クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

ゲンシミヤマ

2019-03-20 00:34:57 | ゲンシミヤマ

デンティクルスゲンシミヤマクワガタ

Noseolucanus denticulus(Boucher,1995)

*成虫の画像はありません

分布:♂19.2~27.3㎜

体長:♀21.0~25.9㎜

分布:ミャンマー北部・中国(雲南省)



藤田宏著「世界のクワガタムシ大図鑑・6」によると

デンティクルスゲンシミヤマは(以下ゲンシミヤマ)Lucanus属とは異なる綴りで

ミャンマーからいくつものクワガタ新種をもたらした野瀬幸信さんにちなみ 

Noseolucanus属となっています。

また、現地での記録として、標高1500~2000mの山地沢沿いで

歩行中の個体が採集されています。

今回の記事には残念ながら成虫の画像はありませんが

この種の特徴は、なんといっても他に類のない容姿

オスの前胸背板と頭部には横筋があり、メスにはありません。

また、メスも少し発達した大あごを有します。

この面白い特徴を持ったクワガタが近年、ミャンマーから僅かながら輸入され

幼虫なども時折販売されています。

そこでゲンシミヤマの情報を得ようと検索するといくつかヒットしましたが

ほぼ飼育一辺倒、学術一辺倒で

知りたかった成虫の生態観察などに関する記事は見つかりませんでした。

せっかく飼育できるのだから特徴的な容姿の秘密を探らねば・・・



今年1月のこと、ゲンシミヤマの2齢幼虫が4頭届きました。

幼虫は、昨年の9月に孵化したもので

それらを引き続き19度前後で管理すると

孵化から半年ほどで終齢に加齢し始めました。



2019年3月16日、終齢幼虫には狭すぎる90ccPカップから500ccカップへと移し替えました。

↓ 2齢幼虫 2019年3月16日


新たに使用したマットはエノキの黒く腐食したマットです。

↓ 実色は黒系で、エノキのマット


↓ 2019年3月、終齢へと加齢


ゲンシミヤマは原始的な種=ゲンシのようですが

幼虫はコルリクワガタやツヤハダクワガタなどのように

一見して感覚的に古さを感じることはありませんでした。

ただ、腹部末端あたりがやや長く見えるような気もしました。

*実見:同腹4頭



仮に、和名に惑わされない見方をしたら高地で小型化したグループ

それほど古くはないという思いも出てきます。

↓ 頭部(2齢)大あご先端はさほど鋭敏でない


↓ 腹部末端から2節目腹面には微毛が密生

↑ クワガタは腹部末端微毛で大あごや体を掃除する



↓ 見た目での種同定は困難




↓ 終齢でも小さい




↓ 500ccへ




↓ 他種との兼ね合いで管理温度は20度ほど


これらの幼虫が羽化するのはいつのことかわかりませんが

無事に育ったら繁殖だけでなく、生態観察もしてみたいと思います。


参考文献;

 藤田宏,2010.世界のクワガタムシ大図鑑6.むし社.



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