新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

口論の方法

2009年02月07日 07時14分10秒 | コラム・エッセー

 曹洞宗の道元語録とでも言うべき「正法眼蔵随聞記」(しょうぼうげんぞうずいもんき)に、口論の仕方について、次のように書かれています。

「相手を言い負かしてはいけない」 と書いてあるのです。

「たとえ相手が間違っていようとも、理屈で攻め立て、言い負かしてはいけない」

 これが道元さんの教えだったようです。

 もちろんその続きがあります。

「簡単に引き下がってもいけないぞ」 とも言っているのです。

「言い負けしてはいけない。しかし、簡単には引き下がるな」

 それではどうすればいいのでしょうか?

「無為(むい)にして止みぬるが好(よ)きなり」 

 つまり、「それ以上は議論せずに、そのまま放り投げておけ」、と説いているのです。

 これでは物事が解決しません。

 どうやら前後の論の組み立てを考えれば、「慈悲をもって接すること」となっているので、相手の立場をも考え、じっくり話すことの教えのようです。

 そんなふうに言われれば、分からないでもありませんね。

 この多忙な世の中、つい焦って論破しようとしがちです。

 この私も、そのようなことをして、幾度も失敗をしました。

 思うような結論が出なかったばかりか、人間関係にまで傷がついたこともありました。

 議論になると、つい熱が入ってしまい、「勝ち負けの論理」に支配されます。

 双方の目的は、「議論の勝ち負け」ではなく、「相応しい方法を見い出す」ことでした。

 ふっと力を抜いて、相手の立場をも考えて、議論をすべきだったのです。

「無為にして止むぬるが好きなり」

 まさに至言でした。

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コメント (11)
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