伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

学術会議人事で複数の政府関係者が証言・・やっぱり

2020年11月08日 | 政治
 栄冠の散歩から帰ってポストから新聞を取り出すと、「学術会議人事 『反政府主導』懸念し拒否 鑑定、過去の言動問題視か」とのトップ見出しが目に飛び込んだ。


福島民報(2020年11月8日)



 記事によると、任命から外された「会員候補六人が安全保障政策などをめぐる政府方針への反対運動を先導する事態を懸念し、任命を見送る判断をしていた」ことが、「複数の政府関係者」の証言から分かったという。「安全法相関連法や特定秘密保護法に対する過去の言動を問題視した可能性がある」としている。

 この任命拒否問題は、当初から特定の政策に対する6人の言動等が問題視されたのだろうと追求されてきたが、やっと政府に近いところからそのような証言が出てきたのかという思いだ。

 菅首相は一貫してこの指摘を否定してきた。この問題を指摘されると、「総合的、俯瞰的(ふかんてき)な活動を求める観点から判断した」として、最近は「多様性が大事」という説明をしてきた。しかし、開会中の臨時国会でもそうだが、「個々の人事のプロセスについては答えを差し控える」と具体的な説明は拒否を続けている。

 政府の説明に理がないのは、以前の政府等の説明と、今政府がしている説明に矛盾が大きいという点から良く分かる。議論が進めば進むほど、政府の今の説明と過去の説明の食い違いが大きくなってくるという状況があるように思う。

 特定の知人を忖度し利益を供与した疑いが指摘された森友・加計学園問題や、公費を後援会活動や選挙などに利用したなどと問題になった桜を見る会疑惑などが続いた安倍政権だったが、新型コロナ対応への迷走の批判が大きくなる中で政権を投げ出した。表向きは持病の悪化という体調不良だった。しかし、背後には国民的批判の高まりがあったことは間違いない。

 安倍政権は、安保法制の強行など、立憲主義や法治主義をないがしろにする政治姿勢を拡大してきた。菅政権になって科学者会議の委員任命拒否の問題が浮上した。しかし、政府の言い分を聞いていると、安倍政権のもとで任命拒否の準備が進められていたことが分かってくる。そして、この問題は、菅政権も立憲主義や法治主義を軽視する政権だということを示していると思う。

 まあ、当然と言えば当然。何しろ安倍政権を官房長官として支えてきた人物なのだから。

 スタート早々、その政権の持つ問題ある性格が明らかになった菅政権。自民・公明政権の行き詰まりが、ここでも浮彫りになっているように思う。

 同日付の解説記事では、この問題での菅政権の対応に学者側から批判の声が上がっているという。

 共謀罪を含む組織反正処罰法改正案の問題点を指摘した松宮孝明・立命館大学教授は、世論調査でも多かった反対を「学問的立場から代弁した。それを理由に任命を個比するなら、首相の言う『偏った人事』だ」「どんな不合理でも他人の意見を聞かず、やりたいことをやると言っているに等しく、まさに独裁だ」と非難しているという。

 また、元学術会議会長の大西隆・東京大学名誉教授は、「会員は首相や国会議員と同じ特別職の公務員で、政治的中立は求められていない」(なるほどそうかと納得した指摘だった)「思想や政治的立場で六人を排除したことになり、憲法で保障された基本的人権の侵害だ」と訴えているという。

 沖縄県名護市辺野古への米軍基地移転に関し、意義を唱えた岡田正則・早稲田大学教授は、「しそう心情に直接干渉しても良いという案核が政府内にまん延しているのか。恐ろしい権力の行使だ」と批判しているという。


福島民報(2020年11月8日)



 安倍政権を継承するという菅政権。問題ある政治姿勢もそのまま引き継いだのでは、国民は不幸と言わざるをえないと思う。


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