江戸っ子親分(五十嵐さん御年86歳)のお話より
以前にも書いたことがありますが五十嵐さんのご実家は
八丁堀の講釈場(寄席とおんなじ造りで、講談を専門にやる)
「聞楽亭(ぶんらくてい)」
常時昼夜数人ずつの講談師の先生方が出演、「お仲入り(休憩)」の時に
お茶の追加サービスなどをする売り子のお姉さんたちが通るために、
真ん中に花道のような「渡り廊下」がある。 でも、そこから壁際までは
直接行けないので、座布団を敷いて座っているお客様たちに
「相済みません。お手渡しをお願いいたします」と声をかけ、皆さん
快く手から手へ、熱いお湯を入れた土瓶を渡してくれていたとか。
それを聞いて思い出しました。 ボストンのFenway Park で野球観戦を
した時のこと。 古くて狭い球場で、客席も硬い木のシートです。
家族連れも多くて「地元」って雰囲気。 休憩時間にはピーナッツ売りが
声を上げています。「こっちこっち」と手を振ると、紙の袋にぎっしり
入ったのを素晴らしいコントロールで投げてくれます
「今投げてるピッチャーと交代したほうがいいんじゃないの?」
でも、お金はどうするんだろう?投げるわけにはいかないし・・・
すると、周りに座っている善男善女がみんな手を出してくれて、
自然に「お手渡し」無事におじさんのところに届きます。
はああ、下町ぽくていいですねえ
どこの国でも素朴な娯楽を楽しむ地元の人たちの人情やマナーは
暖かいもんだな、とつくづく思う次第です 続く・・・