食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

夜警

2010-03-12 08:04:56 | 日記
 「う~ん。僕みたいに絵心のある人間はだね~ 」


 往時、土曜ワイド劇場、天知茂の明智小五郎シリーズの中盤あたりに出てくる、ペテン美術商が口にする決まり文句、、、、、、、、、、


  、、、、、絵心、、、、、


 黒木瞳と山田花子との高低差はわかるけど、黒木瞳と吉永小百合との微分値は求められない。


 、、、、、これを、絵心がない、、、と言うのだろうか?


 ただ、絵心とは別に、歴史背景、人間関係など、その絵が描かれたバックグラウンドをある程度理解して鑑賞すると、別の趣が生まれてくる。


 オランダの生んだ偉大なる画家、レンブランド。


 彼の名を有名にしている作品に、、、、、「 夜警 」 がある。


 このタイトルと、暗い色調の油絵、これらをして、夜の風景と思われている人が大方と感じるが、実は、昼間の光景である。


 レンブラントが居住した市の、自警団の集団肖像画で、正式なタイトルは、

 「○○○隊長と、△△△副隊長、 □□□市の市民隊 」 と、ピカソの正式名に負けず劣らずの長さを誇っている。


 この、絵画を作成するに当たり、レンブランドは、市民隊全員から費用を調達した。


 その為、彼ら全員をカンバス中に描かなければならない、という義務を余儀なく背負ってしまう。


 確かに、スポットライトを浴びてる隊長と副隊長を中心に、その周囲を、これでもか、と言わんばかりの人達が取り巻いている。


  しかも、よく観察すると、その一人一人に、何らかの役割が与えられている。


 この、万事抜かりない完成作を前にして、市民隊の誰一人、不満を漏らす者はいなかったという。


 献金額の大小により、人物表現を明と暗で描き分けた、、、とは考えすぎだが、、、


 さすがは、光と影の画家、、、、 そのコントラストに、それぞれの鼓動が伝わってくる


 、、、、、そして、、、、、


   この 『 夜警 』 は何より、、、、、、


  「 お金はただではださないよ 」  という、、、、


   『 見返り 』

 
   の論理を、強く主張しているような気がする。