はちみつブンブンのブログ(伝統・東洋医学の部屋・鍼灸・漢方・養生・江戸時代の医学・貝原益軒・本居宣長・徒然草・兼好法師)

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貝原益軒の養生訓―総論下―解説 051 (修正版)

2016-02-11 11:55:15 | 貝原益軒の養生訓 (修正版)
(原文)

孫真人が曰、修養の五宜あり。髪は多くけづるに宜し。手は面にあるに宜し。歯はしばしばたゝくに宜し。津は常にのむに宜し。気は常に練るに宜し。練るとは、さはがしからずしてしづかなる也。

久しく行き、久しく坐し、久しく立、久しく臥し、久しく語るべからず。是労動ひさしければ気へる。又、安逸ひさしければ気ふさがる。気へるとふさがるとは、ともに身の害となる。

養生の四要は、暴怒をさり、思慮をすくなくし、言語をすくなくし、嗜慾をすくなくすべし。

病源集に唐椿が曰、四損は、遠くつばきすれば気を損ず。多くねぶれば神を損ず。多く汗すれば血を損ず。疾行けば筋を損ず。

老人はつよく痰を去薬を用べからず。痰をことごとく去らんとすれば、元気へる。是古人の説也。

(解説)

 「孫真人・・・」も「久行、久坐、久立、久臥」も「貝原益軒の養生訓―総論下―解説 029」にでてきました。『千金方』が出典でしたね。

 「病源集」はちょっと注意が必要です。この語順だと『諸病源候論』というこれもまた知られた古典医学書を想起しそうですが、これだと隋代の巣元方の著作です。ここでは「唐椿が曰く」とあるので、書名は正しくは『原病集』でしょう。唐椿は代々医の名門の家系で、様々な宗派の医術を捜し集め、父祖の教えを以て正し、自分の意見も付け加え、病源を斟酌し、分類編集して『原病集』を著しました。

 江戸期の医師丹波元胤はこの書について「医の指要であり具わざる所無く、今の方術家の多くは之れを宗とす」と記しています。人々を説得するには、権威や一般的に知られたものを利用することは今も昔も同じです。益軒もこれに倣っているようですね。

 「古人の説」の古人とは具体的に誰を指すのか明らかではありません。もしご存知の方がいらっしゃればお教えください。ただ明代の医師、韓懋(カンボウ)は『韓氏医通』で去痰薬の一つである白芥子についてこう述べています。「凡そ老人の痰気喘嗽、胸満懶食に苦しむは、妄りに燥利の薬を投ずべからず。反って真気を耗す」と。他にも半夏や天南星、(ソウ)角子、杏仁など去痰薬はいろいろありますが、これらも毒性があるので過剰摂取しないように注意が必要でしょう。

(ムガク)

(これは2011.3.16から2013.5.18までのブログの修正版です。文字化けなどまだおかしな箇所がありましたらお教えください)


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