる待居を余所にして、小野川は落花の会のサイトに残された謎の解明が映画化のために必要だと主張。余りにも一方的な小野川に、不気味さを感じ始めた待居だったが・・・。
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「犯人に告ぐ」及び「クローズド・ノート」が映画化された作家・雫井脩介氏。冒頭に記した概要は、彼の近刊本「犯罪小説家」で在る。小説が映像化される際、「原作に忠実な形での映像化。」を望ましく思う人も居れば、「原作と映像化された作品は全く別物。」と割り切って考える人も居る事だろう。東野圭吾氏は確か後者のスタンスを採っておられ、だからこそあんな形でのドラマ化も容認出来るのかも。
「この小説に登場する待居に、雫井氏は自身の姿を重ね合わせているのかなあ?」と思ったりもする。そう思うと、「原作の世界観を、自分の思う方向へと強引に持って行こうとする脚本家」と「余りに世界観が異なる事に躊躇&不快の念を持つ作家」との心理的鬩ぎ合いは、よりリアルさが感じられてなかなか興味深い。
近年報道される事の多かった「ネット心中」を題材にしたこの作品、範疇で言えば「心理サスペンス」に当該するのだろう。落花の会のサイト、その掲示板での遣り取りには、「この手の書き込みって、良く在りそう。」と苦笑。肝心なストーリーだが、個人的にはかったるさが最後迄拭い去れなかった。謎解きも含めて、全てが想定内な感じも。「犯人に告ぐ」や「クローズド・ノート」、「ビター・ブラッド」がそれなりに面白かっただけに、失望感は否めない。
厳しいかもしれないが、総合評価は星2.5個。
ミステリー系の新人賞受賞を受賞し、デビューしてから3年になる作家・待居涼司。デビュー作から数えて5作目となる「凍て鶴」は、これ迄の現代を舞台にした犯罪物から離れ、昭和のレトロチックな家族の愛憎劇をサスペンス風味の作品。彼にとっては新境地とも言えるこの作品は高い評価を受け、ミステリー系新進作家の意欲作に贈られる日本クライム賞受賞が決まる。
人気作家の仲間入りを果たした彼に、「『凍て鶴』を映画化したい。」とのオファーが幾つか舞い込み、その中から「『ホラー系の奇才』と称される人気脚本家・小野川充を監督・脚本・主演で映像化。」という考えの報映が選ばれる事に。
「凍て鶴」に並々ならぬ興味を示す小野川。彼の頭の中には、4年前に起こったネット心中事件が強く刻み込まれていた。伝説的な自殺系サイト「落花の会」を運営し、最後は多摩沢公園の池で自殺した木ノ瀬蓮美を、作品のヒロイン・美鶴と重ね合わせていたのだ。そして彼は「『凍て鶴』が木ノ瀬蓮美の影響を間違い無く受けている。」と奇抜持論を展開し始める。「それは全く無い。」と戸惑いを見せる待居を余所にして、小野川は落花の会のサイトに残された謎の解明が映画化のために必要だと主張。余りにも一方的な小野川に、不気味さを感じ始めた待居だったが・・・。
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「犯人に告ぐ」及び「クローズド・ノート」が映画化された作家・雫井脩介氏。冒頭に記した概要は、彼の近刊本「犯罪小説家」で在る。小説が映像化される際、「原作に忠実な形での映像化。」を望ましく思う人も居れば、「原作と映像化された作品は全く別物。」と割り切って考える人も居る事だろう。東野圭吾氏は確か後者のスタンスを採っておられ、だからこそあんな形でのドラマ化も容認出来るのかも。
「この小説に登場する待居に、雫井氏は自身の姿を重ね合わせているのかなあ?」と思ったりもする。そう思うと、「原作の世界観を、自分の思う方向へと強引に持って行こうとする脚本家」と「余りに世界観が異なる事に躊躇&不快の念を持つ作家」との心理的鬩ぎ合いは、よりリアルさが感じられてなかなか興味深い。
近年報道される事の多かった「ネット心中」を題材にしたこの作品、範疇で言えば「心理サスペンス」に当該するのだろう。落花の会のサイト、その掲示板での遣り取りには、「この手の書き込みって、良く在りそう。」と苦笑。肝心なストーリーだが、個人的にはかったるさが最後迄拭い去れなかった。謎解きも含めて、全てが想定内な感じも。「犯人に告ぐ」や「クローズド・ノート」、「ビター・ブラッド」がそれなりに面白かっただけに、失望感は否めない。
厳しいかもしれないが、総合評価は星2.5個。
ジャイアンさんどうも昨日はありがとうございました。 娘から誕生日メールが来たのですが、不具合で返信できず、帰宅したところテーブルにバースデーカードが置いてありました。私は12月3日生まれの射手座、AB型です。 脳内メーカーでも、血液型占いでも結構当たっているなと思うほど、典型的なAB型です。 どうもです。
モヤモヤとした思いの残る結末が、却って作品に余韻を残すという事“も”在りますね。桐野夏生さんのその短編は未読なのですが、恐らくそういった類の、計算し尽くされた結末なのでしょう。
御嬢様に関しては色々御不満も書かれて来たマヌケ様ですが、いやいやどうして良い御嬢様じゃないですか。家族の為に一生懸命頑張っている父親の姿を、しっかり理解しておられるのだと思いますよ。御仕事大変でしょうが、御家族の為にも健康第一で、素晴らしい日々を送って下さいませ。