弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

弁護士任官 裁判長が 唯一無二の「合憲」かな

2024年10月31日 08時24分09秒 | 弁護士任官
東京高裁でも違憲判断。
6件の訴訟が全体としてこういう展開になってくると、今さらながら、これまで唯一「合憲」とした大阪地裁判決(土井文美裁判長)には厳しい目が向けられざるを得ない。
https://www.asahi.com/articles/ASQ6N5RD3Q6NPTIL056.html

(写真)時事通信社のまとめによる判決一覧表

同種事案の最初の判決ならば、誰でも判断が難しいからともかくとしても、1件目の違憲判断に次ぐ2件目の判決だったのだから、なおさらだ。
弁護士任官者として初めて最高裁調査官に登用され、大阪地裁部総括に指名された裁判長なのだが、その保守的な経験が新しい社会問題の事案では裏目に出てしまったのかも知れない。

弁護士任官 判事としては 疑問の「費用 5000円」

2024年10月30日 19時26分50秒 | 弁護士任官
今日の名古屋高裁判決から。
三重・鈴鹿市の生活保護停止処分
名古屋高裁が一審判決の処分取り消しを支持
賠償金は11万円に変更(中京テレビ)
https://nordot.app/1224289443224633425
私が裁判長として言い渡した津地裁判決の本論を、控訴審(裁判長は中村さとみ津地裁前所長)に支持していただいて、安堵している。
ただし、国家賠償請求訴訟で認容額が5万円(原告二人で10万円)だからといって、弁護士費用が5000円(原告二人で1万円)というのは、いかがなものだろうか。
旧弁護士報酬基準では、民事訴訟の着手金の最低額は10万円とされていた。
たまたま、原告一人当たりの弁護士費用の請求額が5万円に過ぎず、慰謝料も5万円と算定したので、弁護士費用もその範囲にとどめているが、本来はもっと高くてもおかしくない。
これが少額の物損等の交通事故損害賠償請求訴訟であれば、賠償基準がほぼ確立しており、弁護士を依頼しない本人訴訟でもできないことはなく、多くは弁護士費用保険で賄われていると見られるので、1割の5000円で良いと思う。
しかし、事案の困難性を全く考慮しないで、弁護士費用は一律1割という裁判実務は改めるべきではないだろうか。
最高裁判例も「弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである」としている(写真の最高裁第一小法廷昭和44年2月27日判決・民集23巻2号441頁)。「認容額の1割が相当」などとは言っていない。同判決の事案でも、認容額とは無関係に、着手金13万円全額を弁護士費用として認めている。
日弁連を初めとする弁護士会の皆さんの意見を伺ってみたいものだ。

退官までの カウントダウン めでたくもあり 誕生日

2024年10月29日 07時55分39秒 | 弁護士任官
今日は62歳の誕生日。
65歳の定年退官まで自称「最後のリベラル派」として頑張れという先輩法曹も複数いるのだが、そうすると他の道への転身の選択肢が著しく制約される。まずは、残り短い私の人生を大切にしたい。
したがって、おそらく定年を待たず早期に依願退官を選択することになるだろう。後任裁判官を初めとする周囲の人たちに迷惑をかけないようにと考えると、来年以降3年間の各年3月末の三択となる。
その際は盛大に退官記念記者会見を開かせていただき、忖度なく、退官を選択した真の理由を公表したい。

裁判官ガチャ「再審格差」あとは当たりを 待つだけか?

2024年10月28日 20時55分28秒 | 裁判
飯塚事件 福岡高裁、検察側に証拠品リストなどの開示を勧告(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20241028/k00/00m/040/273000c
この事件は被告人は死刑執行のため生存していないが、再審開始に執念を燃やす弁護団長の命のあるうちに決定が得られるかどうか。NHKドキュメンタリーから映画「正義の行方」も生まれている。

再審開始の要件は、証拠の新規明白性に加え、良心的な裁判官に当たる幸運となっている感もある。
袴田さんも、静岡地裁の村山コートに遭遇しなければ、まだ獄中にいたかも知れない。
今日は、福井女子中学生殺人事件の名古屋高裁金沢支部の再審開始決定も確定することになった。
証拠隠匿・捏造の露見による再審が相次ぎ、総選挙も施行されたばかりのこの機会に、日弁連も主張している再審法制の整備に踏み切るべきだろう。

さすが私も 一目を置く「最高裁ウォッチャー」長嶺さん

2024年10月27日 09時21分05秒 | 裁判
週刊プレイボーイの長嶺照輝さんの記事から。
意外にも司法問題には以前から熱心な週刊誌で、長嶺さんは「裁判長の人情お言葉集」など数々のベストセラーがあるライター。
最高裁裁判官国民審査に特化した「サイコーですか?最高裁」(2007年)という名著もある。

https://l.smartnews.com/m-VvWoq/rlt1ul

「平木判事と中村判事は、まだ就任から間もなく、最高裁で判決にマトモに関与していないが、幸い裁判官出身なので過去の判断が見つかった。」
昨日の都々逸でも述べたように、本来、両判事は自ら国民審査公報のいずれかの欄で過去の判断に言及して、キャリア裁判官出身者としての矜持を示してほしかった。

裁判官としても 日が浅いため 特に記すべき 判決なし

2024年10月26日 20時25分16秒 | 裁判
中村槇最高裁判事の国民審査公報から。
私はこれを読んで初めて、この人が刑事ではなく「民事裁判官」だったと知った。
最高裁入りして間がないので、特記する判決が無いのは仕方がない。
しかし、それならば最高裁入り前に高裁・地裁で言い渡した判決を挙げるべきではないだろうか。それすら無いのではないかと疑われる。
実際に裁判に従事した期間は、通算しても10年に満たないという。
https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge2005/
本来なら、判事補から判事にすらなれない経歴だ。
「裁判官」枠ではなく「(司法)行政官」枠の最高裁入りと見ておくべきかも知れない。

独善的な 政治を支持し「独善に陥ら ないように」

2024年10月25日 00時00分17秒 | 裁判
今崎幸彦最高裁長官の国民審査広報から。

裁判官としての心構え
「裁判の枠組みを越えて独善に陥らないようにすること」

最高裁判所において関与した主要な裁判
なぜか、わざわざ反対意見を書いた2件を掲げていない。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/list2?filter%5Btext1%5D=裁判官今崎幸彦の反対意見

きょう一日だけ 優勝気分 中日・楽天 大当たり

2024年10月24日 18時22分17秒 | スポーツ
中日、関大・金丸夢斗投手の交渉権を獲得、4球団競合の末に井上一樹新監督が当たりくじをゲット「今までで一番のガッツポーズ」
(中日スポーツ・東京中日スポーツ)
https://www.chunichi.co.jp/article/976462

私が応援している中日と楽天が共に1位指名で当たりくじを引いた。

証拠捏造→偽証の教唆 一難去って また一難

2024年10月23日 18時17分16秒 | 「あっぱれ!」判決
今日の名古屋高裁金沢支部決定から。
日弁連は個別の裁判は支援しないという原則があるとのこと(元弁護士の私にも初耳だが)で、頼んでもいない私の訴訟の支援も先回りして断られている。招かれた公式行事の講演等で言及してもいけないとのこと。
しかし、少なくとも刑事再審事件については日弁連支援事件がある。
今日もそのうち一件が陽の目を見た。

弁護士ドットコムニュースから。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_18054/

元々、名張毒ぶどう酒事件や東電OL殺人事件と同様に、一審は無罪判決だった。
控訴審の逆転有罪判決には、当時から疑問もあった。
検察はまたしても難しい判断を迫られるだろう。

人事局長に 捧げる警句「鰯は頭 から腐る」

2024年10月20日 11時42分35秒 | 弁護士任官
インサイダー疑惑の裁判官、金融庁出向直後から不正な株取引か…TOB情報入手できる立場を悪用 : 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20241019-OYT1T50207/

「遺憾」と他人事のように済ませてよいのか。
「バレなければ不正に手を染めてもよい」などという裁判官にあるまじき性根は、瀬木比呂志元裁判官らが著書で指摘しているように、ブルーパージ以来の人事政策でも貫かれて来たようにも思われる。

-国家公務員の 異動について- それでもおかしい「チ。」手当

2024年10月15日 20時31分12秒 | 地域手当
私も最近たまたまNHKでアニメを見るまで知らなかったが、
この漫画がすごい!

「感動する」と話題のNHKアニメ
「チ。―地球の運動について―」、
原作者が描きたかったテーマとは
(中日新聞Web)
https://www.chunichi.co.jp/article/970695

「チ。」とは地動説のこと。
主人公と目された人物が次々と、信仰ではなく、真理に殉じてしまうので、展開に目が離せない。
私の「チ。」は地域手当だ。

4弁護士会 指定席から→4大事務所の 指定席

2024年10月06日 17時38分38秒 | 弁護士任官
先週日曜日の出題の正解は、
日弁連推薦枠の最高裁判事の直近17名の出身弁護士会を順に並べたもの。
東=東京弁護士会
一=第一東京弁護士会
二=第二東京弁護士会
大=大阪弁護士会

(写真)私の「地平」論考の結び。
一昔前はこんな事を書く必要は無かったのだが。

未来の世界の「地平」を開く「こんな最高裁に 誰がした?」

2024年10月05日 22時59分51秒 | 裁判
岩波書店「世界」から分離独立して創刊5号目の月刊『地平』11月号(10月5日発売)
https://chihei.net/2024/10/02/chihei202411/
特集記事には私も寄稿しています。

「竹内コート」が 保守派に見える「長谷川コート」は 先を行く

2024年10月03日 21時38分45秒 | 「あっぱれ!」判決
三重大ハラスメント訴訟で女性准教授が逆転勝訴
名古屋高裁「村八分のように扱われた」(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/966806
またも私たちの津地裁判決が覆された。大したものだと敬服する。
こんなふうに一審と二審がリベラル度を競い合う裁判所になるといいのだが。