広小路歯科 院長の雑記帳  (豊橋の歯科医院)

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予知性

2015-06-06 09:29:18 | Weblog
歯科医療界では時々一般では使われない言葉が好んで用いられます。
その一つが「予知性」です。

使い方としては「予知性の高い歯周治療をするためには…」とか「予知性の高いインプラント治療とは…」の様に使います。

この「予知性」の語源をたどると英語のpredictabillityに行きあたります。
動詞のpredicutの訳は「予測する」「予言する」だそうです。
それに「能力」「技量」「力量」とか「○○することができる」のabillityがくっついています。

素直に訳せば「予測することができる」って感じでしょうか。

他の業界用語の訳を見ると「予測可能性」となっています。

でもなぜか歯科業界だと「予知性」と訳されて使われています。
きっと昔の偉い教授がpredictabillityを「予知性」と訳して歯科業界で定着したのでしょうね。

歯科の治療は歯や骨、いわゆる硬組織を扱うことが多くそれらに手を出すと後戻りができない事が多いのです。
これも業界内では「不可逆的侵襲」などといいます。

そこで大事になるのが「予知性」なのです。
「先を見越した治療」が大事なのですね。

保存できない状態の歯を抜くとします。
その抜いたところをブリッジで繋ぐのか?繋いで支えになる歯は長持ちするのか?支えに用いた歯が将来的に抜歯になったら入れ歯の設計はどうするのか?
などなど、長期的に予測してブリッジで行くのか、入れ歯で行くのか決めなければなりません。
(まあ、あくまでこの例は予知性の意味を解っていただく為のシンプルな話ですが…。)

そして、少し話は変わりますが
いま広小路歯科の隣の敷地では建売分譲住宅が8件もできようとしています。
今まではカキ畑で石巻山まで良く見えて、昇る朝日が差し込む東側に開けていました。

この医院を建て替える時の事ですが、設計士さんが診療室の大窓を西側の自宅に向けた図面を持ってきました。
私はてっきり明るい東側に診療室の大窓を向けると思っていたし、患者さんに自宅側を見られるのも気になったので設計の意図を聞いてみました。

「畑は将来何ができるか解らないので、明るい東側は小窓だけにして、西向きに診療室の大窓を配置しました。」と設計の意図を説明してくれました。

いや驚きました!明るい東側に背を向ける戦略。

もちろん当時もその意図を即座に理解したので今の向きで医院が建っているわけですが、7年経ってその戦略が効いてきました。

すばらしい「予知性」の設計です。







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