日曜日に受講してきました。
記事がなかなか書けなかったのは、ひつじの中でいろいろな整理と受け止めに時間がかかったから。
東田直樹さんの本は、夏休み中にもたくさん読みました。
講演はパワーポイント画面が全面スクリーンに映し出され、直樹さんがマイクを持って独特のリズムで読み上げ進行しました。
お母様の美紀さんのお話も直樹さんが不安にならないように読み上げる形で進行し、美紀さんのパワーポイントは直樹さんが表示していきました。
見かけの僕
・少なくとも僕は、見かけは重度の自閉症者。
発達検査や知能検査をしても、いまだに幼児レベル。
・奇声を上げ、跳びはね、人の言うことも聞かない僕を見て、このような文章を書くことを信じられないという方もいる。
・確かに、物心つくまで、僕は自分が人だということにも気づいていなかったのだと思う。
となりに座ったお母様の美紀さんはテーブルの下で直樹さんの足に手を起き、時々促すように諭すようにポンポンと太ももを叩き、読み上げる声を聞きながら大きく頷きます。
人を意識できない
・僕は人間だけを意識し、関わることが難しい。
・それは、自然だけでなく、全ての物が同時に僕に話しかけてくるから。
・僕がこたえる優先順位に、人は入っていなかった。
・そんな僕だったが、みんなより遅れはしたものの、少しづつ言葉を覚えていった。
・けれども、それを人に証明するのは不可能だった。
黒い革靴を履きスーツにネクタイ姿の直樹さんは、時々体を大きく揺らし、ハンドタオルを噛み締めながら唸り声を押し殺し、立ち上がり、カーテンを開けて窓の外の空をみます。
お母様が、自分の気持ちに折り合いをつけているのだと説明してくださいました。
受講者から直樹さんへの質問
「人であるという事実を知ったときのことは今でも心の傷として残っている」のはなぜか?
つらい体験になると思います。
僕は自分が何かさえ分からずに、ただ感覚の世界で生きたかったのだと思います。
でも、今は、自分も人だとわかり、良かったと思います。
何故そう思われるようになったのか?
僕のことを、僕以上に愛してくれる人がいる事がわかったからです。
お母様への質問
困ったこだわり行動、治していきたいと思うものはどうしたのか?
自分なりの行動の理由を聞きます。
基本的には人に迷惑をかけない時は見守り、
周囲の人が困る時には、そうなる直前に止めるようにしています。
直樹さんが絶望しても絶対に諦めなかったのはなぜ?
就労もして欲しいし、日常生活も身につけて欲しいが、まず内面を表出できるようになって欲しかった。
それが直樹にとって一番重要ではないかと思った。
希望
自分のことを「大好き」だと言ってくれる人がいる。
かけがえのない人間だと思ってくれる人がいる。
希望というのは、将来の夢や目標だと思っている人がいるけれど、それだけではない。
明日の自分を待っていてくれる人がいる。
そう思えることが希望のない人の「希望」になる。
東田直樹
多くの方に東田さんの本を読んでいただき、感じて欲しいと思います。
ありがとうございました。