🌸🌸「ストレス解消法」🌸🌸
今日のテーマは「ストレス解消の秘訣とは」です。
もう少し優しい言葉で言うと
「つらいことが起こったとき、どうやって乗り越えればいいか?」
です。
例えば、
ある29歳の女性社員が、朝上司に
「君はデータ処理の仕事が遅いね」
と叱られたとします。
もし皆さんが、この社員だったら、
どんな感情が浮かんでくるでしょうか?
上司に叱られたわけですから、
「ショック」とか「不安」とか
「悔しさ」「悲しさ」という感情かもしれません。
起こった出来事は同じでも、
人によって湧き上がってくる感情は違います。
あるいは、同じ人であっても、
日が違えば、違う感情になったりします。
言われてみれば当たり前ですが、
同じ出来事に直面しても、
頭の中に湧いてくる感情は、
人やさまざまな条件によって変わるということです。
だから上司から「仕事が遅い」と言われても、
笑って受け流せる人もいれば、
「つらい」と思う人もいるのです。
逆に言えば、
隣の人が同じことを言われてニコニコしているからといって、
自分はおかしいのかな?と思う必要はないと言うことです。
自分の中につらい感情が生まれたとき、
皆さんはどのように対処していますか?
人間は基本的に、痛いことやつらいことを避けようとします。
あるいは、なかなかその対処が分からず、
その感情の虜になったり、
それを無視してしまう人もいます。
自分の感情をストレートに表現するといっても、
具体的なイメージができない人も少なくないかもしれません。
ですが、つらい感情との付き合い方がわかれば、
安心してその感情と向き合うことができるようになります。
つまり、
つらい感情乗り越える第一歩は、
その感情を、ごまかさず自覚して受け入れること。
つらいと感じている感情、
それと共にある思いに素直に向き合うということです。
「今、自分はすごく絶望している」
「すごく腹が立っている」
と自覚し、
さらにそこから、
「自分は今こう思っていて、こういう気持ちになって
感情がわき起こっているんだ」
と自覚する。
そうやって、一つひとつ向き合っていくことが、
ストレスを乗り越えて行く近道になるということです。
人間の脳には、人間のらしさを生み出す「大脳皮質」という、
とても大きな部位があります。
そして感情は、人間だけでなく動物たちも持っている
「大脳辺縁系(へんえんけい)」というところがつかさどっています。
「大脳辺縁系」は感情だけでなく本能を司る中枢でもあり、
むしろ動物の方が発達している場合もあります。
人間らしさを生み出す「大脳皮質」と
感情を司る「大脳辺円形」とは、
位置的には離れていますが、神経繊維でつながっていますので、
情報が行き来し、双方が影響を与え合うわけです。
ですから、つらい感情が湧いて大脳辺縁系が活発になると、大脳皮質がその影響受けて、
視野が狭くなったり、多様な考え方ができなくなったり、
そのマイナスの感情に影響を受けた考えしか浮かばなかったりするのです。
だから、寝たり、休養取ったりしながら時間をかけ、
いわゆる「ほとぼりが冷める」のをまつと、その感情が収まっていき、
また、人間らしい行動ができるようになるのです。
つまり、これが
ストレスの対処のコツです。
19世紀から20世紀に活躍したフランスの「アラン」という哲学者がいます。
アランは「幸福論」という著書の中で、
「情念は、人間が生きていく上で切り捨てることができないものであり、
単に否定すべきものではない。
しかし、虜になってしまってはいけない厄介なものである」
と言いました。
「情念」とは、ネガティブな感情だけでなく、すべての心の動き・感情ということです。
私たち自身であると共に、私たち自身を不幸に陥れるたりする厄介なものです。
情念の原因は私たちの外にあり、私たちの自由にはなりません。
自然の法則であったり、社会の習慣であったり、
他人の存在もそうですよね。
アランは、その情念との付き合い方についてこう述べています。
「私の情念、それは私ではあるが、私よりも強い。
情念は私そのものであるから、逃げることはできない。
それに対抗するには意思の力が必要だ」
「人間は情念という薮だらけの荒野を
自らの手で切り開き、耕さなければならない、
強い意志の力によって。
そうすれば、人生に豊かな実りを得ることができる」
と。
つまりアランは、
「つらい感情を自分の意思で開墾し、
それをうまく処理したり、調節できるようになれば、
幸せが近づいてくるよ」
というわけです。
ただこれは、
あくまでも自分で対処できる範囲の「つらさ」を抱えている人に向けた話です。
中には、自分だけで対処できないような「つらさ」を抱える人もいます。
ドーンと気持ちが重くなり、
その感情を持っていること自体を持て余し、
気分転換程度では十分に対処できない場合もあるのです。
つらくて眠れないとか、
時間がたっても問題がそのまま残り続けたり、さらに大きくなったり、
「つらさ」の頻度が増えたり、
肩こりがひどくなったり、食欲がなくなったり、
逆に過食になったり、そんなつらい感情の虜になることもあります。
そんな場合は、
一人で抱え込まず、誰かの助けを借りることが必要です。
その助けは基本的には、家族や友だちでしょうけど、
それでも足りない場合には、
福祉関係の方々、カウンセラー、医師など
専門家に相談した方がいいでしょう。
中には
「人に助けてもらうことが恥」
とか
「自分が弱いからだ」
とか、
そんな認識をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その考えは改める必要があります。
これだけは、はっきりお伝えしておきたいと思います。
(「みやざき中央新聞」3.21 中野有美さんより)
たまには、
心ゆるせる誰かに相談しましょう。(^_^)