放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

ポニョ戦記3

2008年11月12日 00時00分42秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 BELAちゃんは、発表会当日にはナレーションに決まっていた。彼女はしゃべるのは得意というが、それでもタイミングの取り方とか、ずいぶん気を使うことになるはずである。が、それを気遣う余裕が僕にはない。(ごめんよ・・・)
 自分は人前でピアノを弾いた経験がほとんどない。もちろん聴かせられるほどの技術もない。
 そういう願望がなかったわけではないが、まあ、今まで真剣に練習してこなかった。もしくは、真剣だったんだけれども長続きしなかった。だから保育園の発表会とはいえ「人前で弾くことになった」状況に、不気味な緊張感があとからあとから沸いてくる。このイヤな緊張感はとにかく練習でどうにかするしかない。

 ぱらりと楽譜を開いてまず目に飛び込んできたのは、なんともアクロバティーック!な音符の羅列。羅列の中にはオクターヴも惜しげもなくふんだんに配置されている。
 なぁんてゼータクな楽譜なんでしょ? 目の前がすっかり真っ暗になっちゃいましたわ。

 特に前奏のところなんてオクターブ連続技! リ、リズムが読めない。
 これをあの速いテンポで弾けってか? 肩に力入りすぎて指がもつれそう。
 
 練習初日、とりあえず指を鍵盤に乗せてみる。はじめはぎこちなく、ポーン、ポーンとONEフィンガープレイ。楽譜を見てすぐに指が鍵盤を走るような実力があるわけもなく、ただひたすら一音の音程を五線紙の上で確かめては鍵盤に指を乗せ、また次の一音を確かめてから鍵盤へと・・・、このくりかえし。
 原曲も毎日聴いた。
 頭痛がしても胃痛がしても。通勤時の車中で、何度も何度も。
 そうやって曲を覚えて、リズムやら展開の過程やら曲を形づくるいろいろな要素を毎日発見し続けた。まるでイメージを身体の中に取り込もうとしているように。
 別な見方をすれば、イメージ=音の羅列だったものをグルーヴにまとめて頭に格納する作業とも言える。次の日、これを取り出してばらばらにして、(原曲を聴きながら)またグルーヴに組み立てる。すると前日よりも音が増え、単音が和音になったり、先日おぼえた音の間違いが修正されたりする。数日こういったことを繰り返すとAパートからBパートへの流れとか、右手と左手との役割分担とかがなんとなく頭の中で決められるようになってくる。そうなると、早く鍵盤を弾きこなせるようになりたい願望ばっかりふくれあがってゆく。まるで海の中で息を詰めて機会を待っているような気分。

 一方で実際ピアノに向かうと、相変わらずのONEフィンガー。特に前奏の部分。なんなんだこのクセの強いリズムは?
 前奏はたった二小節。短いんだけど、これが弾けない。
 スタッカートだかダートだか知らないが、とにかくダダダーっと一気になだれ込むような勢いが要る。これ、生ピアノの重い鍵盤で叩けるかな?
 できないイラだち。できない不安。 
 10月中旬のガマンくらべ。
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