濃飛樹脂軌道

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旅館に設置する電気自動車充電器の考察。

2018-02-27 08:19:11 | 電気自動車
アイミーブで一泊旅行に出かけたときに思ったことです。
「一晩泊まっているうちに満充電できないものか?」
…そこで宿泊施設に設置すべき充電設備の考察です。

宿泊施設の設備を考え、大きく3通りに分けています。
1.部屋数10室以下、低圧受電
 最近泊まった下島温泉朝六荘を想定。
 低圧受電(1φ200V)の場合、分電盤の配線容量は少ないです。
 10kVA受電とすると充電に充てられる容量は1/10と想定して1kW、よって100V充電1台が妥当と考えられます。
2.部屋数15室前後、高圧受電
 同じ下島温泉の仙遊館を想定。ここは高圧受電(3φ6.6kV)なので容量は50kVA以上あると思われます。
 5kW充てるなら200V1台+100V2台が適当でしょう。
3.部屋数20室以上
 こうなると変電所容量も大きくなるはず。200kVA以上あるとすれば200V充電器も複数イケます。
 利用率の高いホテル・旅館なら20kW中速充電器もありえます(下呂温泉ホテル水明館など)。

充電時間
1.100V充電
 一泊二日なら17時チェックイン・9時チェックアウトとしても16時間。その間一切クルマを動かさないなら電力量は16kWhです。
 それだから駐車場につなげっぱなしでアイミーブなら満充電可能。リーフ初期型でも67%充電できます。たださすがに現行型リーフでは40%で不足を感じますが。
2.200V充電
 一泊朝食(B&B)で22時~8時としても10時間30kWh。
 アイミーブや先代リーフなら満充電、テスラでも50%イケます。家庭充電と同じなので電気自動車オーナーには判り易いです。
3.ChaDeMo(急速・中速充電)
 これがついている旅館は相当大規模のはず。
 20kWクラス1時間としてもアイミーブ・初期型リーフには十分。現行リーフでも2時間で満充電だから宿泊客から鍵を借りて従業員が駐車場へ移動し他の宿泊客のクルマを充電できます。

充電料金:電気事業法の絡みで電力量に応じた徴収が難しいので設備使用料としている施設が多いです。
1.100V充電
 1kWh30円として16時間で480円。計算が面倒なら1台500円としても話は合うでしょう。
 注意すべきはアイミーブMやアウトランダーPHEVの場合。これらは割高になるので300~400円など車種別にしても問題ないです。
2.200V充電
 スタンド型など認証が出来るのであれば1時間単位の使用料を徴収できますが、そうでなければ車種別にしたほうがいいかもしれません。
 アイミーブ/アウトランダー400円、リーフ800円…などにしておけば面倒な計算も要りません。
3.急速・中速(ChaDeMo)
 急速系充電器は宿泊客だけでなく一般のクルマも充電するもの。
 カード認証できるものなら頭を悩ませる必要はありません。
 認証できない機種の場合は回数で処理することになりますが、1回500円などだと容量の違いによる不公平もあるので車種別を検討するべし…ただ従業員への周知教育が大変でしょう。
 やっぱり基本はカード認証方式です。 

設置工事:電気工事士として、電気主任技術者として、思ったことを述べます。
a.100V/200V
 一般家庭に同じく、単相3線電灯用分電盤から20A分岐回路を設けるだけ。作業に伴う停電は漏電ブレーカー設置の時だけとして20分程度。
 もちろん駐車場に一番近い分電盤、他に負荷がある場合の目安は主幹ブレーカー容量が60A以上(エコキュートのある一般家庭の最低限)。
 とはいえ普段の負荷率が高ければ主幹ブレーカーが切れるかもしれないのであらかじめ負荷測定する必要があります。
※自宅につけて実運用に入った我が家でもEV+エコキュート+エアコン一台稼動で5.7kWを記録…切れる一歩寸前だったことがあります。
 この件は別途記載予定
b.ChaDeMo(急速・中速充電器)
 道の駅などにある急速充電器は新たに専用配線を敷く場合が多いので他の負荷を気にする必要は少ないです。
 注意すべきは高圧受電で受電箱(キュービクル)から供給する場合。事前に高圧設備保守担当者(電気主任技術者)に負荷測定を依頼して変圧器の容量に余裕があるか確認して下さい。
 高圧受電設備などから配線を引っ張る場合も電圧降下を抑えるため内線規定の適用が求められます。

この文面は電気のプロとしての視点も多分に含んでいます。判らないことがあればコメントなどで質問下さいませ。


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