天然のマイタケが、なぜ珍重されるのか。理由は、大きく2つあると思う。
一つ目は、その希少性。漫然と歩いても絶対に出会えないというだけでない。山や渓の難行苦行を乗り越えた先で初めて出会えるキノコだから価値が高まる。
もう一つが、美味しさ。そもそも香りも味も食感も優れたキノコであることは、スーパーで売っているマイタケを食べたことがある人は分かると思う。それに比べると天然のマイタケは、基本的に同じ。「なんだ、同じか」と思うかもしれない。しかし、天然物は濃度が全然違うのだ。味も香りも、格段に深く濃い。
この『美味しさ』を、たっぷりと味わうために、天然のマイタケだけは、下ごしらえの仕方が他のキノコと違う。
この秋のマイタケ料理で確認できたことがいくつかあったので、まとめておきたいと思う。
今回いただいてきたマイタケは、2種類に分けられます。
1・2本目のミズナラで収穫したものと
最後のミズナラで収穫したもの
下ごしらえの基本は、洗わないこと。そのために、
ナイフとブラシと絞った布巾で汚れを落とします
理由は、洗えば味も香りも薄まってしまうから(多分、食感も落ちる)。
・マイタケの株を、目的の大きさに切り分けながら汚れやゴミを落としていきます
これで、第一段階終了
この作業を丁寧に行えば、それなりに美味しく戴けるんですが、2枚目の画像のマイタケは、昨日までの雨のために濡れ気味。
そこで、今回は、
・ある程度、日に当てて水分を飛ばしてしまいました
※こうすると身が締まるので、汚れを落としやすくなります
そんでですね、今回は、マイタケご飯にしていただくのです。
※かなり丁寧に汚れを落としたつもりなんですけど、水にさらすと
こんなに汚れが
・上澄みを残して、だし汁にします
※これを使うことで、落としてしまった味と香りが復活するみたいです
いい色です
・米にだし汁と醤油と酒を加え、米の合数に合うだけの水かさにしたら具材を入れて炊きます
この時間が嬉しいんですよ。台所はおろか、家中に、マイタケのいい香りが広がります。
そして、
炊きあがったマイタケご飯は
香りは勿論のこと、味も濃厚。
本日の夕食
ありがたい山の恵みを、おいしく戴けることに感謝しながら夕食を楽しむことができました。
実は、これまでに、この下ごしらえの段階で失敗した調理というものが多々あるんです。
今回みたいに、洗ってはいけないのに洗ってしまったり、高温で加熱しなければならないのに、低温でスタートしてしまったために美味しさが抜け出してしまったりというように・・・。
今年は、不穏な天候が続き、まだまだ心配が残る気候なのですが、マイタケ料理に関しては、一つ進歩したかなという感触を得ることができています。
こんな小さな喜びが、少しでも増えたら嬉しいものです。