母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

幼なじみの百日草

2014年08月12日 | ふるさと
乾いた地面がちりちり焼けて
キアゲハがひらり 
百日草の花の庭にやってくる
入道雲が湧く山の稜線は
雲の群れに身をゆだね
何処からともなく一斉に
アブラゼミ啼く夏休み

絵日記を描くとクレパスが
指の間で油くさく匂った昼下り
花瓶に生けた花たちが
眠そうに揺らいでいた昼下り

旧盆の飾りの大きな花瓶に
グラジオラスとダリアとユリ
そして鮮やかな色とりどりの百日草が
菓子箱の上で笑うのだった
菓子箱の中身はセロファンにくるまれた
都会の珍しいお菓子たちなのだった
父さんの許しがあるまで
食べれない先祖様のお菓子なのだった

菓子箱たちをじっと眺め
縁側にゆくと
アスターにホウセンカに松葉ボタン
竹垣で支えた花の群れ群れに丈高く
赤く桃色に白く色鮮やかに
夏のいつもの友だち 百日草が
黙ってじっと見つめているのだった



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