弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「小役人」とは 私の前に 瀬木比呂志さんも 言っている

2024年07月27日 22時40分40秒 | 裁判
「小役人が偉くなっていく」
異例の国賠提訴の竹内浩史判事が講演
"官僚司法”を痛烈批判
(関西テレビ放送 カンテレ)

https://www.ktv.jp/news/articles/?id=13923

今日は弁護士任官者や日本裁判官ネットワークの諸先輩を差し置き、錚々たる聴衆の前で講演をさせていただく栄誉に浴した。
(写真)ちなみに、官僚裁判官を「(小)役人」と呼ぶのは、私が初めてというわけではなく、例えば、瀬木比呂志元裁判官も数々の著書で同様の評価を下している。

抵抗勢力? 露骨に飛ばす「最高裁の 暗い面」

2024年07月24日 08時38分42秒 | 裁判
先週から「週刊金曜日」で私のインタビュー記事の連載が始まった。
行政を果断に敗訴させる高裁裁判長(名古屋高裁の藤山雅行元裁判長・仙台高裁の小林久起元裁判長・名古屋高裁の長谷川恭弘裁判長ら)は東京・大阪高裁には決して入れない、そうなりそうな地裁裁判長はそもそも高裁裁判長にしないなど、人事において驚くべき「狭量」を示すのは、最近の政権と相似形とも言える。

3年先まで「上がり」の順も 予測可能な 最高裁

2024年07月20日 19時29分38秒 | 裁判
今回の最高裁判事・高裁長官人事の発表によって、そのまた先の人事もかなりの確度で予想できるようになった(以下、敬称略)。
(写真)最高裁判事の70歳、後任候補者の65歳の誕生日(定年退官日はその前日)を順に並べた表。
なお、最高裁判事の記号は「上がり」の意味、堀田・氏本の記号は「期が私よりも下(舌)」という意味で付しただけで、他意は無い。

①安浪最高裁判事の後任は、
堀田・次期東京高裁長官(41期・現最高裁事務総長)
②林最高裁判事の後任は、
氏本・次期最高裁事務総長(45期・現甲府地家裁所長)
③今崎最高裁判事の後任は、
小林宏司・最高裁首席調査官(41期)
といったところだろうか。

②と③は期の順が逆になってしまうが、この順でなければ、氏本は最高裁に入れない(小林は2028年3月1日に65歳)。
また、堀田東京高裁長官を除く高裁長官たち(小野瀬次期仙台高裁長官を含む)や矢尾和子司法研修所長らは全員、①までに定年退官を迎えてしまうため、最高裁には入れない。

しかし、一般に「裁判をしない裁判官」の親玉である事務総長の最高裁判事就任は、本来畑違いであって、好ましくないと考えている。
かつての竹崎氏のように最高裁判事を経ずに最高裁長官になった方が、小法廷の裁判に関与しないだけ害が少ないとさえ言える。
まあ、大法廷回付必至の私の裁判の上告審とは関係ないけれど。

「事務官」トップが 裁判官の 上に君臨 する異常

2024年07月19日 18時45分47秒 | 裁判
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024071900379&g=soc

そもそも、裁判官ですらない最高裁事務総長(裁判所事務官のトップ)が、あたかも当然のように、下級裁判所のトップである東京高裁長官に就任するというのは、裁判所組織として正常とは言い難いと思う。
裁判官人事全体を握っている立場にあると思われるが、自身の東京高裁長官就任も、形式的には内閣の任命と最高裁裁判官会議による補職を経るにせよ、実質的には自分で決めたのだろうか。そうだとすれば、恐るべき権力者である。
(写真)山中理司弁護士HPの最高裁入り予想
そして、前例に従えば、次は最高裁判事がほぼ確実というポストでもある。
仮にそうなったとしても、私の裁判においては、最高裁大法廷に係属した際に回避するのは当然として、おそらく証人として出廷してもらわなければならない立場でもある。
これを「官僚司法」と言わずして、何を言うのかという感想を抱く。

東京高裁「不運」の誤判?「暗殺」前日 言渡し

2024年07月12日 20時32分43秒 | 裁判
今日の中日コラム「夕歩道」から。
https://www.chunichi.co.jp/article/926747
これが常識的な見方だろう。
(写真)破棄された原判決が言い渡された翌日、あの事件が発生した。
もし、言渡日が1週間後であれば、判決期日を延期するか、弁論を再開して考え直しただろう。
しかし、教団の霊感商法や巨額献金が社会問題になったのは、昭和末期から平成初期にかけて以降。それほど昔の事ではなく、東京高裁の裁判長クラスが知らないはずはない。
やはり「不運」と言うよりも「不明」。
不見識極まりない判断と言われても仕方がないだろう。

「ガラスの天井」最高裁と「笑点」大喜利 メンバー入り

2024年07月06日 23時46分18秒 | 裁判
三輪記子弁護士のYouTubeに2回目の出演をした。
https://youtu.be/ReF2vvKMO1k?si=Dx_HJ4eZRsDUvkBf
その対談の中の話題から。
(写真)「法と民主主義」最新号の特集は「ジェンダーと司法」。
中でも、西川伸一明治大学教授の「女性裁判官幹部人事の研究」は必読。

「判決予想屋」面目保つ?「当たらずといえど 遠からず」

2024年07月03日 21時17分42秒 | 裁判
今日の最高裁大法廷判決から。
昨日の予想では読み切れなかった今崎裁判官を含む最高裁裁判官15名全員に、法律家として最低限の「良心」がある事が示されたのは、誠に喜ばしい。
それにしても、あっさりと判例変更をするとは思わなかった。
当事者の主張を要し、権利濫用の適用もあり得る「除斥期間」というのは、実質的に「消滅時効」というのとほとんど異ならない。
今回変更された平成元年判例以降「除斥期間」を適用されて問答無用に退けられてきた全ての裁判との整合性についても、説明を要することになりかねない。
その意味で、宇賀裁判官の意見に「あっぱれ!」だ。最近の改正後の民法と同様に、改正前民法の規定も「除斥期間」ではなく「消滅時効」であったというべきであろう。
これは、今回破棄された原告敗訴の仙台高裁判決とは別の部で、最近急逝した小林久起裁判長が言い渡した原告勝訴の仙台高裁判決と同じ意見でもある。
原判決の中で、多数意見が最も近いのも、実は、この小林判決である。
草葉の陰で喜んで下さっていると思う。
(参照記事)
国の主張「権利乱用」
強制不妊手術訴訟、仙台高裁も国に賠償命じる
https://www.asahi.com/articles/ASRBT76QRRBTOXIE00D.html

「今崎反対 意見」のほかは「全員一致」で 勝つでしょう

2024年07月02日 21時08分23秒 | 裁判
大学生時代から数十年の「最高裁ウォッチャー」を自認する私の明日の大法廷判決大胆予想。
さすがにこの事案では、原告ら全員を勝たせる。
ただし、既に最高裁判例となっている不法行為の20年の「除斥期間」を適用しない理由は、区々に分かれそうだ。おそらく数通りか。
私は、新憲法下の国自身の違憲立法に起因する不法行為に、国自身が定めた民法の除斥期間を適用することは「適用違憲」と判断するのが最も筋が良いと思うが、採用されるかどうかは分からない。
結論は全員一致か、反対意見を付するとしたら今崎裁判官(裁判官(最高裁事務総長)出身)くらいしか考えにくい。これは、次の判例等から各裁判官の傾向を推し量ったもの。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92849

信じるか信じないかは、あなた次第です。

(参照条文)日本国憲法
第十七条「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」

「長期未済」が 一掃されて「平成くん、さようなら」

2024年06月30日 14時19分08秒 | 裁判
先週木曜日に「十年裁判」の判決を言い渡した。
平成26年7月提訴事件を初めとする住民訴訟3件の併合事件。
今年2月に判決を言い渡した生活保護引下げ集団訴訟よりも前から係属していた裁判である。
一審としては何とか10年以内に終局することができたが、この事件になぜこれほどの審理期間を要したのかは、私の前の数代にわたる裁判長たち共々、大いに反省を要するだろう。

これで当部の最も古い年号の事件は、一挙に6年も若返り、令和2年新受の3件(係属期間4年以内)となった。

(写真)私の著書からの抜粋
裁判長としての「長期未済処理」の手腕についても、適正に評価していただけるのかどうか。
ちなみに、明日は毎年定例の昇給日である。

転出した両陪席につき3か月間の職務代行発令を得てまで完成した大判決なのに、全く報道されなかったので、傍聴してくれた方のブログを引用。
判決言渡しの際に右眼に眼帯をしていたため、心配して下さった。

http://blog.livedoor.jp/mieken1876418/archives/52029922.html

ご心配ありがとうございます。
決して「右目やってしもた」わけではなくて、20年前に白内障で入れた眼内レンズが外れたので、新しいレンズに入れ替える手術をしただけです。
まだ白眼が少し血走っているので眼帯をしていましたが、よく考えてみると、遠くの傍聴席から分かるほどではないので、しない方が良かったかも知れません。
今後とも傍聴人によく分かる法廷を心掛けたいと思います。

支持が低けれゃ 事務総局も「解散」あるいは「総辞職」?

2024年06月23日 09時06分02秒 | 裁判

内閣不信任案が衆議院で否決され、国会が閉幕した。

(参照条文)日本国憲法
第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

(写真)三淵忠彦初代最高裁長官のWikipedia記事から抜粋。

結局、事務総長は、裁判官の身分を離れながら、裁判官である局長・課長・局付を配下に「俗的な人事行政」等に従事することになってしまった。


事務総局とは 対照的に 奮闘「教官」「調査官」

2024年06月22日 13時27分54秒 | 裁判

私の著書からの連載第5回が掲載された。

“裁判官の会議”は「見られたら、とても恥ずかしい」… 現職の敏腕判事の“勇気ある発言”を待ち受けていた「運命」とは(弁護士JPニュース)

https://www.ben54.jp/news/1258

私の著書の中では珍しく司法研修所だけは褒めた。実際に最高裁の下の「裁判をしない裁判官」の中で、最もよく働いているのは、研修所教官(司法修習生を指導する教官だけではなく、裁判官・書記官・調査官の研修を担当する教官もいる)と、最高裁調査官だと思う。
したがって、高裁長官→最高裁判事→最高裁長官と出世するのに適任な高官は、事務総長(在任中は裁判官ですらない)などよりも、まずは司法研修所長・裁判所職員総合研修所長及び最高裁首席調査官であろう。特に後者は、調査官として最高裁判決に関与して来たのだから、最高裁判事になってからも論客が多い。
しかし、現実の人事は必ずしもそうなっていない。事務総長(戸倉・今崎)・人事局長(安浪)及び法務省民事局長(深山)等の経験者が裁判官出身の最高裁判事6名の過半数を占めている。


「判決要旨」は 裁判官が 作っているとは 知らなんだ

2024年06月17日 18時31分37秒 | 裁判

私が二十年余り前に弁護士任官してから認識を改めたのは、当時はよく新聞に掲載されていた「判決要旨」は、新聞記者ではなく、裁判官自身が作成しているということだった。
公害裁判のような長文の判決の場合は、原告弁護団員として裁判所から判決要旨を受け取った経験もあるので、そうであろうと知っていたが、それほど長いわけではないが報道対象になる判決についてもそうだとは思っていなかった。てっきり、記事を執筆する各紙の記者が掲載までのごく短時間で要約しているものと思い込んでいたのだ。冷静に考えてみれば、記者にそんな芸当ができる訳が無いのだが。

(写真)任官して最初に「判決要旨」を作成したのは、東京高裁で判決した、旧日本軍の爆雷が廃棄物処理中に爆発して工場ごと吹っ飛んだという裁判だったと記憶している。この事案で国家賠償を認める場合に、時効と除斥期間の起算点はいつになるのか。私たちは当然に爆発時であるとして請求を認容した。実は同様の事案が中国で起きた場合に熾烈に争われていたこともあって、報道された。
かなりの分量の判決書を完成させた後に短期間で「判決要旨」を作成するのは大変だった。そもそも、判決理由は多かれ少なかれ裁判官3名の妥協の産物なので、どの部分を要旨として抜粋するかで、意外に議論が紛糾するのだ。

最近は、裁判官にとって余計な仕事を増やすだけだと事務方が忖度しているのか、判決要旨の求めをなるべく記者にさせなくなったという。確かに、法律上の位置付けの無い文書を裁判所が「便宜供与」として出す事には、批判もあり得るところだ。
そこで、私は、判決文の中に「判決要旨」に当たる部分を取り込んではどうかと考えている。
その実践例が、遅まきながら、裁判所ホームページに掲載された。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=93020

この判決の21〜29頁当たりも、そのつもりで書いたもので、言渡しの際はその前後を全部読み上げた。
聞いていても分かりやすかったと、傍聴者の評判は上々だったと感じている。


上位下達の 所長を経なきゃ なれない?「高裁 部総括」

2024年06月16日 10時01分47秒 | 裁判

他方で、名古屋高裁部総括になったのは、吉田彩判事。
(写真)名古屋地裁部総括を3年余り務めて「上席」となった後、富山地家裁所長を2年余り務めてきた。通例の昇進ルートと見ることができる。むしろ、所長として3年目に入り、地域手当の異動保障期間が切れて富山市の3%に下がってしまっていたので「お待たせし過ぎたかも知れません」。
横浜地裁民事第6部(交通集中部)では同じ右陪席としてご一緒した。

私が問題にしたいのは、このような「通例の昇進ルート」自体の是非である。高裁部総括は、原則的に地家裁所長を経ないとなれないポストと見られている。実際にも、地家裁所長経験なくして就任した高裁部総括は極めて少ない。
高裁部総括の定年退官に伴う後任人事となるので、地家裁部総括の定期異動に合わせるのは難しく、地家裁所長と同様に不定期人事と位置付けた方がやりやすいという事情はあろうが、例外はいくらでもあり得るのは昨日も具体的な事例を示したとおり。

現在の地家裁所長は、基本的には裁判を担当せずに、司法行政官として、最高裁事務総局からの上位下達を徹底させる仕事に成り下がっている。逆に最高裁に物を申したのは、最近亡くなった、日本裁判官ネットワーク創設メンバーの安原浩松山家裁所長がおそらく最後であろう。私はそのような仕事ならばやりたくない。

地家裁所長として最高裁の方針への従順さを確認されてからでないと、高裁部総括として高裁判決を出させないという仕組みになっているのではないか、とさえ思わされる。


証拠の一角 崩れたならば 全面開示を 命じては?

2024年06月14日 09時32分55秒 | 裁判

今日の中日社説から

https://www.chunichi.co.jp/article/912820

この問題に関連して、私が最近思いついた再審ルールの改正案を披露したい。

最高裁白鳥決定が樹立した判例では、新規性のある証拠が提出された場合、新旧両証拠を総合して、新証拠の明白性の有無により、再審開始の可否を判断することになっている。

しかし、その具体的な判断は区々に分かれており、基準としては極めて不安定である。

そこで私案だが、新証拠の新規性が認められる場合は、検察官に公判未提出証拠の全面開示を命じ、その検討を経た上で、再審開始の可否の判断をしてはどうだろうか。

新規性のみで再審開始をするには法改正が必要だが、全面的証拠開示命令をするだけならば、現行法の下でも運用ルールとして可能と思われる。

死刑判決の決め手であったはずの歯型鑑定を崩したのに再審開始にならない名張事件、DNA鑑定を崩したのに再審開始にならない飯塚事件などの事例に接するにつけ、事ここに及べば、もはや全ての証拠を開示して決着を図るべきではないかと痛感させられる。

 


法曹界の「しくじり先生」岡口基一が「SPA!」と斬る

2024年06月13日 20時45分43秒 | 裁判

岡口さんの連載が始まった。