メディアは、本日も定期便の如く(否、タイムリーに)「生活保護受給世帯過去最高」の報道をしている。政府が(よからぬ?)
何かを決める前には、必ずそれに関する報道を見聞きする。アノ方達から、何かしらの要請があったのかしらんと推測している
が、これを報道する意図は何だろうと考えてみると、生活保護利用者が増えている事への『非難』の声を期待しているとしか、私
には思えない。劣悪な労働環境、皆勤してもぎりぎりの生活どころか生存権すら侵している『低賃金』や健康で文化的な生活
が到底出来ないような低年金を棚に上げて、この生活保護制度すら否定するするような欺瞞に満ちた言動に騙されてはならな
い。
*6年ほど前、こんな記事があった。
【2007年*堺市北区の新金岡豊川総合病院の職員が今年9月21日、糖尿病で入院していた全盲の男性患者(63歳)を車で
大阪市西成区の公園に置き去りにしていたことが分かった。男性は、救急隊員に保護され、別の病院に運ばれた。入院費の
未払いなどでトラブルがあったという。堺市保健所は先月末、同病院の院長らが従業員の監督を怠ったのは医療法15条の違
反事項に当たるとして行政処分した。男性は糖尿病の治療などで豊川総合病院に約7年前から入院。全盲で大阪市の生活保
護や障害者年金を受けており、毎月2万~3万円の現金を内妻から受け取り入院生活を続けていたが、入院費の支払いが約2
年半前から滞っていた。男性は「入院費は内妻が生活保護費の中から支払ってくれていると思っていた。職員に置き去りにさ
れ、行き場がなくて辛かった」などと話しているという。】(概要)
本来、生活保護利用者が入院した場合、役所の福祉課へ直接請求され精算される手筈なのである。障害年金と生活保護の
「医療扶助」がどのような割り振りになっていたのだろうか。とても疑問の残る事件だ。
生活保護の「医療扶助」は命に関わるものなのに、政府は、これに自己負担を課す事も検討している。理由は、「一般の人よ
り生活保護受給者の(外来)医療費が多い」事で、その中のほんの僅かなタクシー利用の生活保護利用者を取り上げて(例の
如く、然もそういう人が多いような印象を与え)「こういう事も改善したい」そうだ。生活保護利用者の外来の医療費が多いという
のが事実なのであれば、それは、入院しなければならないような人が外来受診している事ではないか?政府は、頬にキズのあ
る人達のほんの僅かな事例を論っているのだろう。少ない生活保護費の中から、医療の自己負担金が課せられば、病気になっ
ても受診しない人が出てくるのは明らかだ。こういう冷酷な棄民政策を許してしまえば、先の記事に類する「棄民事件」は、ます
ます増加するだろう。
日本の生活保護利用率は、(生活保護利用者数がこれまで最高だった)1951年2.4%→2011年利用率1.6%(当時の3分の
2の利用率)1951年の利用率2.4%を現在の人口に換算すると304 万8000 人。現在217万人の利用というのは、減少している
事になる。捕捉率およそ16,6%。先進国の中でも最低レベルの数値を政府は、何とか誤魔化したいのだろう。それ故、必死
に生活保護に関する特異な事案を生活保護バッシングの材料として広報し、民を利用して「非難の声」を上げさせ、誤った認
識が広まれば「成功」だと考えているとしか思えない。生活保護の利用は、生存権を具現化したもの。(お上から与えられるモ
ノじゃないのよ、さつきちゃん!)
同じ国の窮地に陥った人々をバッシングする?あまりにも歪んだ見っともない行為である。
という事で、我が国の政策に直接物申す事の出来るパブリックコメント募集の締切が迫っています。ご参加頂きますようお願
い致します。3月28日締め切り
パブリックコメントは少ない文言でも、思いが伝われば良いのです。 「厚労省は国会答弁・附帯決議を守りなさい。」だけでも
意思が伝わります。
*「改正」生活保護法に関する国会答弁はペテンだったのか? 生活保護法改正に関する省令案の抜本修正を求めるパブリ
ックコメント (ここに詳しい内容が記載されています)
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-195.html
*厚生労働省HP・ 「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に関する御意見募集」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495130294&Mode=0