弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

さすが日経 忖度せずに 大砲4発「奇岩城」

2024年12月19日 20時08分17秒 | 裁判
私も連載最終回の今日になって初めて知ったが、日本経済新聞が今日まで最高裁批判の連載「三宅坂の奇岩城・最高裁」を4回掲載していた。
今日は私も登場した(写真)。
岡口基一元裁判官の弾劾裁判の際も見識を示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK042WI0U4A400C2000000/
罷免判決を批判した社説を掲載したのは、あと、準全国紙の東京・中日、地方紙の信濃毎日・琉球新報くらいしか見当たらなかった。
今や最もリベラルな全国紙は朝日でも毎日でもなく、もちろん読売・産経でもなく、日経なのかも知れない。
さすがはクオリティーペーパーだ。
もちろん私の愛する東京・中日新聞にはまだ及ばないと思うが、これまで単なる経済紙と思っていたので、大いに見直した。

私も既に、奇岩城に向けて攻撃の講演・証言・出版・提訴の4発をお見舞いしているが、もちろんこれだけで済ませるつもりはない。
半沢直樹の決めゼリフにもある。
「やられたら、やり返す。倍返しだ!」

「SNSを 控えよ」通知「機密指定」は 何のため?

2024年12月16日 18時30分33秒 | 裁判
年末が近づくと飲酒・外出の機会が多いからと、交通事故・交通違反等に注意喚起する通達が、お上から発せられる。
正直なところ、裁判所職員は子どもじゃあるまいしと毎年呆れている。
特に今年はこれに一段落が加わっているのが目についた。
「ソーシャルメディアを利用するに際し、職場や職務に関わる情報を扱う場合は、その内容によっては、国家公務員法上の守秘義務に抵触する可能性があるほか、守秘義務に抵触しない場合でも、事件関係者を侮辱したり誹謗中傷したりするような内容が含まれていれば、同法上禁止されている信用失墜行為に該当することもありますので、この点に十分留意してください。」
その当否はともかく、なぜこの内容に「機密性」があるのだろうか。
その過剰な秘密主義が、最高裁の信用失墜行為になっていることをそろそろ自覚すべきだろう。
人事局長も子どもじゃないんだから。

「裁判官ガチャ」対「後出しジャンケン」国には勝ち目が 無さそうな

2024年12月15日 12時35分42秒 | 裁判
最近よく「裁判官ガチャ」と言われる。裁判官の当たり外れが激しい事への不満である。
ただ、全国数千人の裁判官の誰かがその事件を原則として一人で担当しなければならず、担当裁判官はなるべく偶然に決まる仕組みにしているので、ハズレたと思っても、ある程度は我慢していただくしかない。その程度の不満で「裁判官忌避」を認めたら、裁判制度が成り立たない。
裁判官は、所属裁判所で事件番号順に配点され、たまたま当たった事件を担当するだけである。裁判官もその事件がやりにくいとか、嫌だからなどという理由では「裁判官回避」は許可されない。
そもそも、裁判官がその裁判所にいること自体が、多くの場合は偶然であり、最高裁の異動内示に応じたにすぎない。巨大なルーレットの玉として、全国津々浦々を回されているようなものだ。

しかし、よく考えてみると、国は、もしやろうとすれば、担当裁判官を選ぶ事ができる。
国の司法権を代表する最高裁は、重要な事件が係属している裁判所・合議体の後任裁判長や、全国の高裁の裁判長を決める権限を握っているのだから、国の行政権すなわち内閣を代表する法務省と協力して、
「人事を尽くして必勝を待つ」
という戦略が可能である。

特に、古くから日弁連を初めとする世論から問題視されている「判検交流」は、そのような必勝戦略の重要な一部として悪用されているのではないか、国民の絶えざる監視が必要であろう。
私としては、名古屋地裁民事第1部(労働事件集中部)の次期裁判長人事からは目が離せない。
名古屋の労働弁護士・経営法曹にとっても、死活問題かも知れない。

「辺野古訴訟」を どう思うかは 言えねえ現職「係属中」

2024年12月01日 10時32分41秒 | 裁判
昨日の岡山弁護士会主催の講演会から。
https://www.youtube.com/live/iacP_CSXYdw?si=LrDVynGdncjH5wI2

憲法76条3項「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」にいう「独立」は、主語からしても、一般的に言われる「司法権の独立」(対外的な独立)つまり立法権・行政権から不当に介入されないことよりも、むしろ「裁判官の独立」(内部的な独立)つまり個々の裁判官が裁判権に介入されないことを保障していると読める。
いったん裁判が提起されて特定の裁判官の担当事件として配点された以上は、他の現職裁判官は口出し無用ということである。

一連の「辺野古訴訟」について感想を尋ねる質問も出たが、まだ完全には終結していない事件なので、事案についての直接的な意見は差し控えさせていただいた。

京都にいるときゃ 人権派と呼ばれ 日弁連では 超タカ派

2024年11月09日 14時58分09秒 | 裁判
岡口基一裁判官の分限・罷免に関して、罷免訴追請求までと、罷免判決後とで、あまりにも弁護士会の反応が異なる事に違和感を抱いていた。
例えば、京都弁護士会も、訴追に対しては反対しながら(写真は会長声明の後半部分の抜粋)、罷免判決には批判声明を出していない。
罷免反対の会長声明を出したのは、全国でも、岡口さんが裁判官として勤務した東京・仙台をはじめとするごく限られた単位弁護士会だけである。
日弁連ではなぜ出さなかったのか、先週土曜日に招かれた司法シンポジウムの打ち上げ懇親会で率直に質問してみた。保守派の第一東京弁護士会などが理事会で強硬に反対したのだろうと思い込んでいた人は、少なくないと思われるが、少なくとも、この一件については冤罪であった。担当委員会で人権派と目される大物弁護士から強硬な反対が上がり、そもそも日弁連理事会には議案すら上程されなかったという。全く困ったものだ。
裁判官の身分保障も軽くなったものだ。これでは怖くて裁判官を定年まで続ける気にもならない。

「三人寄れば 文殊の知恵」で 日本の「司法」も「シンポ」する

2024年11月03日 12時47分23秒 | 裁判
昨日は、日弁連司法シンポジウムの第1分科会の三人のパネリストの一人として、NGワード(「地域手当」その他私が提起した裁判の事)には一切触れないまま、大過なく大役を果たせた。
これらに言及すると日弁連が私の訴訟を支援している誤解を招くというので、禁止されていた。「日弁連は支援している訳ではありません」と補足説明を加えればいいだけの話のように思うが。
最近は、ここかしこで度々聞くようになった変な屁理屈で、正直なところ、私には理解できない。

(参考判例)金沢市庁舎前広場事件最高裁判決(宇賀反対意見参照)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91799

一般的に言えば、外部講師に対して大変失礼だと思うので、今後はこういった条件付きの講演は一切謝絶することにしたい。
非常に残念であるが、日弁連の弁護士任官推進センターに対しても、同様とする。

それはそうと、パネラーとして用意していた結びの都々逸を披露する機会を失してしまったので、ここで披露させていただく。

裁判官ガチャ「再審格差」あとは当たりを 待つだけか?

2024年10月28日 20時55分28秒 | 裁判
飯塚事件 福岡高裁、検察側に証拠品リストなどの開示を勧告(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20241028/k00/00m/040/273000c
この事件は被告人は死刑執行のため生存していないが、再審開始に執念を燃やす弁護団長の命のあるうちに決定が得られるかどうか。NHKドキュメンタリーから映画「正義の行方」も生まれている。

再審開始の要件は、証拠の新規明白性に加え、良心的な裁判官に当たる幸運となっている感もある。
袴田さんも、静岡地裁の村山コートに遭遇しなければ、まだ獄中にいたかも知れない。
今日は、福井女子中学生殺人事件の名古屋高裁金沢支部の再審開始決定も確定することになった。
証拠隠匿・捏造の露見による再審が相次ぎ、総選挙も施行されたばかりのこの機会に、日弁連も主張している再審法制の整備に踏み切るべきだろう。

さすが私も 一目を置く「最高裁ウォッチャー」長嶺さん

2024年10月27日 09時21分05秒 | 裁判
週刊プレイボーイの長嶺照輝さんの記事から。
意外にも司法問題には以前から熱心な週刊誌で、長嶺さんは「裁判長の人情お言葉集」など数々のベストセラーがあるライター。
最高裁裁判官国民審査に特化した「サイコーですか?最高裁」(2007年)という名著もある。

https://l.smartnews.com/m-VvWoq/rlt1ul

「平木判事と中村判事は、まだ就任から間もなく、最高裁で判決にマトモに関与していないが、幸い裁判官出身なので過去の判断が見つかった。」
昨日の都々逸でも述べたように、本来、両判事は自ら国民審査公報のいずれかの欄で過去の判断に言及して、キャリア裁判官出身者としての矜持を示してほしかった。

裁判官としても 日が浅いため 特に記すべき 判決なし

2024年10月26日 20時25分16秒 | 裁判
中村槇最高裁判事の国民審査公報から。
私はこれを読んで初めて、この人が刑事ではなく「民事裁判官」だったと知った。
最高裁入りして間がないので、特記する判決が無いのは仕方がない。
しかし、それならば最高裁入り前に高裁・地裁で言い渡した判決を挙げるべきではないだろうか。それすら無いのではないかと疑われる。
実際に裁判に従事した期間は、通算しても10年に満たないという。
https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge2005/
本来なら、判事補から判事にすらなれない経歴だ。
「裁判官」枠ではなく「(司法)行政官」枠の最高裁入りと見ておくべきかも知れない。

独善的な 政治を支持し「独善に陥ら ないように」

2024年10月25日 00時00分17秒 | 裁判
今崎幸彦最高裁長官の国民審査広報から。

裁判官としての心構え
「裁判の枠組みを越えて独善に陥らないようにすること」

最高裁判所において関与した主要な裁判
なぜか、わざわざ反対意見を書いた2件を掲げていない。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/list2?filter%5Btext1%5D=裁判官今崎幸彦の反対意見

未来の世界の「地平」を開く「こんな最高裁に 誰がした?」

2024年10月05日 22時59分51秒 | 裁判
岩波書店「世界」から分離独立して創刊5号目の月刊『地平』11月号(10月5日発売)
https://chihei.net/2024/10/02/chihei202411/
特集記事には私も寄稿しています。

お盆は期日が 入らないから 宿題はかどる 休み明け

2024年08月13日 20時49分59秒 | 裁判
今年は夏休みが前半組だったので、今日から仕事。正確には、昨晩から令状当番で泊まり込みをしたので、24時間連続勤務だった。請求が無かったから十分眠れたが。
さすがにお盆は通常の裁判期日が入らないので、判決起案がはかどる。宿題を残しておいて良かった。

「何もしないこと」が 最高裁の「何かにつながる」気もします

2024年08月07日 20時20分30秒 | 裁判
最高裁長官退官記者会見から。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6301ea54075b38d785e3b0a6bddff92036d4e620

私は知らなかったが、「くまのプーさん」には、
「何もしないことが、最高の何かにつながる」
という名言があるのだそうだ。
(写真)しかし、三味線漫談の林家あずみ師匠がネタにしていたり、ポーランドで問題になっていたりするように、「くまのプーさん」はパンツすら履いていない。心配だ。

岡口声明・決議も出せぬ「こんな日弁連に 誰がした?」

2024年08月03日 19時49分51秒 | 裁判
今日もまたまた、本歌取り都々逸。
今回の元歌は、皆さんお馴染みの「星の流れに」。いや、知らないか。
私さえも同時代に原曲を聴いた事は無い。元々のタイトルは歌詞と同じ「こんな女に誰がした」だったが、GHQから横槍が入って改題させられたのが時代背景というから、それも当然。
(写真)同名の批判本が一昔前に出ている。
私も退官して日弁連会員に復帰したら、現代の浦島太郎として、同名の本を書きたくなる予感がする。

「2割司法」と「3割自治」が ごっちゃになったら「3厘」へ

2024年07月29日 12時56分24秒 | 裁判
一昨日の大阪講演には、福岡県から木佐茂男先生もお越しになって、初対面にもかかわらず、私の拙い講演を聞いていただける光栄にも浴した。
もっとも、私の著書に重大な事実誤認をご指摘いただいた。
(写真)この箇所で「三割司法」「三割どころか」の記述は誤りで、正しくは「三割」ではなく「二割」だとのこと。
https://www.bengo4.com/c_18/n_16969
記事にも出て来る「三割自治」と、私の記憶の中でごっちゃになっていたのだろう。
しかし、いずれにせよ「二割」の説明根拠が分かりにくいことには変わりはない。
私は国家予算全体を分母にして司法予算の割合を示す「三厘司法」への言い換えと、その打破を提唱し続けたい。