先日、熊本日日新聞に載った江川紹子氏の『視界良好』記事は、オウム事件等で優れた活躍をしたジャーナリストが書いたと
思えない程『視界不良』なものだった。
(福島原発事故後、福島や近郊地域に住む人々の間で)
☆「放射能に対する必要以上の不安があり、その人々の不安につけ込んで『エセ科学』が酵素の菌や特別な水が放射能値を
下げると宣伝し、己の組織に取りこむ。放射能の不安は、カルト集団=エセ科学(宗教とは限らず、ビジネスも)のエネルギー
源であり、飯のタネでもある。」(概略)☆
人々の不安に付け込んで、益々こういう組織は、これから多くなる危惧がある。それに対する警鐘と云う点では、同感。ところ
が、その説明部分で江川氏は、
☆「政府が直ちに健康に影響がないと言う線量でも『影響が出る可能性がある』危険性を強調する専門家もいる。被災地から遠
く離れた場所での鼻血や下痢も、あたかも低線量の放射線でこうした急性症状が出るような誤解を与え、エセ科学を肯定する
ような記事が載った事がある。乳製品の替わりに腐った豆乳を与えてしまった親もいて、放射能よりこちらの健康被害が心配さ
れる。この反応は、カルト宗教に心を支配された人たちに近い。これに対抗する術が社会にないから、できるだけ人々の不安
に共感して寄りそっていく事を心がけたい」(概略)☆
政府が直ちに影響がないと言っているのを肯定しているのか。『急性症状』という箇所に欺瞞を感じたのだろうか?いやいや、
そうじゃない。彼女は、発表された低線量の放射能数値が『影響が出る』と云う事もエセ科学で、人々に『誤解を与える』事だと
言っている。それが、カルト宗教に取りこまれる時の心の反応だと。商売・商売の正しく『似非科学』とチェルノブイリの現状から
学ぶことの出来る真実を訴える科学者の警告とごちゃまぜに論じている。江川氏は、低線量の健康被害を御存じないのだろう
か?東京にも福島原発1号機・3号機が爆発した時、大量の放射性物質が降り注いでいる。米国の市民団体・エネルギー環境
調査研究所(IEER)の調査では、スリーマイル島原発事故の19万倍もの放射性物質が放出されたと3月下旬に発表している。
勿論、政府発表とかけ離れた数値だ。これまでの政府・東電の情報隠蔽行為から、政府が発表する事を真に受けず放射能を
危険視する事は、賢明な選択だ。事故から半年になろうとする頃は、為政者側も、放射能の事を国民に忘れて貰いたい時期
だ。これに同調しているかのように感じた記事でもあった。原発推進機関や政府の出す情報が正しいとの前提で書かれてある
が、正確な情報すら「似非科学」だと言っているようにも読みとれた。放射能被曝を出来るだけ避ける為に 将来起こり得る健
康被害を防ぐ為に「被曝から1年以内の防護策が将来の健康を左右する」と警鐘を鳴らす研究者の発言にも相反するものだっ
た。