
痩せた土地に生えた柿の木はたくさんの実を付けると言われます。
子孫繁栄のために一生懸命実を付けるのです。
私達の仕事は、裕福なオーナーからの依頼は少ないようです。
持たざる中でも、次の世代に引き継ぐために知恵を絞ります。
たくさん実を付けることは出来ないけど、食いつなぐことができるならば。
借金をしながらの投資です。
私が関わってきたプロジェクトはほとんどが食品プロジェクトです。
1グラム1円の世界です。利益率も3%です。
それは、どんなに大きな食品工業でも同じようなことが言えます。
エンジニアリングフィーは、石油や医薬の18%に比較すると
半分の8%が平均です。
プロジェクトチームと言っても2-3人の少人数です。
建築から、建築付帯設備(空調、電気、システム、ユーティリティー)と
生産設備(機械)です。扱う製品は液体、粉体、固体と多岐に渡ります。
5年に1回、10年に1回のペースで投資されるので、同じプロセスに当たることは
ほとんどありませんでした。商業ベースでいうと、一次産業(農林水産業)、
二次産業(加工食品)、そして三次産業(スーパーマーケットなど)です。
省エネ、省人は当たり前の世界です。FS(フィージビリティースタディー)から
計画設計、調達、工事と試運転までが普通です。
工場はできたけど、目まぐるしく変わる製品に対応するため、
使う側のボトルネックは常に出てきます。ボトルネックの解消に関する
コンサルタントも仕事です。加えて、寿命の長い機械の技術伝承のサポート
(機能説明、メンテナンス)も仕事です。
ナショナルブランド(定番商品)は、どの食品業界でも20%以下です。
自動機を入れても、すぐに使えなくなります。
非効率的で、常に痩せた土地と言えます。10年先は見通せないのです。
そんななかでも、センチュリーカンパニーや1兆円企業は数社あります。
ほとんどが社員100人以下の町工場ですが、いつか化けようと頑張っておられます。
工場の作り方も、箱モノの建物に機械設備を入れるようなプロジェクトがほとんどです。
そんな中でも、部分最適ではなく全体最適をめざし、
従業員が働きやすくするにはどうしたら良いか考えます。
これまでと違った工場を造るには、従業員の新しい考え方が必要になります。
そのために、プログラムを作るのも私達の仕事です。何が新しい考え方なのか。
プロジェクトチームとして、常に2-3人のマルチタレントのエキスパート集団が求められます。
そんな人はいないのです。
だから、チームが結成されると同時にチームの和とモチベーションアップに奔走します。
FS時点で、見積額とコンセプトが明確になっていなければなりません。
そんなことは、スーパーマンでもない限りできません。
だから、手弁当で足繁く通い、無償の付き合い(アイデア提出)を繰り返すことになるのです。
ジョブになるのは、ほんの5%程度です。ほとんどが没です。
ここにチャンスがあるのです。無償の付き合いこそ事業を学ぶ最大の好機です。
足音こそ何にも勝る肥料であり薬なのです。それこそ立派な野菜を作る近道です。
また、プロジェクトが始まりそうです。
今度はどんな挑戦ができるのでしょう。
2014年11月18日