『居酒屋』 L'Assommoir
『居酒屋』(2)
——————————【2】—————————————————
Puis, toute frissonnante d'être restée en camisole
à l'air vif de la fenêtre, elle s'était assoupie,
jetée en travers du lit, fiévreuse, les joues
trempées de larmes.
.——————————(訳)————————————————
それから薄いキャミソール姿のまま窓辺の冷たい空気に
あたっていたので、寒さに震えながら、彼女はベッドに
差し渡しに飛び込んで、そのまままどろんでいた.顔は
熱く火照り、頬は涙に濡れていた.
.——————————《語句》————————————————
frissonnant(e):(形) (寒さ、恐怖、悪寒で)震えている
être frissonnant de peur / 恐怖でおののいている.
< frissonner (自)[de で](寒さ、恐怖、悪寒などで)
震える、身震いする;
—Le malade frissonne de fièvre. /
病人は熱で震えている.
camisole:(f) [服飾]❶キャミソール、(婦人用のゆった
りとした腰丈のランジェリー風の薄手の胴衣、
ブラウス; ❷(囚人が着る)拘束衣;
toute frissonnante d'être restée en camisole: ブラウスの
ままでいたためにすっかり寒さに震えて;
tout は、次にくる形容詞を強調する副詞で、「す
っかり、とても」の意味.子音または有音のh で
始まる女性形容詞の前でのみ、性数変化するため、
toute となっている.
尚、本文ではこの形容詞句が文頭に来ていて理由
を述べる文修飾をしている.「形容詞が文修飾す
するなんて越権行為だ」なるほど、だが、étantを
補ってやると、分詞構文のお墨付きとなります.
vif,(vive):(形) 生きている、
air vif / 清涼の大気、冷たい空気
restée:(p.passé/f) < rester (自)
rester:(自) rester + 属詞:~のままでいる
restée en camisole:下着姿のままでいる
être restée en camisole:下着姿のままでいた
frissonnante d'être restée en camisole:
下着姿のままだったので震えている
en camisole:キャミソール姿で
à l'air vif:冷たい空気に触れて
assoupi(e):(形) まどろんでいる; < assoupir
assoupir:(他) まどろませる; La chaleur a assoupi le
conducteur. / 暑さのため運転手はうとうとした.
en travers:交差するように、横切って、横方向に、
ふさいで、
fiévreux, fiévreuse:(形) 熱のある
fiévreuses なら頬のことだが、単数形なので、顔
全体か、もしかしたら、身体に熱を帯びて、風邪
引き状態だった示唆なのかも知れません.
joue:(f) 頬 [頬は2つあるので複数で用いることが
多い] Il a des joues creuses. 彼は頬がこけている.
trempé(e):[トランペ] (形) ぬれた;
un visage trempé de larmes / 涙にぬれた顔
larme:(f) 涙