その昔、まだ明るい夕方にコリドー街を歩くと、新橋の方向から
ゆっくりとやって来る細身で背の高い白人のおじいさんがいました。
これからどこかで一杯やって、夜の銀座に繰り出そうかな~という人たちが
「あっクラブ・サイセリアのジミー原田さんだ
ジミーさんこんにちは」
思わず声をかけるほど界隈では親しまれておりました
するとご老体はゆうゆうと笑顔を返して
「おおこんにちは。 ボクはゆっくりしか歩けないからね、
先に行って待ってて。」
(ジミーさんは100%アメリカ人の血筋なのですが、
日本生まれの日本育ち、日本語しか話されませんでした)
声をかけた方々は、別に彼がドラムス演奏している場所に
直入する予定ではなかったのですが・・・
でもジミーさんは、知り合いはみんな自分のいるところに来るものと
思っていらっしゃる
そこで、急いで食事をして、仲間やクラブのホステスさんも連れて
ライブの現場に駆け付ける、という成り行きに・・・
のどかな時代でした。今にして思えば
土曜日の午後【em's Music Salon】で素晴らしい音楽を奏でてくださった
バリトン・サックスの原田忠幸さんはご次男です。
(ちなみにお兄さまのイサムさんはドラマー、そのご長男も同じくドラマー
という音楽家一家です)
「今月はオヤジの命日でね、銀座に来たら思い出しましたよ」と
エピソードも交えつつ・・・。
「知ってる曲をやったほうが、みなさんやっぱり喜ぶのかしら?」との気遣いも。
バリトンのトリオで'Five Spot After Dark'の熱い演奏が聴けるとは
エムズのいつもの雰囲気ともまた違うけれど、この曲は客席が
盛り上がりましたね~~~
私もついグレン・ミラー・シリーズをやったのですが、なんだか久々に
ビッグバンドを背負ってるような気分に浸れました。
佳き時代の音、いろんな情景が浮かぶ音楽が流れるひととき・・・
その空間と時間を共有できることが「宝物」ですね