銀座ジャズバーエムズのブログ

 生演奏のある小さなバー・・・「大人のくつろぎ空間」をお探しの方にご案内申し上げます。

間→魔→まぁ!

2014-08-01 14:42:14 | つれづれ

 先日「大向こう」という言葉を書きましたが、そこから連想して歌舞伎のサイトを見ていたら

掛け声専門家、というか、アマチュアなんだけれども「同好の士の会」というのがありました。

その昔、桟敷じゃない一番遠い正面の立見席に、毎日陣取って芝居の要所をよく知っていて

ここぞというときに掛け声をくれる、いわば見物客としての玄人のような方々のことを

敬意を表して「大向こう」と言ったのだそうです。  現在でもその「大向こうの会」は

継続されていて、先人たち(役者も観客も)のエピソードが面白く語られています。

「昨日吉右衛門丈の熊谷を観たが、花道の引っ込みの一番大事な締めのセリフ

『十六年は一昔、ああ、夢だ夢だ』というところで、思い切りかぶって『は~り~ま~や~』と

なんとも間の抜けた掛け声が・・・いくらなんでもあれはいけません。

素人さんだろうと女性の方だろうと、果敢に掛けてはほしいのだが・・・

 会話してるときも思いますよね。相手の話を最後まで聞かないで、おっかぶせてしゃべる人が

いると、非常に間の悪い思いをします。

 歌についても同じで、説得力のある歌い手は何が良いのかというと、声や見かけも

大事だけれども(プロはね)、結局は「この歌をどう歌い聞かせてくれるか」という

『間』を生来もっているか、会得しているか、ということにかかってくるのです。

言葉のひとつひとつを、どういうタイミングで発して、どこを伸ばしてどこで切るか、

このことに尽きますね。

 『間』の良くない人というのは、つまりは全体の流れや空気感が感じられていない

のだと思います。 そうするとリズムも感じられないから、聴いて心地良くもないのです。

歌をどう練習するか、というよりも、演奏の中の空気と時間の流れに耳をすませて

間合いを感じ取れるように、日々の会話や行動の中でもそういうことを気にしているかどうか、

すべては決まってくるような気がします。