駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

ブレッド

2011年12月02日 | オールドミュージック
古いアルバムばかり聴いているオレですが、そんな自分が今さらながらハマっているCDを紹介します。
今回は「the best of bread」。
自分の年代にストライクなのが70年代前半の音楽で、聴いていると、何だか少年の頃の記憶に重なって、甘酸っぱく、嬉しいような悲しいような、切ない気分になります。
真空管のラジオにかじりついて、深夜「オールナイトニッポン」などから流れる新しい音楽に胸をときめかせた、10代の自分。
勉強と言いつつ、ただ音楽を聴いてただけなんだけど、でもそこには夢が溢れていた。
情報の少ない時代ですから、洋楽を聴きたいオレにはラジオが宝の箱みたいなもんでした。
ベンチャーズのテケテケからビートルズ、そしてハードロックへと時代が流れていく中で、時折流れる美しい歌声が印象的なブレッドというグループ。
ブレッド=パンという名前の優しい音楽のバンド、というイメージだけがあって、当時はそんなにハマるということもなかったのですが、改めてこのCDを聴くと、実に素晴らしい。
本当は、ただのパンじゃなく、聖書的な意味合いの「神様の糧」という神々しい名前だったようです。
アルバムのどの曲も出来が良くて大好きなんですが、当時ニッポンでは大ヒットというより中ヒットという感じで「あ、聞いたことある」程度の曲が多い印象ですね。
オレ的には、代表曲が「イフ=71年」で、「ギターマン=72年」「二人の架け橋=70年」といったところが泣ける歌なんだけど、「イフ」に関しては、自分も今でもセクシーボイスというバンドで歌わせてもらっています。

当時の洋楽の中で、「ソフト・ロック」と呼ばれたバンドのその筆頭ともいうべきグループですが、当時は「ソフト・ロック」という呼び方は褒め言葉だったのか、それとも蔑称だったのか。
何となく、あまり褒め言葉のような感じはしなかったのですが、今の時代はなんでもありの時代ですから、大いに誉め称えたい。
きっと、グループ中心のDavid Gatesが発する「甘い歌声」ってのが、「こんなんロックじゃねえぜ」みたいな流れを生んで、ソフト・ロックと呼んだのではないかと想像するんだけどね。
ところで、この70年代初頭の音楽が何故こんなに好きかというもう一つの理由が、ドラムの音色・音質だったりします。
時代の流れで、エレクトロニクスの進化がドラムサウンドを翻弄しました。
70年後半から80年代にかけて、コンピュータサウンドと称してテクノポップなどが台頭するとともに、ドラムが打ち込みになったり、エフェクターを使ってリバーブやゲイトなどをかけて自然なスネアサウンドが聞けない時代がありました。
また、スネアのチューニングをベタベタに下げて、2拍4拍のアタックしか聞けない暗黒の時代もあって、ロックへの興味を失ってしまうほどの酷さでした。
ですから、この70年初頭のナチュラルなドラムサウンドは、一服の清涼感があって、実に安心します。
「ジム・ゴードンというセッションドラマーから、マイク・ボッツに正式メンバーに変わってバンドとして固まった」と、アルバムのライナーノーツにあるんだけれど、ドラムがある曲は確かにロックしています。
ロックビートな曲などでは、ドラムのフィルに攻撃的な気合を感じて、ドラマーのハートを打ち抜かれます。
そう、これこそハートブレイク・ドラムであります。
まあ、いっぺん聞いてみてちょんまげ。
コメント
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