IPPNWのアレックス・ローゼン医師の講演『福島原発事故による健康被害ー小児科医の報告 Part2』文字起しの続きです。
☆この写真では、子供達が福島県の学校の庭で普通に遊んでいます。しかし、よく見るとマスクをして、放射性物質の埃が肺に
入るのを防ぎ、胸には放射線測定ガラスバッチをつけねばならない、それで、毎年、どの位の放射能を受けたのかを測るので
す。この報告を聴かれて、皆さんはこの人物のように かなりグロッキーになったことでしょう。
私達は、個人として一人一人何が出来るのかを説明します。最も大事なのは、情報を集め現状を知り、それを理解する事で
す。そして、それを人に伝える事です。情報を拡散し、分かり易く説明する、友達や職場でこのテーマについて話す、このよう
に色々な集まりで多くの人達に知ってもらう、より多くの人々が、この問題に気付き意識が高まり、「汚染は大したことはない。原
子力エネルギーは、やはり必要だ。」というような、原子力業界の虚言に騙されぬことです。そして、次に大事なのは、そういう
人に批判的な質問をすることです。本当かどうか、根拠はどこにあるか、証明させることです。先日、福島県では、山下俊一の
ような人が、人々を安心させる為にやってきて、「笑っている人に放射能はやってこない。年100ミリシーベルトでも安全です。」
では、その人に批判的な質問をすると、「実際には、よく判らない。放射能はリスクの一つではあるが、生活する事自体がリスク
なんだからしょうがない。」等と言っています。
更に、政治家とも対峙して、個々の問題や心配を訴えるべきです。これは、東京での脱原発デモの写真です。ドイツでは、エ
ネルギー転換が決定、しかも、二度も決定されたのです。それは、民衆からの圧力により実現したのです。政治家が原子力ロ
ビーと癒着していなかったからでもなく、原子力ロビーが弱かったからでもありません。民衆の圧力が非常に強くなり、政党がこ
れ以上、民衆の意思に逆らえないと気が付いたからです。これは、大変重要です。『危険な形のエネルギーを持ちたくない。』
という民衆の意思を政治家にぶつける事です。政治家に私達の意思を示す事は、日本のエネルギー転換に貢献することにな
るのです。
私は、昨年の夏に初めて日本に行って、長崎から広島まで600キロを自転車で走り、原発事故の結果を説明しました。日本
は、太陽に十分恵まれています、ドイツよりずっと。風も十分に強い。それを自分の身体で体験しました。自転車で600キロも走
ったのですから。そして、水がたくさんあります。水力もあります。地熱もあり、実は、かなり多くの自然資源があるのです。でも、
日本人に質問すると、「日本には、エネルギー資源はない。」という答えがほとんどです。それは、間違っています。例えば、市
庁舎や家屋の屋根に太陽電池を置き、ソーラーパネルで自家発電している町々を見学しました。日本人は、個人が出来る事
について、どこか懐疑的に見ているように思います。例えば、ヨーロッパやカリフォルニア、中国等では、地方自治体や個人の
家屋が電気を自家発電することにより、エネルギー自治区となっている例が如何に多いか。エネルギー自家生産は、日本でも
同じように出来るのです。ある研究によれば、日本が必要なエネルギーの100%が再生エネルギーで補えるといいます。ただ、
その実現には、政治的な力が必要です。ドイツでは、個人が電力会社を変更することが出来ます。脱原発を自分で実行するに
は、例えば、電力を供給する会社から、再生エネルギーだけの会社に変更するのです。需要と供給の選択により、個人が原発
から離れ脱原発に貢献出来るのです。このような電力の自由化が他の国でも日本でも必要です。「石炭・原子力・ガス発電から
脱したい!」「環境に良い、水力・風力・太陽光よる電力を使いたい!」という声を集団で上げるのです。エネルギー節約・効率
改善・再生エネルギー、これが、三つの重要な項目です。もし、「原発がなくなると、電力が足りなくなってしまう。」と言われても
それを信じてはいけません。それは、ドイツでも日本でも同じです。勿論、私達は、エネルギーを必要としています。エネルギ
ーを節約する必要はあります。将来、エネルギー使用量を減らす為です。でも、原発は必要ありません。ドイツでも日本でも同
じです。
さて、この写真は如何でしょう?ここに写っているのは、福島の子供達です。彼らが年に1~2度、沖縄で休暇を過ごせるよう
に組まれたプロジェクトでの写真です。そこでは、放射線やストレスから解放されるのです。未だ、解決されず、これからも続く
汚染災害からの解放なのです。このプロジェクトは、シュリューターマン・ヨウコ氏を中心とするドルトムント独日協会が可能にし
たもので、これによって、福島の子供達は、ようやく再び笑顔を取り戻し、砂浜を走り、海で泳ぎ、その海で採れた魚や貝をバ
ーベキューで焼いて食べることが出来たのです。マスクを付けずに自然の中で遊び良い空気を吸い、そして、毎日、放射線測
定器を付けずに学校へ通い、原発を忘れて過ごせたのです。
世界から原発をなくし、核エネルギーを使わぬ世界を実現する為に、一人一人が、現実的に何か出来ることを行いましょう!
と呼びかけているのです。ありがとうございました。
*福島原発事故による健康被害ー小児科医の報告 Part2
http://www.youtube.com/watch?v=1GWSP0_eoMQ