弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

証拠捏造→偽証の教唆 一難去って また一難

2024年10月23日 18時17分16秒 | 「あっぱれ!」判決
今日の名古屋高裁金沢支部決定から。
日弁連は個別の裁判は支援しないという原則があるとのこと(元弁護士の私にも初耳だが)で、頼んでもいない私の訴訟の支援も先回りして断られている。招かれた公式行事の講演等で言及してもいけないとのこと。
しかし、少なくとも刑事再審事件については日弁連支援事件がある。
今日もそのうち一件が陽の目を見た。

弁護士ドットコムニュースから。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_18054/

元々、名張毒ぶどう酒事件や東電OL殺人事件と同様に、一審は無罪判決だった。
控訴審の逆転有罪判決には、当時から疑問もあった。
検察はまたしても難しい判断を迫られるだろう。

「竹内コート」が 保守派に見える「長谷川コート」は 先を行く

2024年10月03日 21時38分45秒 | 「あっぱれ!」判決
三重大ハラスメント訴訟で女性准教授が逆転勝訴
名古屋高裁「村八分のように扱われた」(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/966806
またも私たちの津地裁判決が覆された。大したものだと敬服する。
こんなふうに一審と二審がリベラル度を競い合う裁判所になるといいのだが。

24時間 働けますか? 住み込み家政婦 過労死に

2024年09月19日 22時06分08秒 | 「あっぱれ!」判決
今日の東京高裁の逆転判決(水野有子裁判長)から。
24時間拘束の家事労働の末に女性死亡…
「労災」認める逆転判決 東京高裁
「労働基準法の例外」問題は残る
(東京新聞 TOKYO Web)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/355253

原告が控訴して東京高裁20か部からこの部を引き当てたのは、不幸中の幸いだった。

名判決を 花火のように「長谷川コート」が 打ち上げて

2024年09月13日 21時04分08秒 | 「あっぱれ!」判決
日東電工の賠償増額 名古屋高裁判決
待遇格差訴訟(三重 - 毎日新聞)

https://mainichi.jp/articles/20240913/ddl/k24/040/106000c

名古屋高裁民事第2部が今週、数々の名判決・名決定を連発した。
そのうち上記記事の判決は、私が裁判長を務めた津地裁判決の控訴審。
おそらく他の部に係属していれば、それなりに画期的だった一審判決から更に前進することは望めなかったのではないかと思われる。

私が「高裁最後のリベラル派裁判長」と呼んできた長谷川恭弘裁判長は、今日限りで定年退官。
自称「地裁最後のリベラル派裁判長」として、深く尊敬し、憧れていました。
お疲れ様でした。

「労災決定 争ってやる」これじゃ「あんしん」できません

2024年07月05日 08時38分21秒 | 「あっぱれ!」判決
昨日の最高裁判決から。

https://mainichi.jp/articles/20240704/k00/00m/040/297000c

これは文句なしの名判決。
最高裁に初の「あっぱれ!」だ。
この裁判は、被告の国と補助参加人の被災労働者がタッグを組んで、原告の使用者「あんしん財団」に再逆転勝訴したという極めて珍しい構図。

当然の判断とは思うが、原審・東京高裁が労災支給決定(行政処分)を争う使用者の原告適格を認めていたので、労働弁護団は、大歓迎の新判例。
これまで使用者はメリット制で労災保険料が不当に高くなるから原告適格があると主張してきた。
この点をどう排斥するのかと思っていたが、最高裁判決の理由は、もしそう主張したいのならば、後の保険料の決定処分を争えばいいではないかという理由。なるほどと感心した。

「ブラックボックス」とは ㊙︎「黒川氏 定年延長 文書箱」

2024年07月04日 21時29分33秒 | 「あっぱれ!」判決
遅ればせながら、6月27日の大阪地裁判決に「あっぱれ!」だ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/337526

剣持つことを 拒否する権利 シリア難民 認定を

2024年05月13日 20時46分55秒 | 「あっぱれ!」判決

5月9日の名古屋地裁判決(剣持亮裁判長)に「あっぱれ!」だ。

シリア人男性の難民不認定、名古屋地裁が取り消し命じる 全国で初(中日新聞Web)

https://www.chunichi.co.jp/article/896845

一種の「良心的兵役拒否」を国際的に認めたとも評価できるのではないか。
シリア難民では初というのも驚き。


「ふうふ」も色々 選択的な 別姓もあれば「同せい」も

2024年05月09日 08時28分19秒 | 「あっぱれ!」判決

「夫婦と同様」 同性パートナーへの名字変更認める 名古屋家裁 | NHK | LGBTQ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240509/k10014443741000.html

名古屋家裁審判に「あっぱれ!」だ。
鈴木幸男裁判長は、私の前任の津地裁民事部総括。家裁の審判(氏の変更許可)では極めて珍しい合議体による判断のようだ。
このような審判に即時抗告は出ないので確定し、夫夫同氏の念願が叶えられた。
同棲する同性カップルの「選択的」「夫夫」同姓が裁判所の審判により公認されたという事になる。


「家族」の慰謝料「ワン」十万は安すぎたのか「ワン」百万

2024年04月29日 19時23分25秒 | 「あっぱれ!」判決

名古屋高裁判決(長谷川コート)に「あっぱれ!」

愛犬の医療過誤で100万円…
「ペットも家族」増える慰謝料
弁護士「時代の流れに沿った判決」
(中日新聞Web)
https://www.chunichi.co.jp/article/884103

実は、原審・津地裁判決の裁判長は私だ。
一昔、二昔前までは、民法・刑法の条文のとおり、動物はあくまでも「物」とされ、物損の慰謝料は認められなかった。
昨今はそれを通すわけにもいかないご時世になったので、原審としては、原告夫妻に10万円の慰謝料を認めたのだが、控訴審は更に一桁上げて100万円に変更した。
おそらく、ペットの死亡による飼主の慰謝料額としては、史上最高水準と思われる。


「除斥期間」の判例破り「小林コート」は 時効とす

2024年04月28日 08時41分49秒 | 「あっぱれ!」判決

(写真)東京新聞より。下級審裁判官には珍しい死亡記事。

小林久起判事追悼を兼ね、初「あっぱれ!」を。

最高裁大法廷係属中の旧優生保護法による強制不妊手術に対する国賠訴訟。
仙台高裁の第二次訴訟の判決をした小林コートは、「除斥期間」経過として請求棄却とした他の部の第一次訴訟の判決と異なり、そもそも「除斥期間」ではなく「時効」の規定と解するとして時効完成を認めず、請求認容した。

https://www.aiben.jp/opinion-statement/news/2023/11/post-96.html

一連の地裁・高裁判決の中で最高裁判例に正面から異を唱えた唯一の判決。
「あっぱれ!」だ。
当時の民法724条後段を20年の長期消滅「時効」期間と解していた通説を覆し、唐突に、一切の例外を認めない「除斥期間」と解した35年前の最高裁判例は、増えつつあった戦後補償裁判を問答無用でシャットアウトする意図で無理矢理先回りしたと見るしかないものだった。
当時の通説に戻って「時効」だから援用権の濫用とすれば原告を救済できるではないかというのは、極めて真っ当な判断である。数年前の民法改正によって、同条の20年の期間は「時効」であると改めて明示された。

この「小林判決」は、最高裁大法廷に回付された先行事件には含まれていないものの、同様の見解を採用する最高裁判事が何人か出る可能性は十分あるようにも思われる。