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「水道料金『43%値上げ必要。』、月額1万円超は31自治体・・・民間研究グループ試算」(5月27日、読売新聞)
自治体の水道料金に付いて、「2043年迄に2018年度比で、平均43%増の値上げが必要になる。」との試算結果を、民間の研究グループが纏めた。人口減に伴い、料金収入が減る一方で、水道管等、設備の更新費用が嵩む為だ。料金(月額)が1万円を超える自治体は31に上り、水道財政の逼迫振りが浮かび上がった。
試算したのは、多くの公的機関を監査している「EY新日本有限責任監査法人」(東京)の研究グループ。2018年度の水道統計と、国立社会保障・人口問題研究所による将来推計人口を基に、25年後となる2043年に独立採算で赤字を回避出来る水道料金を示した。
対象は、自治体等で作る全国1,232事業者。試算によると、94%の1,162事業者で値上げとなり、標準的な3人世帯の平均は4,642円と、43%増加する。
最も高額になるのは北海道夕張市で、2018年度の6,841円の4.2倍に当たる2万8,956円。今年4月末現在の人口7,285人は、2045年に2,253人迄減少すると推計されている。値上げ率が大きい自治体は、人口密度の低い地域に多く見られる。
水道事業は独立採算が原則だが、既に料金収入で運営経費を賄えず、一般会計からの繰り入れ等により赤字を埋めている自治体は全国の40%(2019年度、厚生労働省調べ)。試算の様な大幅な値上げが必要になった場合、上げ幅を抑える為、一般会計で不足分を補う自治体が相次ぐ事が予想される。
研究グループの福田健一郎(シニア・マネージャー)は、「多くの自治体で一般会計からの繰り入れが常態化し、水道財政が厳しい状況に在るとの認識が薄れている。事業の広域化で施設の統廃合を進める等、抜本的な経営改善に取り組む必要が在る。」と指摘する。
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17年も昔になるが、「高い水道代」という記事を書いた。水道代に付いては「高いなあ。」という思いをずっと持っていたけれど、“高くなってしまう構造的な問題”を知り、「そういう事だったのか。」という思いから記事にしたのだ。
「ダム建設及びダムから水を運ぶ為に、莫大な費用が掛かる。又、ダムに沈殿した土砂等を取り除く『浚渫』にも、年間数億円とも言われる費用が発生する。浚渫はダムが存在する限り、毎年発生する訳で、ダム建設の減価償却費や維持費等を『A』とした場合、今のシステムが維持され続けるならば、Aは基本的に上がりこそすれ、下がる事は無い。Aは当然、水道料金に上乗せされる。一方、水道料金を支払う世帯数を『B』とした場合、人口減が続く中、Bは減る一方で在る。だから、『Aを分子、Bを分母とする。』と、算出される数字は大きくなり続ける。」というのが、水道料金が高くなってしまう構造的な問題なのだ。人口減だけでは無く、「各世帯が節水をすればする程、負担額が増えてしまうという妙なシステム。」とも言える。
「2043年迄に2018年度比で、平均43%増の値上げが必要になる。」という今回の試算結果は、非常に衝撃的。「人が生きて行く上で、安定した水の供給が必須。」なのは事実だけれど、「平均43%増の値上げを、全ての世帯で受容出来るか?」となると、極めて難しいと言わざるを得ない。ダムのシステムも含め、元記事で指摘されている様に“抜本的な経営改善”に逸早く取り組む必要が在るだろう。
科学技術の発達改善を待って、安全安価な供給方法を確立するか、または自然に逆らわない昔の給水方法に戻っていくかしかないのかもしれませんね。
昔は地下水の豊富なところに住み井戸水をくみ上げるか、川の近くに住むなどして自然に寄り添っていたと思うのですが、人口増加に伴って自然を加工してきましたから、その分加工費や維持費がかかることになるのは当然と言えば当然。
便利はただではないという事です。
眼の前に先例・前例がゴロゴロ転がっているのに、何も学ぼうとせず同じ失敗を繰り返すばかりのコロナ対策を見ていると、この国の政治家には抜本的な問題解決能力が無いのだと思ってしまいます。
先日読んだ小説「クロウ・ブレイン」の中に、興味深い記述が在りました。地球が誕生して以降、数多の生物が生まれ、時の流れの中で“淘汰”されて行ったけれど、此処400年近くの間に淘汰された生物の種類は、過去の同期間と比べて格段に多いのだとか。色々理由は在りましょうけれど、人類が余りに増え過ぎ、そして遣りたい放題して来た事が大きな要因ではないかと。
水供給の仕組みも、悠々遊様が書かれておられる様に「人口増」によって大きく変わり、其の結果として「負担増」として跳ね返って来ている。
政治体制の違いが在るとはいえ、中国の“先を見据えた(狡賢い)戦略”は凄いと思うけれど、でも、其れは「自国にとって、一番得な方法は何か?」を最優先しているだけで、地球規模の環境には全く配慮していない。”其の場凌ぎの対策”というのも困り物ですが、唯我独尊的な対策はもっと困り物。