会社の慣習の件

江戸の中期。幕府の財政は火の車であった。

そんな折、勘定方である萩原重秀は、上役に進言した。
「幕府が、これが１両だと決めれば、例えガレキであっても構わないというのが貨幣というもの。貨幣の価値は幕府が決めるものです。」

当時の小判は慶長小判。徳川家康が、関ケ原の合戦の翌年に発行し、天下統一を象徴するものだ。
慶長小判の金の含有率は８５％
溶かして金にしても、同等の価値があった。つまり、物々交換の延長である。

「金の含有量を減らせば、多くの小判を発行できます。小判の発行者である幕府の特権により、多くの小判を発行すれば、財政難は解消できます。」
上役は、仰天した。

かくして、重秀のシュミレーションとおり、幕府の財政難は解消。経済も回復した。
この手柄により、重秀は、勘定方のトップである勘定奉行に上り詰めた。

「貨幣の価値は、その商品価値ではなく、
国家が法律で定めるもの。」今では、当たり前だが、ドイツの経済学者であるゲオルタ・フリードリヒ・クナップのこの提言の１００年以上も前に、重秀はそれを考え出したのだ。

常識、慣習に捉われない改革を行う。現代のビジネスでは、いかがだろうか？


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