広小路歯科 院長の雑記帳  (豊橋の歯科医院)

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山本五十六 映画鑑賞記

2011-12-26 15:17:54 | Weblog
クリスマスイヴの深夜、友人のM氏とI氏と映画「山本五十六」を観賞してきました。
公式ホームページへのリンク(注:サウンド付きです)

この映画の製作にあたっては、かつて海上幕僚長であった古庄幸一提督がいろいろと助言・協力したそうです。
それもあって提督と親しいM氏のお誘いで観賞してきました。

邦画の戦争映画では脚本家が史実以外の伏線を造らんが為に、一兵卒の恋愛話が無理矢理入っていたり、士官に似合わないアイドルタレントが居たり、大事なシーンに興ざめする挿入歌をながしたりして観るに耐えないものが多いのですが、さすが古庄提督協力だけあって見応えあるものになっていました。

M氏のお話によると、古庄提督は、海軍士官の立ち振る舞いや言葉遣いから、衣装からあらゆる点において助言をしたそうです。

マニアックな目で見ると判りますが、兵曹の階級章などは昭和17年に改変があったのですが、それ以前のシーンにはちゃんと17年以前のタイプが使われています。
時代考証のいいかげんな映画はそのあたりがいいかげんです。

軍艦や航空機のセットも凝っています。
例えば戦闘機などは胴体側面に搭乗員が乗り降りするときに使う足掛けのバーがあり、それをちゃんと乗り降りするシーンでは使用しています。
空母なども着艦シーンでは、航空機の着陸誘導灯まで再現されています。
なかなか、ここまでやってる映画はありません。

それから小道具も優秀です。
海軍士官の制服は、今回役者さんの体型にあわせて新調したそうです。
海軍士官は制服を自費でオーダーメイドする伝統が有ります。
体型に合わない制服を着る海軍士官など居ないのです。
東映の衣裳部屋には多くの士官制服もあったと思いますが、それらを使いまわさないで新調したのは大正解だと思います。
このあたりも、提督のこだわりだとお聞きしております。

それから、艦橋での海軍士官のシンボル的小道具といえば双眼鏡。
司令長官、司令官、艦長など、役職によって首から下げる紐の色が違うのは、あまり知られておりませんが、そのあたりもしっかり再現されています。
考証がいいかげんな映画では市販の双眼鏡のストラップの黒色のまま使わせています。

艦橋内での号令もいい感じに聞こえてきます。
「両舷前進強速!!」とか…
これが、いい距離感でしかも良いタイミングで聞こえてくるのです。

ただ、少し無理感があるのは電信員に上官が「長官の行動を流す奴があるか!」と怒鳴るシーン。
軍隊では電信員ぐらいの階級では自己判断できません。
むしろ怒鳴ってる上官の責任です。
山本長官の行動が敵に傍受され、待ち伏せを受けた史実を解説したいが為に入れたシーンでしょうが、有り得ないですね。

あと、使われている洋上の甲板のシーンは本物の護衛艦で撮影されています。
海軍省の建物とその内部は、海上自衛隊の呉地方総監の建物です。
これは旧軍時代からのレンガ造りの建造物です。
これも提督の取計らいで撮影できたのでしょう。

細かい視点で観賞してもほとんどアラのない極めて優秀な作品です。
戦争映画と区分けするより、これは戦史であり「伝記」だと思います。

ぜひ映画館の大画面でお楽しみください。
士官制服の胸の略章まで実に精巧に出来ていますよ!








コメント
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