驚くべき集中豪雨の日が明けて、嘘のような晴天となった。暫くご無沙汰の登山に備え、鳥海山麓へ散策に出かけた。
場所は異形ブナの宝庫である神秘の森、獅子ケ鼻湿原。新緑が眩しい深い森に浸ってきた。
新緑シーズン真っ盛りのためか、アマチュア写真家のバスツアー客がたくさん訪れていた。殆どが年配の方で、お年を召した女性の方々も首から高級一眼レフを2台、肩には大きな三脚を担ぎ、森の中をシャッターチャンスを求めて歩き回っていた。
江戸時代末期から昭和の時代まで続いていた炭焼きのために伐採した枝が、芽を出し成長を続けたことが、この森を形成する独特な形の樹木の理由だと言われている。その炭焼きの窯が今もきれいな形で残っている。
かの有名な「あがりこ大王」は樹齢300年で幹回り7.62mと他を圧倒する森の「王様」。
鳥海山からの豊富な湧水により豊かで美しい森が育まれている一方、その水源を利用した発電施設の一端も随所に散見される。
中島台方面から望む西面はだいぶ雪解けが進んでいるが、北面はまだまだ雪が豊富で、この晴天の中多くの山スキーヤーを誘っているに違いない。
これも発電施設の一端?コンクリートの水路を激しい勢いで水が流れている。
この時期、薄地化繊の山シャツがちょうどいい。パンツはArc'teryxのGammaLT、今どきのシルエットに比べ少し幅が広い。
梅雨時の誰も居ない静かな森の中を一人散策してみたい。そんな気持ちにさせる素晴らしい森であった。
落としてしまった眼鏡が管理棟に届いていないか次来るときまでに忘れずにいよう。そしてこの日時間が無くて寄れなかった、にかほ駅前のジャズ喫茶へも是非立ち寄りたい。
LUXMANが1977年に発売したラボラトリーリファレンスシリーズ用に設計されたトーンコントロールアンプを入手した。
他に同シリーズのプリアンプとパワーアンプを持っているので、是が非でも欲しかったトーンコントロールに特化したアンプ。
外観はあまり良い状態ではなかったが、内部は若干ハンダの劣化が見られるものの比較的きれいで接触不良も殆ど無い状態であった。
最近ではオークションで故障品(ジャンク品)であっても人気商品は結構値がついて、以前のように格安でゲット出来ることは皆無に等しい。
想像するにジャンク品を買い集めた中古販売業者が修理をして高値で再販するという構図があるのかもしれない。
逆に考えれば故障した製品も高値で売却できるというメリットもありそうだ。
これでLUXMANの5M21、5C50、5F70と3部作がそろった。なんと当時の価格でしめて486,000円、これにグラフィックイコライザーの5G12を加えると631,000円のスペシャル価格。当時の大卒の初任給が約10万円で現在が20万円、その差が約2倍と考えると、今では100万円にもなる驚きの価格。
もっとも現在ではアンプ単体でも100万円を超える製品はザラにあるから驚いてもいられない。
残念ながら5G12は殆ど市場に出回らないので入手は極めて困難。
音はトーンコンにより低域の量感を増すことが出来、ラックストーンの艶やかさに加え、少し荒削りな所も作り出すことが出来る。
さらにルームアコースティック機能により、音場感も広がった気がする。どちらかといえばクラシック向きな優等生ぽい音を様々な音楽のジャンルにも対応出来る機能を持った機器と言えそう。
DIATONEのスピーカーは音がいい!昔からよく言われた通り、実際歯切れが良く低域が締まっていてジャズやロックを聴くならDIATONE、そしてSANSUIのアンプとベストマッチで当時随分人気を博したものだった。
そんなDIATONEの古いスピーカーには耐久性を高めるためにウーファーのエッジに繊維を練りこんだ特殊なエッジを採用していた。
しかし、このビスコロイドという素材が経年により硬化して、コーン紙が動かず低域の出音が鈍るという現象が起きてしまった。
その為、残念ながら古いDIATONEのこのクロスエッジを採用したスピーカーの中古相場は総じて値崩れしてしまった経緯がある。
2年ほど前にネットでこのエッジを軟化する薬剤を入手し、丹念に塗り込むと軟化し、低音もそこそこ出るようになった。
先日暫らくぶりにエッジをチェックすると、部分的に硬化している個所が見つかったので、余った薬剤を再塗付した。これにより、エッジが再び軟化してコーン紙もかなり動くようになった。暫くの間エージングで低音が増量しているか見極めたい。
パワー感たっぷりでグイグイ聞かせてくれるオールドSansuiのAU-7700がついに故障してしまった。
草食系の他のアンプに比べて音が硬くて男気があり、大変お気に入りだったので非常に残念。
外観も漆黒パネルにアルミ無垢のツマミはオールドSansuiならではのマニア心を擽るデザイン。ある日普通に聞いていたら突然スピーカーが壊れてしまうほどの大ノイズが発生、素人で何とかできるレベルではないと判断し、即刻取り外すことに。
本当に気に入っていたので、修理も視野に入れてSansui専門の修理業者にネットで見積もりを依頼した。メールのやり取りで症状と入手時期を聞かれ、ノイズの状況と数年前にオークションで購入と伝えると、修理は5~6万円かかり、直してもまたすぐに他の箇所が故障する可能性が高いとの返事。ハッキリ言って寿命だと体よく断られている感じ。長く使っていて愛着があり、何としても直して使いたいというユーザー向けの修理業者なのだなと思った。
そこで代替機として着目したのがNECのA-10シリーズ。リザーブ電源という強力な電源を採用していて、濃厚な中低音を聞かせる今も人気が衰えない昭和の名器。若干高めの買い物ではあったが、オークションで実用機を入手した。
NECがオーディオ業界に参入する目玉として開発された採算度外視の物入りアンプで、重量は25㎏もあり、内部は強力なトランスとコンデンサでほとんどのスペースが占められている。見ての通りAU-7700とほとんど同価格帯にも関らず、内部の作りが全く違う。作れば作るほど赤字になるというのも頷ける。
入手したアンプはそのタイプⅢで、実用機だけあって寸前まで使用されていたらしく、ガリなど接触不良もなく内部もきれいな状態であった。
「音」は素晴らしいに尽き、低域がボンつかず締っていて良く出る。中域はホーンやボーカルが厚く前に出る。高域はガサツでも雰囲気がある。全く持ってハードバップにぴったりの音質でjazz好きには堪らない。豊かで深い低域はトランスの容量に比例すると言われているが、まさにそれを実感した。
このアンプを聞いてから好みの路線が変わった。というよりSaxophoneで言えばStan GetzやZoot Simsのソフト路線に比べてPepper AdamsやGerry MulliganのBaritoneSax、Sonny Rollins、Johnny GriffinなどいったゴリゴリのTenorSaxの良さが判ってきた。