歌の間を取るときにいつも感じることですが、歌詞の中で
伸ばしてもいい語とそうでもないものがあって、そのことを
native speakerは、考えるまでもなく自然に発声していますが、
日本人の場合には、どうしても何か抑揚をつけようとするきらいが
あるような気がします。 そうすると、歌謡曲的、というか、
英語の歌らしくない節回しになって、言ってしまえば「ダサい」
ことになるようです。
つまり、日本語はイントネーションでの表現が基本にありますが、
英語は強弱のアクセントが大きな部分を占めている、という、
言葉としての形態の違いによるものです。
そう言えば昔、国語学の権威の金田一春彦先生が、講義の余談で
「最近の(数十年前ですが)日本語の歌の抑揚が、美しい日本語にはあるまじき
ことだ、と学者の間で憤慨しまして、みんなできれいな歌を作ろう!という
試みをしたことがありました」と語っていらっしゃったことがあります。
その曲は何だったのか、覚えてもいないし、実際に歌ってはくださらなかったと
思うのですが、「正しい日本語の抑揚で」(ここは上げるべきではないとか)
作られた歌だって、それでヒットするわけでもないでしょうし、歌いたくは
ならないんじゃないかな、とも思います。
ふと思い出した一コマでした