新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
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混迷の始まりか

2007年07月10日 16時50分11秒 | 政治・経済

 7月29日の参院選に向けて、日本国中が沸騰し始めた。多くの課題や問題が、参院選のネタにされている。なんでもかでも政争の具。それが現段階における政治的日常だ。
 本来「年金問題」は、外交や安全保障とは別の意味で、政争の具にしてはならない。外交や安全保障は国家経営の根幹であり、長期スパンで定めて置くべきテーマであり、政権が代わるたびに基本スタンスが変更されるのでは、外交上の信頼は確保できない。
「年金問題」は、生活防衛の国民的課題であり、選挙のたびに基本方針が変わるのでは、長期的な生活設計は組めない。まして今回の5000万件問題は、国の対処の失敗なのだ。そのことを潔く認め、官僚も政治家も、与党も野党も、対処策の策定に協同して取り組むべきだ。かかるテイタラクとなったのは、政策を推進する政府・与党の責任であることはもちろんだが、同時に、チェック機能としての野党の責任でもあろう。民主党が、鬼の首を獲ったようにはしゃぐ場面ではない。自治労問題だってあるのだ。プロとして日常業務を進めていた社保庁に、重大な実行責任があることは当然のこと。
「自民党はこのように対処します」とか、「民主党ならこんな制度にします」と、大声で言い合っている場合ではなく、役人の知恵を活用しながら、各党ヒタイを集めて、最善策を策定すべきなのだ。
 この問題が今年の2月頃に発覚していたのであれば、民主党は、参院選の攻め道具にしようなどと思わずに、素早く提起すべきであった。政府・与党としては、穏便に内々で処理しようとせずに、公開して対策を論議すべきであった。
 国民不在の党利党略を見せつけられた感じで、双方の姿勢に強い憤りを覚える。
 急場作りの「年金記録確認中央第三者委員会」が、9日、認定基準をまとめたのだそうだ。政府・与党の選挙向け発表と思えなくもない。姑息な動きをせずに、大計を立てて欲しいものだ。
 赤城農相の「事務所経費」問題も表面化した。「なんとか還元水」と同様のスジの悪い話。繰り返し聞かされている国民は、もうウンザリだ。
「政治とカネ」で自殺した松岡前農相の後任が、同じ内容の追及を受けているのだから、呆れた話ではないか。赤城農相の身辺調査はしたのだろうか。
 安倍首相の緊張感のなさは心配だ。しっかりした番頭はいないのか。このような人を首相にして、国の安全保障を任せていいのだろうか。つつき出すマスコミの品のなさは相変わらずだが、引っかかる側の無策に不安を感じる。
 参院選は、政権選択の選挙ではない。しかし、参院において、野党議員が与党議員を上回ることになれば、予算案にしても法律案にしても、スムーズには成立しなくなり、衆院に差し戻される。そこで3分の2以上の賛成があれば、再可決されるが、かなりギクシャクした政権運営を強いられることになりそうだ。きっと、妥協の場面も多くなろう。それが民主主義と言えばそのとおりなのだが、迅速な政権運営とはならない。
 国造り、経済政策、外交・防衛などの基本的な事柄において、「保守」か「リベラル」かの間で立ち往生し、「失われた○○年」を無駄に過ごすことになりかねない。「リベラル」側から言えば、「保守」にブレ掛かった揺れを、「リベラル」サイドに戻したと言うことになろう。これが民主主義なのだが、「主義が栄えて、国が滅びる」こともありうる。私はそれを恐れる。
 非常識にも、「憲法9条を守りさえすれば、外国から攻撃されない」と、思い込んでいる「反日的日本人」が、この国には数多く棲息している。いままで9条があったから、外国から攻撃されなかったと思っているらしい。
 日本の平和と繁栄は、「日米安全保障条約」に負うところが大きかったのではなかったのか。しかもそのような身勝手さは、もはや許されなくなってきているのではなかろうか。
「日本国は自然権として集団的自衛権を保有しているが、憲法9条により、それを行使することは出来ない」という内閣法制局の解釈から、まだ脱却出来ずにいる日本の愚かしさ。
「日本が攻撃されたら、アメリカの若人の血で守って下さい。なにしろ、日米安全保障条約があるのですから……。しかしアメリカが攻撃されても、日本は応援出来ません。我が国は、集団的自衛権はあるのですが、憲法で禁じられているのです。悪しからず……」。こんなことで近所付き合いが出来るのだろうか。いずれシカトされるに違いない。
 参院選は、政権選択ではない。したがって「小沢首相」の実現とはならないと思う。しかし、「政治とカネ」や「年金問題」の影響が大きく出れば、「国のありかた」論議は、しばらくの間タブーとなろう。論議すら出来ない事態となることもあり得るだろう。拉致問題も進展すまい。
 税制改正の論議も出来ず、医療制度や介護制度についての基本論議から、遠ざかることにもなりかねない。 




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