今年度5回目の講座は、芥川龍之介の『鼻』
これは宇治拾遺物語の中の『鼻長僧のこと』を解きほぐして、人間の本質をテーマに再構成した小説なのだそうである。
あらすじ
『鼻がソーセイジのように顎の下までぶら下がっている内供(ナイグ)という高僧がいた。
気にならないふりをしているが、内心では始終苦に病んでいた。
何とか短くしようと、色々試してみたがどうにもならなかった。
ある時、京に上った弟子の僧が「長い鼻を短くする法」を教わってきた。
その法とは、鼻を茹でて人に踏ませるというもの。
内供はわざと気のないそぶりをし、弟子が説き伏せてくれるように仕向ける。
弟子にはバレバレなのだが。
さて、鼻を茹でて弟子に踏んでもらうと、鳥の羽の茎のような脂が出てくる。(宇治拾遺では虫)
脂を引き抜き再び茹でると鼻は短くなる。
「これで誰も笑わないだろう」
内供は満足した。
ところが出会う人々の反応がおかしい。
鼻が長かった時よりも一層滑稽だとばかり、あからさまに吹き出したりするのである。
「これなら前の方がよかった」と、内供はクヨクヨと思い悩む。
そうこうするうち、ある朝のこと。
鼻に手をやると元の通りに長くなっていた。
「これでもう笑われない」
秋風に鼻をぶらつかせながら、内供は晴れ晴れとするのだった。』
人間の本質はエゴである。
人間は誰も他人の不幸に同情するが、その一方で優越感も抱く。
それゆえ、他人の幸福は妬ましい。
芥川龍之介の『鼻』は、そういう人間の本質をえぐり出した名作であると、今日の先生のお話でした。
悟りを開いてるはずの身分の高い僧が、自分のこととなると、
いちいち他人の言動に左右されてオタオタする。
私はそこが可笑しかった。
←今日は一番乗りでした(^^)/