ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

「J.R.R.トールキン-或る伝記」読了

2003年07月28日 | 旧指輪日記
買った時には渡英までに読み終わるかどうか疑問だったのですが、杞憂でした。非常に面白かったです。
トールキン自身は、文学作品を理解するのに伝記は何の役にもたたないと言っていたそうですが、そんなことないですよ教授! すごい参考になりましたよー! 「指輪物語」という作品について漠然と感じていたことや疑問にある程度答えが出た気がしました。
「指輪物語」って、文学作品としてはそんなに優れた作品ではないと思うんですよね(爆)トールキン自身も認めているようですが、最初の方は別の作品のようですし、書いているうちに気分が乗ってきている部分と苦しんで書いている部分が結構わかっちゃったりして(汗)個人的には、最初から最後まで統制の取れた、計算された作品の方がすぐれていると思うもので(汗)
それに、作者が登場人物たちに感情移入しすぎでしょう、というのもありまして。指輪を棄却するという使命を達成してから先が、ホビット庄の掃討は別として、とにかく長い! こちらも感情移入している身としては嬉しかったのですが(笑)
しかし、それだけケチをつけながらも(汗)、どうしてもこの作品に惹かれずにはいられなかったのでした。その理由は、多分ファンの方なら皆さん同じようにお思いのことだと思います。
この伝記を読んで、「指輪物語」の不思議な魅力、他の既存の文学作品とは全く違うし、後続の作品も、本質的なところでは似たような作品と言える作品は出現していないという理由が少しわかったように思いました。とりあえず、トールキン自身が他のあらゆる文学作品の影響を受けることを拒んでいたのですね。
そして、著者のカーペンター氏も書いていましたが、トールキンの人物像が描き出されて見ると、この人物からあのような作品が生まれたことが本当に不思議に思えてなりません。自らのルーツを愛し、カトリック信仰に頑強なまでにこだわった、トールキンの一見狭い世界の中に、どうやってあのような深い世界観が広がっていたのか・・・。
もちろん、この伝記を読んだだけで全ての答えがわかったわけではありません。例えば、エオウィンのような人物がトールキンの中で一体どこから出て来たんだろう、というのが不思議でなりません。この謎を解くには・・・やっぱりHoMEシリーズ読まなきゃだめなんでしょうかー(汗)
こうやって深みにはまって行くのでしょうか・・・(汗)恐るべしトールキンワールド(笑)

コメント
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