*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)。
ブルークツヤクワガタ
Odontolabis brookeana
体長:オス29.6~52.9㎜ メス24.9~29.4㎜
分布:スマトラ・タナマサ島・ボルネオ
よく似た種にゾンメルツヤクワガタ Odontolabis sommeri がいます。
↓ ブルークツヤクワガタ
2回目の飼育
ブルークツヤクワガタの飼育は2回目です(以下ブルーク)。
前回(2018年)は産卵せずに終わりを迎えましたが
メスは飼育開始から3か月ほど生存した記憶があります。
今回は産卵セットを周到に準備して生体を迎えました。
↓ South kalimantan 産野外個体
↓ 腹面 雌雄ともにきれい
↓ オス体長約47㎜(今回飼育個体) 長歯型
↓ 2018年に飼育した個体 オス体長約42㎜
↓ 大あご基部に三角形状の内歯がある(ゾンメルツヤクワガタにはない)
↓ 微毛が密生
飼育するブルークメスの上翅の模様は
ボルネオ北部等に分布するゾンメルツヤクワガタの亜種
Odontolabis sommeri loweiに似ていますが
水沼哲郎・永井信二著1994.「世界のクワガタムシ大図鑑」にも
同じような上翅模様のW kalimantan産ブルークメスが図示されています。
↓ ブルークのメス26㎜ ゾンメルツヤクワガタ ボルネオ亜種と似たような黒い柄
オスは、軽く刺激を与えると脚を使って体を機敏に上下させ、何かをアピールします。
雌雄ともに符節(爪)は鋭いので古い個体ではないようです。
多くのクワガタムシ(オス)では
大あごの出現型(短歯〜長歯型)は体長に影響されますが
ブルークのオスの大あご出現型は必ずしも体長と歯型が一致しないようなので
出現型にはパプアヒラタのように遺伝によるところもあるのではないかと私は考えます。
↓ パプアヒラタクワガタ野外個体
↓ 似たような大あごを持つツヤクワガタは多い
産卵セット
一般にブルークの飼育繁殖は難しいといわれていますが
西山保典著「世界のクワガタG」によると
ブルークツヤクワガタは「低山地から中山地域に生息する普通種。
ココヤシの花や、樹液に集まり、日中容易に採集できる」とあります。
また、藤田宏著「世界のクワガタムシ大図鑑(6)」では
「平地から標高1500m以上の高標高地まで広く分布しているが
標高500〜1000m付近に多い、灯火にもよく集まる。」とあります。
どうやらブルークは現地では珍しくはないようなので
繁殖できる環境は限られてはいるものの
そういった環境が広範囲にあると思え(例えば土中)
今回は、インビタビリスツヤクワガタや
チャイロマルバネの産卵に通用したマットを使い
水分多めでセットを組みました。
↓ 乾燥させたいマット類は、土嚢袋に入れておくとうまく乾燥でき、保管もしやすい
↓ 基マット約55%シイ赤枯れ約45%で配合
↓ 底から10㎝ほどはやや硬詰め・粘土はやや高め
産卵セットに投入する前に何度もハンドペアリングを試みたのですが
オスに交尾欲が見られませんでした。
野外活動していたメスであれば大方交尾は済ませているので
とりあえずは持ち腹に期待し
飼育下未交尾のままメスを産卵セットに投入しました。
あとは準備したマットで産卵してくれることを願うだけです。
↓ オスの反応が悪い!
↓ 性成熟していることを前提に・・・
鈴木智之・福家武晃.2002. 「世界のクワガタムシ生態と飼育」によると
スマトラではブルークは3~4月に出現するようです。
そして、棲息地は15~25度とありますので
小屋内22度程度の場所で飼育を開始しました。
↓ 管理温度は22度くらい
参考・引用文献:
水沼哲郎・永井信二,1994.世界のクワガタムシ大図鑑.むし社.
鈴木智之・福家武晃.2002. 世界のクワガタムシ生態と飼育.
株式会社環境調査研究所.
鈴木智之,2005 .クワガタ・カブトムシ飼育大図鑑. 世界文化社.
藤田宏,2010.世界のクワガタムシ大図鑑6.むし社.
やはりそうですか!
オスはメスを攻撃して交尾しようしないし、メスはマットに潜って動きません。
餌も食べに出てきません。
一応チャマルが産むレベルのマットにしたのですが、やはり産卵までに時間がかかりそうな感じでなので、気長に待ってみることにしました。
ブルークを羽化までもっていけただけでもすごいです!
うまく産卵してくれたら、その後の飼育法などアドバイスお願いします。
〜23度位ではほとんど休眠して一年位で落ちました。なので、飼育温度はすこし上げて産卵のスイッチが必要かもしれません。
さっき エアコン吹き出し近くの24〜26度くらいになるところに移しました。
ありがとうございました。