折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

能登の旅(2)能登演劇堂

2022年10月08日 | 能登半島の旅

能登演劇堂の前は田か畑か広々




左を向いても広々・・・開演前に




いよいよ今回の旅の目的「いのちぼうにふろう物語」の公演へ。
金沢駅からの直行バスは2台でほぼ満席。お芝居見物に女性が多いのはいつものことですが男性がかなり参加されていたのはこれも仲代さんの魅力でしょう。バスは劇場まで1時間半、能登半島を海沿いに北上して劇場到着。のどかな田舎と言ったところにありました。



左の建物が劇場

仲代達矢さんが名誉館長の能登演劇堂は1995年誕生の演劇専用ホール、舞台奥の大扉が開くと能登の自然が広がり舞台と一体になる舞台機構が魅力です。

ネットから




少しでも前の席をと数日分を調べていただいても1ヵ月前の予約では17列目がやっとでした。今は最終日10月10日までの公演チケットは完売。どちらにしてもセリフは多分聞き取れない私なので雰囲気が味わえれば十分です!今回の「いのちぼうにふろう物語」の原作山本周五郎の「深川安楽亭」も直前に読んでおいたのでストーリーも分かる。あとは楽しむだけ!

物語は江戸深川の「島」と呼ばれる無法地帯に建つ一膳飯屋。老いた主人(仲代達矢)が、ならず者たちの親代わりをし暮らしている。誰もが足を踏み入れないこの場所に一人の青年が足を踏み入れて・・・
・・・お金のために落ちてゆくしかない若い二人のために、まるで獣のようなならず者たちが「いのちぼうにふろう」と戦って死んでゆく・・・
ラストは舞台後方の扉が開くと自然の林の中に御用提灯が輝き大勢の取り手。映画のシーンに切り替わったような錯覚をおぼえました。取り手とならず者たちとの大立ち回り、広くなった舞台で89歳の仲代さんも刀を振って・・・最後は拍手と涙と。
幕が下りても拍手は止まず、多くの方が立ち上がっての拍手に何度ものカーテンコール!
お芝居を観てこんなに感動したのはいつ以来、と言えるほど見てはいませんが遠くまで来て本当によかったと思える舞台でした。
来年10月14日~26日、無名塾では七尾出身の絵師、長谷川等伯を主人公にした芝居上演とか…観たいです、でも、遠いです・・・


演劇堂からはまた直通バスで和倉温泉まで30分。助手席を使うほど満席、この方たちが皆温泉泊りなら経済効果も大いにありそうです。私はネットで見つけた一番安かった温泉宿の夕食無しの予約、たまたま劇場で隣に座られた方も一人旅で同じ宿で「夜は近くでお寿司でも食べようと思っていますが、一緒にいかがですか」と誘っていただきました。なのに、人見知りで人付き合いの悪い私は「駅弁買って来たので部屋で食べますから」と。宿の部屋で金沢駅で買った駅弁と宿までの途中で買った缶ビールで夕食。その方と翌朝のバイキングでお会いすると「昨夜のお寿司屋さんにたまたまあの舞台の役者さんたちが来ていらして、話が盛り上がってね。楽しかったですよ」と。翌日は休演日なので役者さんたちもゆっくりされたのでしょうが、駅弁などは食べなくてもお寿司屋さんへ行けばよかったと、後悔しきりです。誘っていただいた方も魅力的でお話をもっと伺いたい方でしたし、チャンスを逃すのはいつものことですが、またまた残念なことでした。
誘ってくださった方が宿に着く前に「これよかったらどうぞ。ここが私の句なの」と言ってバッグから俳句誌を1冊くださいました。「私は忙しくて今日しかここに来れなくて」と、とても忙しそう。部屋でパラパラ見ると巻頭の18句は彼女です。翌朝「巻頭に掲載ってすごいですね」と言うと「一年前から責任者なので」と、言いながら去ってゆかれました。家に帰ってよく見れば彼女は師の後を継がれた選者でもあり俳句誌の編集者でもあり、それは忙しいはずです。宿に向かうバスの中から月が見えると「7日か8日の月ね」と言われた時、こうした話をされる方っていいなと思ったことを思い出しました。気さくで爽やかな方でした。


能登の旅(3)につづきます。





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