文字の言語学によると、日本語文字は混合文字体系にある。混合的な性格の強い文字には、エジプト文字、アッカド文字、英語の文字とともに、日本語の文字がある。中国語の漢字に日本語の解釈を加えたと説明する。フロリアン・クルマス著、斎藤伸治訳、文字の言語学 現代文字論入門、大修館、205ページ。中国語の文字を日本語に適合化したと述べる。さてそこで、英語を混合体系とみているのを知る。日本語の解説は国字、振り仮名、読みの多重性など首肯するところであるが、英語の表記は、日本語と対照的に、一通りである、と私たちは思っているが、それをそのままでは表面を見ているだけであると言う。そこには3つの文字体系がある。英語にあるのは、基盤英語、ロマンス語、外来語である。これは正書法に係わる。 . . . 本文を読む
ある人の問いで、その言葉は、小説の図書館戦争(P126)にあるようだ。それは、「正論は正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない」ということばである。それが、ネット検索でヒットする。映画の台詞として騒がれているらしい。正論には、正しい使い方と、間違った使い方がある、ということです、と回答する人もいる。どれも興味深い分析である。正論である限り、使い方の正しさはとくにいうことではないから、正論は正しいとの言い回しも、首をひねってよさそうだが、正論を武器にするというたとえにも、考えてみると、それは武器にはならないでしょ、と、突っ込みたくなるようなことだ。まあ、言うなら、正論は正論だ、とか、それは正論である、使い方を間違えると正論であったとするものも正論ではなくなる、というようなことか。意味に大差があるわけではないから、正論と異論とがあるということだ。不正論とでもしたくなるがその語は熟さない。正論に異論がある、異議を挟むということである。道理にかなった正しい意見や議論を言い続けると、それを受けた側は、その論理にくみすることを余儀なくさせられるので、言い続けることの不正をその論法に見出そうとする。相手を思いやれ、相手の言うことも理解しろ、というたぐいである。正論について、書く、言い続けることが正論を武器にしているということだろう。 . . . 本文を読む
源氏物語の本文をとらえて校異源氏がつくられた。のちに源氏物語大成となる。池田亀鑑編著、1942年、昭和17年、10月25日刊行である。校異を、こうい また、きょうい と読んだ。この呉音読みは交合から読み習わしたと思ってきたが、こうごう また、きょうごう と読むこと、校本を、こうほん また、きょうほん と読むことが、行われなくなった。きょういげんじ といえば、それなりに本文のことが伝わる。そういえば、本文 ほんもん ということによって、前文文、本文、末文となる本文との違いがあるが、これも伝わりにくくなった。代わりに源氏物語のテキストというような言い方をする。本文批判をテキストクリティックというごときである。げんじものがたりのほんもんは、と言い出せば、それで文学研究の原本についての話となる。原本と底本、それをまた、校本をもとに、定本とすること、あるいは流布本、異本などに及ぶ。げんじものがたりのほんもんを、きょういげんじによって、どれがどの本文系統であるか。それを研究成果として簡便に示したが、もとより膨大な作業であった。 . . . 本文を読む
源氏の物語には伝本を考えなければならない。印刷技術においてその発達を遂げるまでは、媒体が紙であり、いわゆる活字が作られるまでにどのように人々は物語を読んだろうか、それは本を読むという行為が源氏の物語にどのように実現をしていたかを考えることになる。紙の普及と墨書による物語の記録は、それはものを書いて伝えるという、そのことを1000有余年の前にさかのぼってみなくてはならない。そしてそれは書き写すという作業によって伝えられるであろうことは、源氏の物語を伝本として現在まで存在していることになる、その本の一つ一つで証明される。だれが、いつ、どこで、どのように書き写したか、ということである。よく言われるように、巻物であったのは巻子本という形態をとらえていくと、東洋で紙が製作される紀元前には、竹簡、木簡である竹片、木片に書かれた記録用、伝達用のものがって、紐で編まれて巻かれていたので、紙媒体に変わって巻物状をしていたからである。源氏の物語にはいまその様子を見せる形状のものは、絵巻物としてその姿を持っているが、それも現在では保存と鑑賞の便のために切り離されている。物語の伝本は冊子となり、書誌学の分類でとらえられることになる。 . . . 本文を読む
文字史を考える。文字に歴史があるとするなら、文字の発生と使用の変遷、そしてその文字の衰滅また廃棄のことである。漢字には歴史があるとすると、いまは中国で一部の用字で簡体字の時代になっている。日本で常用漢字の時代であるし、簡略化を遂げた通行新字体の日常使用に、そのもととしての繁体となる旧漢字などを含めての併用である。仮名文字に歴史があるなら、その発生と変体仮名、また異体を用いた、長い時代を経ての仮名の一字一音を対応させた使用を原則とした現代がある。発生と変遷に歴史的な活気を求める出来事があるか。それは文字改革として位置づけられることがらになるが、発音と文字のことがらは中国と日本でそれぞれの歴史をたどっているし、文字改革のような言語計画に当たることは歴史上に多くはない。文字は書き手のその使用の意識に支えられているので、その地域、その民族にある言葉とともに、文字を持ち歴史を持つとしたなら、人々の慣用がどのように、発音とともに、かわってくるかが、歴史の事項となるかならないか、というようなことである。文字を言語に捉えてその発明、創意工夫は容易ではないが、民族によってそれが時として稀有な出来事として表れている。文字の研究で女真文字を解読した日本の言語学者がいる。また発音表記を文字として工夫する、あるいは創造するということがある。 . . . 本文を読む
ザッツ、日本!ザッツ、紅白!、とは、年の瀬の恒例行事である紅白歌合戦のテーマである。このザッツとは何なんだ、と思ってしまった。それをサイトによって、これぞ、日本!これぞ紅白、とあって、ザッツなステージを届けるという。そうなのかと思うがまた、ザッツが雑に、ざつにならなければいいがと、オヤジギャクを言いたくなる。ザッツはホンダ車の名前にあった。トールボディの軽ワゴンである。ホンダの車名は、ザッツを、英語That isの短縮形、「あれだっ」と思わず言ってしまうような、親しみの持てる存在のクルマになれば、ということから、と説明がある。これは、ザッツ、なじみやすい。紅白のテーマにザッツ、ザッツと繰り返すには、これだ、これだ、そう思わせる何かがいる。辞書を検索するとこの語が登録されているので、見てみると、ドイツ語のザッツ、ドイツSatz
⇒サッツ とあって、もう一つの項目に、ザッツ(that's)他の外来語の上に付いて、それこそ…である、と強調する意を表すとなっている。ザッツライト、ザッツ―オールに用いるザッツである。 . . . 本文を読む
だるさは、だるいこと、その、だるい とは、古語の だるし から、現代語となった。もとは清音で、たるい を、語源とする。だるい の発音を、dull にみて、その民間語源のようなことを話題にしているようである。goo辞書はデジタル大辞泉を引くが、標記の表記には、怠い/懈い を挙げる。けだるい かったるい を類語にする。だるい そのものの意味が、たるい との関係で、かったるい となれば、身体の疲労に係わる。しかしもともとは、ゆったりする、広いさま、緩いとあれば、だるい たるい は、たるし との意味内容が変わってきたことになる。類語辞書は、だるい感じ というふうに、だるさ を、感覚表現にしている。 . . . 本文を読む
源氏物語の作者を紫式部とする。その名を紫とするのは、紫にゆかりがあると伝えられていることからである。巻の名に若紫があり、紫の上となるその人の、ゆかりである。物語の呼称を、紫の物語としたという捉え方があり、その時代に作者を紫とする、あの物語を書いている、紫を書いている人、といったことが、宮廷サロンでもてはやされたのだろう。物語が長編に及び、物語の構成を見る、つまり議論をするところから、作者の一人説、作者複数説、そして作者別人説があって、それぞれに語り伝えられたあいだの、物語によるところである。ただ、書写のあいだに、複数の書き手がいて、それは本文書写の過程のことである。その書写者のあいだで書き加えられた本文の違いを検証すると、物語の原文をとどめる作者のいわば自筆本がつたわっていないことがあって、校勘してする本文策定のことがあったのは想像に難くない。書き手とその書き手が指示されて行われた、そこに物語が形成されたとみることができる。 . . . 本文を読む
日本語文字論に、漢字、和字、ローマ字がある。中国渡来と、本来の日本語を書き表す文字、そして洋字ともいうべくローマ字であるが、いずれも日本語に現れる文字である。文字遣いに和字を据えるのは、その文字の正当性でいえ、仮名、片仮名によって音節をとらえる日本語の文字である。和字はまた、漢字に対して国字ということがある。漢字を国に作った字、和製漢字である。 . . . 本文を読む
消費税、軽減税率が議論されている。一律に課税していた、と、思われる消費税が、その分類によると、消費そのものを課税対象、直接消費税と、最終的な消費の前段階で課される税 間接消費税とがあり、直接消費税にゴルフ場利用税などが該当、間接消費税に酒税などが該当、そしてさらに間接消費税は個別消費税と一般消費税がある。ウイキペディアによる。この課税の分類は、生活に直結する税として、一般消費税が話題になる。その歴史に、1954年 - フランスで最初に導入、1971年 - ベルギーで導入、1973年 - イギリスで導入とあり、日本での税率引き上げを見ると、1989年(平成元年)4月1日 - 消費税法施行 税率3%、1997年(平成9年)4月1日 - 村山内閣で1994年(平成6年)11月25日に成立させた税制改革関連法案に基づき、地方消費税の導入と消費税等の増税(3%から5%に増税、うち地方消費税1%)を橋本内閣が実施、2014年(平成26年)4月1日 - 消費税率(国・地方)は、5%から8%(うち地方消費税1.7%)と、その経緯をたどった。 . . . 本文を読む