新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

雛の客

2009年03月02日 07時58分19秒 | 写真俳句・エッセー

Simg_1125

今宵こそ誰(た)ぞであれかし雛の客

 女の子の初節句は、とても華やかなものだ。

 家中に花が咲いたような気配が漂う。みんなの心も浮き立ってしまう。顔も上気する。

 祝いを受ける当人たちは、まだまだ雰囲気を察する域に達していない。

 おむつの心配やおっぱいの心配が先だ。

 3歳の頃になって、やっとお人形の綺麗さが分かり始める。

 いやその前に、草餅や霰が関心事だ。

 私の娘や息子の時は、どんなだったろうか。カミさんが飾り、雛納めもカミさんの役目だったので、その状況は覚えていない。

 息子のほうの孫は、1歳になる前、母親が病いで他界した。いままで、私たち夫婦が割り込んで行って祝っていた。中途半端な賑わいだった。

 いつも私の胸に、切ない思いがよぎる。

 零れそうになる涙を、「雛祭り」の歌を唄うことで誤魔化していた。

 しかしその歌も、切ない歌の一つになってしまった。哀しみが嵩んできた。

 いるべき人がいてくれていさえすれば、余分な涙は不要なものを……。

   今宵こそ誰(た)ぞであれかし雛の客   鵯 一平

 せめて今宵だけでも、雛の客として訪れてきてほしいのです。

 せめて一刻なりとも………。

にほんブログ村 シニア日記ブログ 70歳以上へ  ← ランキングに参加しております

コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする