民主党政権は、一時の幻に終わろうとしている。
国民の大きな期待を集めた政権交代。一年余りで早、その実態が、如何に中身のない空っぽであるかが明白になった。出るわ、出るわ、そのお粗末な実態。その有り様を見ていると、とても政権の体をなしておらず、まさに「日本の危機」を、日々ひしひしと感じる。
普天間の移設にはじまり、尖閣諸島の漁船衝突問題、北方領土など、外交については、特に酷い! 日米、日中、日ロともに、八方塞がりの状態だ。いずれの首脳同士ともに、まともな会談ができないなど、全く異常だ。中国にお願いして、やっと「廊下で懇談」22分だという。しかも、菅総理がメモを見ながら胡錦濤主席に、「日中間に領土問題は存在しない」と、明確に言ったというが、そんな体たらくで、日本としての抗議や強いメッセージが伝わるはずがないのだ。あれが、一国を担うトップリーダーかと思うと、何と情けないことか!
また、12月10日にオスロで開かれる中国民主活動家・劉暁波(りゅうぎょうは)氏のノーベル平和賞授賞式典に招待された駐オスロ日本大使(今までは出席)が、回答期限の15日を過ぎても出欠を「保留」しているという。(17日に出席を決めた)本省からの指示がなく返答できないと。
劉氏への授与に反発している中国政府が、各国政府に出席しないよう要求しており、前原外相も中国から働きかけがあったことを認めている。菅総理は、先日の国会で「外務大臣のところで検討している」などと、他人ごとのように答弁していたが、呆れる。インドとパキスタンが未回答というが、中国の顔色を見ながら、しかも決断できないとは。
外交ジャーナリストの手嶋龍一氏は、菅内閣の外交について、「論評に値しない」と、斬って捨てた。民主党内からは、原口前総務大臣のように「外交危機に対応できる人材は民主党に限らない」と言いだしている始末。もう、タオルを投げ入れているようなものだ。政治の最も大事な、「国民の生命と財産を守る」ということが、危機にさらされているのだ。
「政治主導」を高らかに宣言したものの、枝野前幹事長が、「政治主導なんて、うかつなことを言ったから大変なことになった~」などと、本音を語っているし、菅総理が政権の最重要政策と位置付ける「事業仕分け」についても、思うような成果は上げられず、政権内部からさえ、今回限りにすべきだという、強い反発がでる始末。大臣が代われば、八ッ場ダムも、コロッと変わってしまって振り出しに。大見えを切ったマニフェストは、ガタガタだ。
柳田法務大臣と言えば、「国会の答弁は二つだけ覚えておけばいい」と、きた。いい加減にせい! 辞めると見えを切った鳩山前総理は、民主党がうまくいっていないので、次期選挙には出馬しないというのを、止めただと。ほんとうに笑ってしまう。岡田幹事長が、「一兵卒」の小沢前幹事長に、簡単には会えないという。異常だ。一体、民主党はどうなっているのか?
民主党を応援する評論家やコメンテーターは、政権交代というのは、一時的にこういう混乱が起きるものだなどと庇うが、時間が解決するというようなことではないのだ。政権内部の意思統一がなされていなかったり、トップが、決断力やリーダーシップに欠けていたりということなのだ。
選挙などやっている場合ではないのだが、こうなったら、国民に信を問う「早期解散」しかないのではないか。