曹洞宗の道元語録とでも言うべき「正法眼蔵随聞記」(しょうぼうげんぞうずいもんき)に、口論の仕方について、次のように書かれています。
「相手を言い負かしてはいけない」 と書いてあるのです。
「たとえ相手が間違っていようとも、理屈で攻め立て、言い負かしてはいけない」
これが道元さんの教えだったようです。
もちろんその続きがあります。
「簡単に引き下がってもいけないぞ」 とも言っているのです。
「言い負けしてはいけない。しかし、簡単には引き下がるな」
それではどうすればいいのでしょうか?
「無為(むい)にして止みぬるが好(よ)きなり」
つまり、「それ以上は議論せずに、そのまま放り投げておけ」、と説いているのです。
これでは物事が解決しません。
どうやら前後の論の組み立てを考えれば、「慈悲をもって接すること」となっているので、相手の立場をも考え、じっくり話すことの教えのようです。
そんなふうに言われれば、分からないでもありませんね。
この多忙な世の中、つい焦って論破しようとしがちです。
この私も、そのようなことをして、幾度も失敗をしました。
思うような結論が出なかったばかりか、人間関係にまで傷がついたこともありました。
議論になると、つい熱が入ってしまい、「勝ち負けの論理」に支配されます。
双方の目的は、「議論の勝ち負け」ではなく、「相応しい方法を見い出す」ことでした。
ふっと力を抜いて、相手の立場をも考えて、議論をすべきだったのです。
「無為にして止むぬるが好きなり」
まさに至言でした。
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