ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

クリーヴランド管のチャイ5!

2007年08月17日 | 旅行
アクロン(の近く)に行ったのはクリーヴランド管のLotRシンフォニーが目的だったんですが、せっかくだから・・・と翌日のコンサートのチケットも取っていました。
演目はプロコフィエフのピアノ協奏曲第三番とチャイコフスキーの交響曲第五番。
プロコフィエフ好きだし、チャイ5は昔大好きだったよなあ・・・とちょっと楽しみなプログラムでした。
ただ会場までの足が問題だったのですが・・・
一日目にどうやって行って帰ってきたかはこちらをごらんください。
かいつまんで書くと、行きはホテルからのタクシーを頼めたものの帰りを断られてしまい、(タクシースタンドで捕まえろとか言われた・・・そんなもんあるか!)会場で係りの人に頼んでなんとか予約してもらい、歩道のない丘を下る道路をクラクション鳴らされながら延々と歩いた末、ようやく帰れたのでした・・・
2日目は、行きはほかに行くところもなくて暇なので、歩いて行って(2時間くらいでつける見込みだった)、帰りのタクシーだけを予約してもらおう・・・とホテルのフロントで頼みました。
そうしたら、歩道もないし遠いから歩くのは危険だと説得され、行きもタクシーで行くことに。
そして、帰りの待ち合わせ場所を連絡してもらおうとしたら、行きの運転手に帰りの待ち合わせのことは言っておけ、とのこと。
うーん、帰りは多分違う人だと思うんだけど・・・と思ったのですが、反論できず、もういいや、ということでなすがままに(汗)(電話で、「英語喋れないけどちょっとわかる」と説明されていたわれわれ・・・)
行きのタクシーの運転手さんは、鬚づらで大柄で腕にタトゥーがバーン、と入ったワイルドなおじさんでした。会場についた時、「帰りもあなたが来るのか」と聞いたら、「電話くれたらいつでも来るよ」と言われて、ああやっぱり同じ人ではないんだなと判断。「いや会社にもう予約してあって・・・」というような会話をした後、待ち合わせ場所は指定しないままになってしまいました。
まあ、車が上がってこられなければ、下の通りで待ってるよね・・・ということにしました(汗)

前日はかなり早めに行ったら、この日のプログラムのチャイ5のリハーサルをたっぷり聞けてしまってラッキーでした。
4楽章で一旦音楽が切れるとき、オケの人たちが歓声を上げるのも聞けてしまったし。こういうのゲネプロでやるもんなんですかね。初めて聞いてちょっと感動。
で、この日は2時間前を切ったあたりで行ったのですが、行ったらなんとプロコのピアコンのリハーサルをやっている・・・
結局30分前近くまでリハーサルやってました。こんなギリギリにやるなんてすごいなあ。
ちなみに指揮はクリーヴランド管の副指揮者Andrew Gram氏。この名前を見て「おおっ」と思った私。彼、4月にドイツでやったLotRシンフォニーの指揮をやった人だったのです。なんで彼がやることになったのはわかりませんが・・・
リハーサルの指揮を見ていたら、ショア以上によく動いて面白い指揮をする人で、楽しんでみてしまいました。この人のLotRシンフォニーの指揮、見てみたかったかも。

で、リハーサル終了後この日のパンフレットをもらってみると、ん? 4曲プロになってる???
どうも、最初の2曲をBlossom Chember Orchestraがやって、後のプロコとチャイ5をクリーヴランド管がやるようでした。
どうりで・・・2曲プロっておかしいなあと思ってたんですよね・・・
指揮は後の2曲がGram氏で、最初の2曲はおなじくクリーヴランド管の副指揮だけどまだ1年しかやってない人でした。Gram氏は3年くらい副指揮やってるらしいです。
前の2曲は、ラヴェルの「クープランの墓」とプロコフィエフの古典交響曲。古典タングルウッドでも聴くんだけど・・・(汗)
しかしここで問題が。2曲プロだと思って、帰りのタクシーの時間を早めの9時45分に設定してしまっていたのでした。(この日は開演が7時)Informationで終演時間を聞いて、遅くなるようならまたadministratorで電話してもらわないと・・・と思って聞いたら、9時に終わるというので、それならこのままでいいな、ということに。
4曲プロ2時間で終わるのか?という疑問はちょっとありましたが・・・そしてやっぱりその通りだったのですが・・・(汗)

まずはBlossom Chember Orchestraの演奏。
ラヴェルはなかなか、と思って聴いてましたが、古典はかなり厳しそうでした・・・崩壊しそうな感じで(汗)崩壊はしなかったですけど。
プロコって難しいんだな・・・と思いました。

で、休憩を挟んでクリーヴランド管の登場。まずはプロコのピアコンです。
最初のクラリネットのソロからして、もう全然レベルが違って、感動すら覚えてしまいました。やっぱり上手いやクリーヴランド管。
ピアノも上手かった! 予習でアシュケナージの演奏を聴いてきてしまったので、聴きおとりしたら嫌だな・・・と思いましたが、もう全然ok。
力強くも繊細で、ミスタッチ全然なかったような。
そんなわけで堪能いたしました!

しかし、プロコのピアコンが終わった時点で8時45分すぎ・・・。そしてまた休憩が入ったりして・・・
うーん、これは終演9時半にはなるのでは、とちょっとあせりモード・・・
でも、チャイ5は絶対聴きたいし、とりあえず最後までは聞いて、アンコール諦めてダッシュで出よう、ということにしました・・・

で、チャイ5がまた良かった!
チャイ5は学生の時大好きで、やりたいやりたいと騒いでいたものでしたが(でも結局やったのは「悲愴」でした・・・)、その後だんだんチャイコフスキーはベタで恥ずかしいなあ、と思うようになり、あまり聴かなくなってしまったのでした。
とどめは、数年前にたまたまラジオで聞いた演奏でした。なんだかものすごーくベタな演奏で、聴いていて恥ずかしいくらいで(汗)「やっぱりチャイコは恥ずかしい」という印象になってしまったままこの日を迎えていたのでした。
でも、クリーヴランド管の演奏は、あっさりしていて全然ベタではなく、とても上品なチャイコフスキーでした。
特に3楽章が来ましたね~。あのワルツの優しさが沁みました。泣きそうになった・・・
2楽章も(リハーサルで間違えてたホルンのソロ、本番は大丈夫でした(笑))、1楽章の途中静かになるところもそうなんですが、悲しみを秘めた優しい旋律が、かえってズシーンと来てしまいました。
若い指揮者の真摯な演奏、というのもあったかもしれません。
聴いていて、まだチャイ5の頃はチャイコフスキー正気だな、と思いました(汗)全体的に悲しみを湛えながらも、優しくなるところでは、人の心を癒すことのできる暖かさがあって。
学生の頃6番目の交響曲「悲愴」を半年間練習したんですが、「悲愴」では2楽章の素朴なメロディも、3楽章の熱に浮かされたような明るさも、どこか上の空のような、偽りのものに思えてしまって、逆にチャイコフスキーの狂気と絶望の深さを感じたものでした。
4楽章の絶望的な悲しみが、チャイコフスキーの本当の心境なんだなあと・・・。4楽章は本当にチャイコフスキーがかわいそうになります。ゲネプロも本番も泣いたなあ・・・
そんな「悲愴」と比べると、まだチャイ5は、悲しいながらも、人の心を暖かくするものを持っているなあと・・・なんだかそんなことを考えてしまいました。
とにかく3楽章の優しさ、暖かさが沁みたんですよね~。
妹もすっかりクリーヴランド管のチャイ5が気に入ってしまって、しばらく姉妹でチャイ5ブームが巻き起こりました(笑)

カーテンコールはもちろんスタンディングになりましたが、この時点で9時40分くらい・・・(汗)後ろ髪ひかれつつ、アンコールは断念して会場を後にしました。
急いで昨日下った道路を歩いていると、向こうからタクシーが・・・
なぜかこの日は車が上まで来れたんですね。終了直後だったからかも?
こんな場所にタクシーなんて私たちの迎え以外に考えられず、手を上げて止めたら、なんと行きと同じ鬚タトゥーのおじさんでした!
行き違いにならなくて良かった・・・危ないところでした。
相変わらず深夜料金も予約料金もなし、しかもUターンして進行方向向いてからメーターを動かす親切さ。
そんなわけで、この日も無事に帰ることができました。

野外音楽祭って楽しいし、クリーヴランド管はすっかり気に入ってしまったのですが、車なしで英語も喋れない人がここに聴きにくるのは無謀だな、とも思いました・・・
また来ることは、多分ないでしょう・・・(汗)まあいい思い出になりました。
それにしてもやはり車社会アメリカですね・・・思わぬ苦労させられます(汗)
コメント (2)
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ガラドリエルと私

2007年08月17日 | 指輪物語&トールキン
ネタがないときのキャラ語り、今回は奥方です。
奥方との初めての出会いは、カラス・ガラゾンの宮殿?でですね。
当初の奥方の印象は、単に優しいイメージでしたね。
いや、神秘的な雰囲気も感じてはいましたが、基本的に旅の仲間に親切な人、という感じで。
フロドが指輪を譲ろうとしたシーンも、奥方の変貌はあんまりわからなかったし・・・
後でサムが言っていた奥方の印象が、上手いなあと思いましたね。まあトールキンが書いてるんだから当たり前ですが・・・(汗)
近づきがたいようでいて、気さくなところもあって、その時によって印象が少しずつ違う、不思議な、でも魅力的な人、それが原作を読んでの奥方のイメージでした。
原作ではケレボルンは映画ほどひどい扱いではないけれど(汗)それでも、明らかに奥方の方が力がありそうな雰囲気が面白いと思いましたけど。
このあたりも、第一紀からの奥方の過去の設定があってこその印象だったんでしょう。設定は色々と変化したようですが。
特に、ノルドールの一員しての宿命が、奥方の存在に深みを与えていたと思います。The Road Goes Ever onのトールキンによるNamarieの解説によると、ガラドリエルは指輪の試練に耐えて初めて西へ渡る権利を得ることができたという設定を考えていたそうですし。
奥方の、旅の仲間たちへの言葉も印象的でした。映画ではアルウェンの台詞になっていたけれど、「そなたたちが踏むべき道は、目に見えなくともすでにそなたたちの足元から敷かれていましょう」という台詞がとても好きです。
ギムリを結構気に入っているらしいのが、ギムリ好きとしては好感度大ですしね(笑)「追補編」で、ギムリが西へ渡るのに奥方が力添えをしたかも、なんて書いてあったのも「そんなにギムリ気に入ってたんか」と嬉しかったですね(笑)
戴冠式に来たのはびっくりでしたが・・・しかもその後ずっと一行と共に旅してたなんて、想像できないんですけど・・・(汗)
でも、木の鬚との会話は好きですね。「中つ国でお会いすることはありますまい。あるいは波の下の地が持ち上げられるまでは。その時は、タサリナンの柳生うる草地で、春になればお目にかかれるかもしれませぬ。」という台詞。
これも、べレリアンドが海に沈んだ、という設定があっての台詞で、初読時はよくわからないながらも、切ない雰囲気がいいなあと思ったものです。
木の鬚の詩の中で、ナン・タサリオンのことも出てきてましたしね・・・
アラゴルンへの「残された日々を上手に使いなさい」という台詞も印象的ですが、でも映画のようにロリアンで今生の別れ、の方が切なくて好きですが・・・
まあ、ギムリにもう一度奥方を見せてあげられて良かった、というのもありますけど。
灰色港への道中で登場した時、フロドの歌に呼応するように歌うのがいいなあと思うのですが、トールキン・アンサンブルでしか実現してくれませんでしたね。ラジオドラマは歌ってなかったし。ミュージカルでやったらいいかなと思ったんですがやらなかったしね・・・
とまあそんな感じで、原作初読時のイメージは、神秘的なイメージはありつつも、優しい人、というような漠然としたイメージでした。まだ過去の話も知らなかったですし・・・
そんな状態で映画を見ましたが、ケイト・ブランシェットの奥方は見事にイメージどおりでした! いや、はっきりイメージできなかったのを具体化してくれたのかもしれません。
ケイト・ブランシェットの奥方は、原作のサムが言っていたとおりの、近づきがたい雰囲気と、気さくな雰囲気を併せ持っていて、本当にすごいなあと思いました。
ちょっと怖いところもありましたが、そのあたりは原作から読み込めていなかった部分だった、と思います。
贈り物のシーン、サムにいたずらっぽく笑いかけるシーン好きだなあ。
あと、ピピンに「Don't be afraid, young Peregrin Took. You should find your courage.」という台詞も好きで。敢えてメリーではなくピピンに、というところがむしろ泣けたりして。
そして、アラゴルンとの別れのシーンが・・・ここサントラもいいのでよく泣いてしまいます。
やっぱりアラゴルンと奥方の別れは、ロリアンで、の方が美しいと思いますね・・・。ギムリはちょっとかわいそうだけど、それも切なくていいかなあと。
その後「シルマリル」を読んで(FotR SEEよりは前だったですけど)、奥方の過去を知ってちょっと衝撃でした。
自分の王国を持ちたい(ちょっと違う?)、なんて思って中つ国に行ったんだ、というのがちょっとショックというか・・・(汗)
メリアンに、ノルドールの宿命について決して語ろうとしなかった、というあたりも、奥方の妙に生々しい人間的なところを見てしまったようで・・・
でも、そんな人間的な奥方、ケイト・ブランシェットが演じるのを見てみたい気もしますが・・・
ラジオドラマの奥方は評判良くないようですが、私としてはケイト・ブランシェットの奥方にも近いものがあって、わりととっつきやすかったですね。
ミュージカルの奥方は、すごく目立ってますが・・・ちょっと派手でエキゾチックでびっくりしてしまいますが、私は結構好きです。ミュージカルの登場人物の中ではかなりいい方ですよ。
贈り物のシーンは泣けたしなあ・・・。ロンドン版のLaura Michelle Kellyさん、評判良いようなので、来年もやっててくれるといいんですが。(私が行けるかどうかわかりませんがね・・・)

次回のキャラ語りは、アルウェンの予定です。うーんアルウェン・・・何を語るんでしょうか、私は(汗)
コメント (2)
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