夕方、NHKテレビの『SHOW学校』という番組を観ていたら、
五木ひろしと西川きよしが、笠置シヅ子の『買い物ブギ』をコント風に歌って笑わせていた。
面白いね、この歌。
面白いけど、悲しい。私にはそんな歌。
昭和25年6月、私は4歳。
浪曲師の両親と淡路島を旅している時に、1歳4か月の弟が亡くなりました。
肺炎だったそうですが、母は目も不自由で、幼子を抱えての旅回りはどんなにか難儀なことだったでしょう。
栄養失調もあったかもしれません。
弟の死を私がどう受け止めたかは、実はよく覚えていません。
後年、母に聞いたところによると「これがみつるちゃんだよ」と骨壺を見せたら
ワッと泣き伏したそうで、それから笑わなくなったんだとか。
親子共々重苦しい気分を抱え旅は続きました。
ある日、波止場で船を待ってると、どこからかこの歌が流れてきました。
「おっさんおっさんコレなんぼ♪♪♪」
初めて聴くテンポの良い曲に、私は声を上げて笑いました。
なんて面白い歌なんだろうと、笑った瞬間のことは今でも憶えています。
「みつるが死んでから、あん時あんたが初めて笑ったんよ。救われたねぇ。」
母はそう言ってました。
母が一番辛かったでしょうが。
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